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韓国版スカーレットレター「姦通罪」が歴史の中に

登録:2015-02-26 22:41 修正:2015-02-27 15:28
韓国憲法裁判所、7対2で違憲決定
 裁判中の事件も処罰できず
パク・ハンチョル憲法裁判所長と憲法裁判所裁判官が26日午後、ソウル鍾路区の憲法裁判所大審判廷に入っている。 キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社

 現行の刑法体系が導入されて以来、多くの人に“スカーレットレター”の烙印を捺してきた姦通罪が廃止された。 時代が変わり個人の自由を尊重しなければならないという認識が結婚制度・性道徳保護という伝統的名分を排除したわけだ。

 憲法裁判所は26日、姦通行為を2年以下の懲役に処するよう定めた刑法の姦通罪(第241条)に対して、裁判官の7対2の意見で違憲を宣告した。 憲法裁判所は設立以来、四度にわたり姦通罪を合憲としてきたが、5回目の事件で結論を覆し姦通罪の即刻廃止を決めた。

姦通罪に対する憲法裁判所判断の変化 //ハンギョレ新聞社

 違憲意見を出した7人のうち、パク・ハンチョル、イ・ジンソン、キム・チャンジョン、チョ・ヨンホ、ソ・ギソク裁判官は「成人の自発的性行為は個人の自由領域だ。 性道徳に任せなければならない内密な性生活領域に国家が介入し処罰することは、性的自己決定権と私生活の秘密・自由を侵害する」と明らかにした。以上5人の裁判官は姦通罪存続論に対して「姦通処罰比率、社会的非難程度に照らせば、予防効果は収めにくくなった。夫婦間の貞操義務や女性配偶者保護は、離婚請求、損害賠償請求、財産分割、子供の養育などで不利益を付与し達成できる」と反論した。 また「姦通罪条項は婚姻制度保護という公益を達成しにくい一方で、国民の性的自己決定権などの基本権を過度に制限している」と判断した。

 同じく違憲意見を出したキム・イス裁判官は、家庭生活が維持されている状況で一方の配偶者が不倫を犯す場合は、以後にも婚姻関係を回復する可能性があるので姦通罪の存在意味があると見た。 ただし長期間別居などで結婚生活が事実上破綻した場合の姦通まで処罰するよう定めた現行の姦通罪条項は、刑罰の過剰行使にあたり憲法に違反すると判断した。 カン・イルウォン裁判官は「姦通罪処罰は違憲でなく法の規制の必要性が認められる」として事実上合憲に近い立場を見せながらも、懲役刑のみを宣告するよう定めた処罰内容などが明確性と比例の原則に背くという理由で違憲と結論を出した。

 反面、“合憲”意見を出したイ・ジョンミ、アン・チャンホ両裁判官は「姦通は家族共同体に破壊的な影響を及ぼす行為なので、個人の性的自己決定権の保護領域に含まれない。 社会秩序を害して他人の権利を侵害すると見る法意識は依然有効だ」と明らかにした。両裁判官は「姦通罪の廃止は性道徳の最小限の一つの軸を崩し、社会全般で性道徳意識が低下させ性道徳紊乱を招くことになる」と述べた。

最近20年間姦通事件変化推移 //ハンギョレ新聞社

 1953年の大韓民国刑法制定以後、姦通罪で処罰を受けた人は10万人内外と推算される。 1985年から今年1月までの30年間に起訴された人は5万2982人(拘束3万5356人)だ。 このうち最後の合憲決定がなされた2008年10月30日以後に起訴された人は5466人(拘束22人)だが、これらのうち有罪判決を受けた約3000人は再審を請求できる。 現在裁判中である姦通事件被告人には公訴棄却や無罪判決が下されることになる。

 韓国性暴行相談所、韓国女性団体連合、韓国女性の電話の3団体は共同で声明を出し「違憲判断を下したことを尊重する」としつつも、婚姻生活の破綻に対する責任追及を民法次元で強化しなければならないと明らかにした。これら団体は「結婚制度破綻の帰責事由がある配偶者に民法上で強い責任を問えるよう(立法的)補完が必要だ」と明らかにした。

イ・ギョンミ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/680005.html 韓国語原文入力:2015/02/26 21:36
訳J.S(1650字)

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