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職員に不親切な派遣職はクビ…韓国公共機関で“強者”の横暴

登録:2015-09-17 23:02 修正:2015-09-18 02:37
政府公共機関の外注契約問題
ある女性派遣清掃労働者が男性用トイレで便器を磨いている(※写真は記事と関連ありません) =キム・ミョンジン記者 //ハンギョレ新聞社

 「乙」(派遣業者)のすべての従業員は「甲」(公共機関)の職員に対し親切に接しなければならない。 甲の職員などから3回以上不親切を摘発された従業員を「乙」は交替させなければならない。

 韓国中部発電と韓国電力技術の本社社屋清掃・施設管理外注労働者の課題指示書(サービス業務に対する指示事項が書かれた文書)に記載されている内容だ。 政府傘下の公共機関が、清掃・施設管理外注業者などと契約を締結して、間接雇用・派遣労働者に対して過度な義務条項や恣意的解釈が可能な“毒素条項”を随所に植え込み、いわゆる「甲の横暴」を正式な規定で保障させるような態度を取っていることが明らかになった。

 チョン・ジョンヒ新政治民主連合議員と党の乙支路(ウルチロ)委員会は、産業通商資源部傘下の23のエネルギー公企業・公共機関から提出させた外注勤労者保護指針遵守実態を分析した結果、「一部の公共機関が恣意的基準を適用し、外注労働者に“甲の横暴”をしている」と16日明らかにした。

チョン・ジョンヒ議員ら 公企業23社の実態分析
“課題指示書”のあちこちに毒素条項
規定で“甲の横暴”を正式化

「職員が掃除のやり直しを指示した時は
時間・回数に関係なくやり直し
「団体行動で業務に支障が出た時は
すべての損害を賠償」条項まで

 分析結果によれば、韓国原子力環境公団と韓国地域暖房公社の場合、派遣業者の職員に対して「日常的な清掃を実施する時(公共機関の)職員が不潔だったり不十分と判断し、やり直しを指示した時は、時間、回数に関係なく(派遣業者従業員は)再清掃を実施しなければならない」となっている。 また「非協調的だったり無能力だと(公共機関職員が)判断し職員の交替を要求した場合(外注業者は)直ちに応じなければならない」(韓国電力取引所)、「管理所長主宰の下に開催される朝会や教育時に理由なく参加しなかったり拒否した者は直ちに懲戒措置または交替する」(大韓石炭公社)など、清掃・警備サービス業者の職員に対して公共機関の管理職員が全権を行使できるよう恣意的解釈がいくらでも可能な条項を特約事項などに入れていた。

 また、労働者に不公正だったり、労働3権を制約する条項も多かった。 「課題指示書の各条項に疑問がある時は“発注処”、“契約相手”双方の合意によって決め、協議が成立しない時には“発注処”の解釈に従う」(韓電KDN)、「“契約対象者”は従業員の労働争議およびその他これに準ずる団体行動によって“発注者”の業務に支障を持たらした時には、それによって発生した発注者のすべての損害を賠償しなければならない」(韓電、電気安全公社など)の条項が代表事例だ。

 チョン議員はまた、清掃・施設管理労働者の資格として「関係機関への身元照会の結果、思想穏健な者」、「利敵行為をしたり行う恐れのある時は契約解約」などを規定したことについても人権を過度に侵害する前近代的条項だと指摘した。

 これに先立って乙支路委員会が他の部署傘下の公共機関の実態を調査した結果、「作業時の雑談および騒乱行為を禁じる」、「作業中に大声を出したり、雑談や鼻唄など業務の妨げになる行為は一切遠慮すべき」、「乙が甲に精神的被害を与えた時、契約解約が可能」等の内容もあることが明らかになった。

 この他に、今年1月、政府は「外注勤労者の勤労条件保護指針説明資料」を通じて、各部署に外注勤労者に最低賃金ではなく市中労賃単価(中小企業中央会が発表する勤労者の平均時給)を適用し、不公正で不当な業務指示条項を改善するよう勧告したことがある。 しかし、チョン議員が分析した23の公共機関のうち市中労賃単価7056ウォン(716円)を支給している機関は一カ所もないことが明らかになった。 チョン議員は「公共機関が韓国社会の最も弱者である外注労働者に“甲の横暴”をしている実態を直ちに改善しなければならない」と話した。

イ・スンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/709227.html 韓国語原文入力:2015-09-17 08:27
訳J.S(1864字)

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