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姦通罪が廃止された韓国で不倫助長「アシュレイ・マディソン」再開

登録:2015-03-24 09:16 修正:2015-03-24 11:02
健全な性風俗害すと野党が「不倫助長サイト遮断法案」提出
「アシュレイ・マディソン」のウェブページからキャプチャー。 //ハンギョレ新聞社

 国内で遮断された「既婚者デート」サービス
 表現の自由VS不倫助長の熱い論争中

 「アシュレイ・マディソン」が戻ってきた。誘惑的なホームページが再開されインターネットでは表現の自由と限界をめぐる熱い論争を呼び起こしている。

 アシュレイ・マディソンは既婚者などを主な客としてカナダで始まったオンラインのデート・サービスだ。 「人生は短い。浮気してください」という挑発的なコピーを前面に出し一時話題になったこのホームページは、昨年4月、放送通信審議委員会(放審委)の目にとまり国内では遮断された。「姦通を幇助する」との理由からだった。

 ところが今月10日に遮断が解除された。憲法裁判所が先月26日に姦通罪に違憲判決を下したためだ。姦通罪が廃止され、放審委はアシュレイを遮断する根拠を失ったのだ。表現の自由を擁護する団体は歓迎した。「オープンネット」は論評で「放審委は審議規定に『善良な風俗』を用意して不法でない情報も遮断してきた。(中略)アシュレイ・マディソンの遮断解除は不法性を基準にした審議という基準に従ったものであり歓迎するに値する」と発表した。

 だが、直ちに反発も出てきた。新政治民主連合ミン・ホンチョル議員をはじめとする12人の議員は、再開翌日の11日に情報通信網法改正案を出した。「不倫助長サイト遮断法」とも呼ばれるこの改正案は、国家が流通を禁止できる不法情報に「健全な性風俗を害し家庭解体を助長する内容の情報」を含ませた。ミン議員は発議趣旨について「個人の幸福と社会の根幹をなす制度として保護する必要がある家庭と結婚の健全性を守るため」と説明した。

 しかし、「健全な性風俗を害する情報」とはいったい何なのか。すでに結婚の健全性とは距離がある「マッチャン・ドラマ」(主に不倫を題材にしたテレビドラマ)が溢れる時代に、実際の行為につながるかも分からないアシュレイ・マディソンを遮断するのは説得力に欠ける。オープンネットは「市民社会に思想と意見の競争メカニズムを任せなければならない情報を審議に委ねてしまえば、行政機関によって表現の自由が決定されてしまう」と批判した。

 一方で民主社会で大衆が享受できる表現の自由に対する反省の声も多い。シャルリー・エブドの悲劇が代表例だ。制限ない表現の自由を追求したフランス週刊誌がテロリストの攻撃を受け社員12人が亡くなった事件は、自由と節制の間の適切な水準に対する世界的論争を呼び起こした。アシュレイ・マディソンの再開にしても、こうした自由が社会的に保障されるほどの価値があるのかが論争になる。あるインターネットユーザーはこの問題で「不倫助長は進歩でなく退歩」と皮肉った。

クォン・オソン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015.03.23 19:56

https://www.hani.co.kr/arti/economy/it/683511.html 訳Y.B

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