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WHO「韓国政府の情報公開の遅れでMERS防疫失敗」

登録:2015-06-15 08:24 修正:2015-06-15 09:26
WHO・政府合同評価団が記者会見
朴槿恵大統領をはじめとする国務委員が14日、MERSに関連して病院と市場など現場をいっせいに訪ねた。ソウル大病院MERS隔離病棟を訪ねた朴大統領=イ・ジョンヨン先任記者//ハンギョレ新聞社

「地域社会感染の証拠はないが発生に備える必要がある」
新種伝染病追加発生の可能性も明らかに
公衆保健機関の力量強化など強調

 韓国と世界保健機構(WHO)合同評価団は、韓国政府が情報公開を遅らせたため初期の中東呼吸器症候群(MERS)コロナウィルスの防疫政策の失敗を呼んだと評価した。また、今のところ地域社会感染の証拠はないが、発生に備える必要があると強調した。

 合同評価団は13日、政府世宗(セジョン)庁舎で記者会見を行い、9日から5日間行われた韓国のMERS感染状況に対する評価結果を発表した。評価団は世界保健機構から派遣された8人を含む国内外専門家16人で構成され、福田敬二・世界保健機構事務次長とソウル大医科大学イ・ジョング教授が共同団長を務めた。

 イ・ジョング団長は「透明で迅速な情報公開が遅れたのが初期対応に失敗した原因の一つ」と指摘し、「MERSの拡散を正確に予測できず混乱があった」と述べた。実際、保健当局は最初のMERS感染患者が発生し、感染者が増えているのに15日間も病院名を公開せず、混乱を大きくさせた。

 評価団はMERSが急速に広がった原因として、応急室の過度な混雑と多人数の相部屋病室、治療のため多くの医療施設を訪ねまわる「医療ショッピング」の慣行、家族が病院に同行したり見舞う韓国独特の文化を主に取り上げ論じた。このような評価に対して保健医療団体連合のウ・ソッキュン政策委員長は「医療職員の不足で家族が交代で看病するほかない現実、開業医の代わりに大型病院に患者が集まるのは、韓国の医療システムの構造的問題」と指摘した上で、「単に文化として評価したら制度的解決策は出てこない」と批判した。

 評価団は憂慮が高まる空気感染については可能性が低いと判断した。だが、評価団は空気感染の可能性が低くても、MERS発病が大規模で様相が複雑な上、追加患者の発生の可能性が予想されるだけに、保健当局が強力に対応しなければなければならないと強調した。

 評価団は「韓国で類似の新種伝染病が追加で発生する可能性がある」と指摘し、「公衆保険機関の力量強化および感染専門家、疫学専門家など人材養成と公衆保険実験室および陰圧病室拡大などに対する追加投資を提案する」と明らかにした。政府が民間医療中心の医療政策を展開し、相対的に公共医療システムが不十分になりMERS拡散をもたらしたとする指摘と同じ脈絡だ。

 最も大きな問題は、公共医療の比重があまりに少ないという点にある。経済協力開発機構(OECD)の資料によると、2013年基準で全医療機関のうち公共医療が占める比重は、病床数では9.5%、医療機関数では5.7%だ。OECD平均の77%(2011年病床数基準)に比べて非常に低い。伝染病が発生した時、即座に必要な国家指定陰圧病床も不足している。クォン・トクチョル中央MERS管理対策本部総括班長は「国家指定病院の陰圧病床は104あるが、大規模な患者発生を予想していなかったため不足している」と語った。感染病専門担当者も不十分だ。国内疫学調査官は34人に過ぎないが、その94%の32人が3年勤務の公衆保険医だ。

世宗/キム・ソヨン記者、キム・ヤンジュン医療専門記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-06-14 20:03

https://www.hani.co.kr/arti/society/health/695905.html 訳Y.B

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