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家賃値上げで消えた商店街を復活させるソウル城東区の試み

登録:2015-08-21 09:57 修正:2015-08-21 20:11
ソウル・城東区の地下鉄2号線トゥクソム駅出口の鉄道の高架橋。区は橋脚の下120メートルにかけ幅4.5メートルのコンテナ(8棟)を改造した「ボックスショップ」を設置する計画だ=イム・インテク記者//ハンギョレ新聞社

立ち退き強いられた商店街「アトリエ道」に
コンテナを利用した「ボックスショップ」
関連条例案を来月告示することに

 人気の商圏を作り上げたのに、家賃の値上げに耐えきれず立ち退きを強いられる、いわゆる「ジェントリフィケーション」の被害を受ける商店主を、同じ地域の商圏で営業を続けられるようににする“代案商店街”が造成される。地域の価値や零細の“元祖商人”を保護するため、ソウル東部にある城東(ソンドン)区が全国で初めて試みる。

 18日午後、ソウル・聖水(ソンス)洞の店で、厨房の小道具などを製作販売する主人は、11月に賃貸の再契約を控えている。彼は「(再契約問題が外部に)知られるのはいやだ」と顔をしかめた。広く知られればもっと多くの金持ちが群がってくるのを嫌がっている様子だ。彼は契約の延長を望んでいる。問題は賃貸料だ。城東区は「地域の坪当たりの相場は昨年の2500万ウォン(約275万円)から今年は4000万ウォン(約440万円)台まで上がった」と話した。

 この場所に過去2~3年の間で、食堂、カフェ、文化工房など約50店が入居し「城東・アトリエ道」が形成された。ところが、近くにできた公園「ソウルの森」の効果もあり、賃貸料はうなぎ登りに増え続けた。他の店舗の再契約時期も来年5月に迫っている。今年から複数のビルオーナーが1年更新の賃貸契約を結ぶようになったためだ。城東区のアン・ジフン区政企画団長は「すでに去った店もある。しかし他の地域のようにジェントリフィケーションを傍観したりしない」と話した。

 城東区は思案の末、立ち退きを強いられた店が入居する代案商店街にたどり着いた。11月にソウル地下鉄2号線トゥクソム駅の高架鉄道橋脚の間の空地に、コンテナ8棟を改造した8~16店のボックスショップ(Box Shop)を作る計画だ。アトリエ道の商店主の入居が優先対象となり、適正賃貸料を検討中だ。

 城東区は近くにある手作りの靴の商圏の店主のためのボックスショップも含み、全30棟(最大60店)をトゥクソム駅から聖水(ソンス)駅の高架下に設置する目標をたてた。独自の商圏が形成される規模で、アトリエ道から歩いて5分、聖水駅の手作り靴の商圏からは10分の距離だ。コンテナで60店舗を集め話題の大型モールを作った英国ロンドンの事例に着眼した。城東区はコンテナ一つ当たりの改造・設置に3000万ウォン(約330万円)ほどかかると見積もる。

 同区のチョン・ウォノ区長は「立ち退きを強いられても既存商圏から近く、以前からの客も誘致でき、だからこそ既存商圏も影響を受けることになる。賃貸料を無条件に引き上げ新しい賃借人を探すという発想も抑制できる。 (ジェントリフィケーション現象が激しい)西村(ソチョン)、新村(シンチョン)、弘大前(ホンデアプ)の前轍を踏むようでは共生の希望はない」と語った。

 城東区はこれに先立ち立法予告した「地域共同体相互協力および持続可能発展区域指定に関する条例案」も城東区議会本会議を経て、早ければ来月告示される予定だ。条例は「区長は地域共同体生態系および地域商圏保護のため公共賃貸空間を確保するように努力しなければならない」と釘を刺した。また、アトリエ道が持続可能発展区域に指定される場合、住民協議体が同意しない業者・店舗の地域進出を制限できるようにした。城東区がジェントリフィケーションに対抗する“実験室”になる。

イム・インテク記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-08-20 21:24

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/705316.html 訳Y.B

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