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韓国最高裁、不倫した配偶者の離婚請求は時期尚早と判断

登録:2015-09-16 09:35 修正:2015-09-16 16:11
「有責主義」維持の論理と背景
15日午後、ソウル瑞草区の大法院大法廷で大法院全員合議体宣告が進められている。大法院は不倫など結婚生活破綻の原因を提供した配偶者は離婚を請求できないと判決した=聯合ニュース

全員合議体が7対6で判例再確認
「信義誠実の原則に反しても
相手配偶者の保護装置もまだない」
例外的許容基準は小幅に広げる

 大法院(最高裁)が「不倫した配偶者の離婚請求も受け入れるべきか」という問題をめぐり、初めて大法院判事全員が参加する全員合議体で審理し、結婚生活破綻責任者の離婚請求は受け入れることができないという既存判例(有責主義)を維持する結論を下した。だが、大法院判事13人のうち6人は、結婚生活がすでに破綻していれば実体のない婚姻関係を解消するのが正しいとする反対意見を出し、今後も社会的議論は続くものと見られる。

 大法院全員合議体(主審キム・ヨンドク大法院判事)は15日、婚外子をめぐり約15年間別居生活を続けたK氏(68)が妻のN氏(66)を相手に起こした離婚訴訟で、原告敗訴の原審を確定させた。大法院は「婚姻破綻を引き起こした配偶者が破綻を理由に離婚を請求するのは信義誠実(相手方の信頼に反せず誠意ある行動を要求する法原則)に反する行為」と明らかにした。さらに「破綻責任がある配偶者の離婚請求を広く認める場合、責任のない配偶者が生計や子供の扶養で困難に直面するなど一方的不利益が大きく、現段階ではこのような離婚請求を受け入れることはできない」とした。

年度別離婚件数の変化

 多数の西欧諸国は婚姻生活が回復できないほどの破綻状態であるなら責任ある配偶者(有責配偶者)の離婚請求も認める「破綻主義」を採択している。だが、大法院は韓国の社会・経済的条件上、時期尚早だと判断した。米国やドイツなどは配偶者や子供が窮乏した境遇に置かれる恐れがあれば離婚を許さなかったり、離婚後、有責配偶者に扶養義務を賦課するなどの法的装置があり、韓国にはまだそのような制度がないためだ。また、破綻主義導入国は裁判を通した離婚だけが可能だが、韓国は協議離婚もでき、有責配偶者が相手を説得して離婚する道があると付け加えた。

 大法院は女性地位向上と財産分割制度の補完として破綻主義を導入しても女性は不利益を受けないという主張に対し、「社会・経済のすべての領域で両性平等が実現されたと見るには不十分」と反論した。イ・インボク、イ・サンフン、パク・ボヨン、チョ・フィデ、クォン・スンイル、パク・サンオク大法院判事がこうした多数意見を形成した状況で、ヤン・スンテ大法院長が同意見を出し“キャスティングボート”を行使した。

 ただし大法院は例外的に有責配偶者の離婚請求を受け入れることができる場合を多少拡張させた。既存判例も「相手配偶者も婚姻を続ける意思がなく、一方の意志による離婚ないし追い出し離婚の心配がない場合」には離婚を認めてきた。今回はそこへ、有責性を相殺するほど相手配偶者と子供に対する保護と配慮がなされたり▽歳月が流れて有責性と相手配偶者の精神的苦痛が弱まるなど、特別な場合には例外的に裁判で離婚できるという点を追加した。大法院は有責配偶者の責任程度、相手配偶者の意志と感情、別居期間、相手配偶者と子供の生活保障程度などをすべて考慮し判断しなければなければならないと説明した。

イ・ギョンミ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-09-15 21:47

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/709012.html 訳Y.B

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