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[記者手帳]「一国家一都市」にこだわる平昌五輪組織委の自画自賛

登録:2015-07-21 09:57 修正:2015-07-21 14:05
チョ・ヤンホ平昌冬季五輪組織委員長(左)が3月12日、国会「平昌冬季五輪および国際競技大会支援特別委員会」に出席し、五輪分散開催について野党議員の質疑に答えている=イ・ジョンウ先任記者//ハンギョレ新聞社

 「ほんの1年前に国際オリンピック委員会(IOC)は(予算浪費が問題になった)ソチ冬季オリンピックを体験し、平昌(ピョンチャン)に対して不安を感じていたのは事実です。しかし今は『平昌はソチと違う』という信頼感を得たと自負します」

 チョ・ヤンホ平昌オリンピック組織委員長は20日、就任1周年記者懇談会でこう述べた。チョ委員長は昨年7月、キム・ジンソン前組織委員長が釈然としない理由で電撃的に辞退した後にバトンを受け継いだ。当時国際オリンピック委員会は、オリンピック改革案「アジェンダ2020」のために各国オリンピック委員会(NOC)から意見を収斂していた。

  アジェンダ2020の主要な内容が「一国家一都市原則の廃棄」だったのに、平昌組織委は費用を大幅に減らせる機会を逸した。この日の懇談会でチョ委員長は「アジェンダ2020が発表される前までは分散開催など夢にも考えられなかった。就任後に分散開催を検討したが不可能であることが分かったので、天変地異に準ずる状況が発生しない限り分散開催はしないことにした」と述べた。

 組織委はこの日に配布した「就任1年の成果」という資料を通じ、「今まで議論されてきた分散開催問題を完全に終息させ、諸般の準備事項が日程通り進行され、IOCなど国際社会の信頼を回復した」と明らかにした。

 だが国内世論は、組織委が謳う“信頼”とはかなり距離がある。CBS放送が18~19日に成人男女1000人を相手に世論調査をした結果、国内分散開催に対する賛成意見は79.2%を占めた。世論は今も「平昌五輪単独開催にこだわり予算を浪費している」と見ているのだ。

 順調に大会の準備が進んでいるという組織委の自評も現実と距離がある。平昌郡大関嶺(テグァルリョン)面横渓(フェンゲ)里に総事業費1226億ウォン(約132億円)を投じて作られる開閉会式場をドーム式で建設すべきだという主張が最近提起された。理由は、開閉会式場の場所にある。

 開閉会式が開かれる横渓里一帯は海抜高度1000メートルの高地で、毎年2月は気温が零下10度以下に下がる。今年2月9日(平昌オリンピック開幕日)も平均気温が零下10.7度で、最低気温は何と零下18度だった。昨年2月は平均零下5度以下まで下がった日が18日を超え、最低気温はほとんどが零下10度以下だった。これほどの厳しい寒さは観覧客の健康を害する恐れがあり、競技をおこなう選手団の健康とコンディション管理にも悪影響を与える。その上、開閉会式は一日で最も寒い時間の夕方7時に始まり夜10時に終わる。行事を昼間の時間帯に移したくても、韓国より7~9時間遅いヨーロッパの放送中継時間を考慮すると、変更は容易ではない。

 輸送計画も侮れない。3万人余りが開閉会式に参加するには40人バスで輸送しても1000台近く必要になる。この運営上の問題を解決するためには、まだ着工さえしていない開閉会式場を江陵(カンヌン)に移すことが最善の策だ。昨年9月、文化体育観光部は開閉会式場の江陵移転を推進したが「開閉会式場を移せば平昌オリンピックでなく江陵オリンピックになる」という論理から断念した。

 開閉会式場をドーム式にすれば少なくとも数百億ウォンが追加で必要になる。ドーム式に対してチョ・ヤンホ委員長は「監督と建設業者が知恵を絞って経済的で効率的な開閉会式をするよう時間をかけて決める」と慎重な立場を示した。様々な要因から横渓里の開閉会式場は予算浪費の主犯になる可能性が高い。「大会準備は順調」とする組織委の自評が虚しく聞こえる理由だ。

ユン・ヒョンジュン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-07-20 18:38

https://www.hani.co.kr/arti/sports/sports_general/700997.html 訳Y.B

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