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在韓米軍は世界規模の生物化学兵器戦実験場だったのか

登録:2015-06-04 08:37 修正:2015-06-04 12:02
 研究を主導したピーター・イマニュエル博士
 「昨年、烏山で2システムの野外実験
 生物武器迅速感知・対応目的」と明示
2014年3月に米陸軍HPの「エッジウッド化学生物学センター」(ECBC)で紹介されたジュピタープログラムは、実は生物学戦探知装置だった=米陸軍HPから//ハンギョレ新聞社

 米軍が世界規模で生物化学兵器による攻撃および対応能力を向上させるため、韓国を生物学戦の現場実験室として、炭疽菌やボツリヌスなどの猛毒性物質をなんの規制もなく持ち込んでいることを示す、いわゆる「ジュピタープログラム」(JUPITR=連合在韓米軍ポータルおよび統合脅威認識)の実体が姿を表わした。

 米陸軍エッジウッド化学生物学センター(ECBC)の生物科学部門責任者で、ジュピタープログラムを導くピーター・イマニュエル博士は昨年12月、「化学・生物・放射能・核ポータル」(CBRNe Portal)という米軍事媒体とのインタビューで、生物兵器戦対応実験場所として韓国を選んだ理由について「在韓米軍高官が(ジュピタープログラムという)先進的な概念を実験することを望んだ」と明らかにした上で、「地政学的に米国の資源が高度に集中し、駐留国(韓国)も友好的な意味がある」と説明した。イマニュエル博士は「韓国で設計された枠組みは米軍のアフリカ・ヨーロッパ・太平洋司令部に適用することが可能」と述べ、全世界の米軍の生物学戦対応基準を用意するための実験室として韓国を選択したという認識を明確に示した。

研究を主導したピーター・イマニュエル博士 //ハンギョレ新聞社

 イマニュエル博士は韓国で進めるジュピタープログラムを「生物兵器の攻撃をより早く感知し迅速に対応するためのもの」と説明した。ジュピタープログラムは4種類の分野で進行される。このうち最も大きな憂慮をもたらす分野は「生物学分析能力セット」(BICS)だ。戦争で兵士たちが携帯が可能で扱いやすい検査装置を利用し、敵軍が使った生化学兵器の毒素や病原菌標本を採集した後、短ければ4時間、長くても24時間以内にどんな成分なのか鑑識できる体系を意味する。

 生物学分析能力セットの1段階では、検査装置を利用して炭疽菌やボツリヌスなど細菌・毒素標本を分析する。実験を進めるためには細菌と毒素の標本を持ち込まなくてはならない。烏山(オサン)空軍基地のジュピタープログラム研究所で先月27日、生きている炭疽菌を対象に実験が進められる事故が起きたのも、この1段階分析のためだった。

 イマニュエル博士は昨年のインタビューで、「以前は飛行機に乗って米本土などにある実験室まで行かなければならず、数日または数週間かかった」と述べ、「2年前は韓国の指揮官にこのような能力がなかったが、今はオンラインで連結された(韓国内)研究所でサンプルを正確に分析し、4~6時間で結果の報告を受けることができるようになった」と指摘した。生物学分析能力セットは完成段階に至っており、事実上、韓国内で生物学戦の実験がいつでも行われる可能性があることを示唆したのだ。

 ジュピタープログラムの別の分野である「環境評価鑑識機」(AED)も、韓国内で実験が進行されるなどかなり進展している状況にある。この鑑識機は、大気などの環境に生化学兵器用毒素や病原菌が広がらなかったか24時間で探知する機能を持っている。イマニュエル博士は「(2014年) 9月から先週まで(12月)、烏山空軍基地内で2システムを野外に設置し、どう作動するか見守った」と述べた。また今年1月、エッジウッドセンターは「研究者が韓国に九つの鑑識機システムを持って行き、この中には携帯電話と互換される鑑識機もある」と明らかにした。

 問題はたった1グラムで100万人を抹殺できるボツリヌスなどの生物化学戦の物質が、韓国政府も知らない間に在韓米軍実験室を秘密裏に行き来する状況が、日常的に起きているかも知れないという点だ。

 ジョン・ウシク平和ネットワーク代表は「米軍はジュピタープログラムのため韓国に炭疽菌などを持ち込み、生物兵器禁止協約を違反した可能性がある」として「米国は韓国で最初に生物学戦対応実験をしておきながら、事前通報はもちろん検疫主権も認めないのは深刻な問題」と批判した。

キム・ジフン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-06-04 01:16

https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/694227.html 訳Y.B

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