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米国、炭疽菌問題で口先だけの謝罪

登録:2015-05-31 21:59 修正:2015-06-01 06:37
 カーター米国防長官、韓米防衛相会談で謝罪
 事件発生の原因・経過など説明せず
 再発防止のためSOFA改正求める動き
米軍研究所が誤って生きている炭疽菌を配送し、要員22人が菌に露出されたことが明らかになった在韓米軍烏山空軍基地で、28日、戦闘機が訓練を行っている=平沢/ニューシス

 最近、在韓米軍烏山(オサン)空軍基地に生きている炭疽菌が届けられた事態に対し、アシュトン・カーター米国防長官が公式に謝罪した。しかし、事件発生の原因と経過については全く説明しなかったことから、「口先だけの謝罪」との指摘もされる。

 シンガポールで行われているアジア安全保障会議(シャングリラ対話)に参加したカーター長官は5月30日、ハン・ミング国防部長官との韓米防衛相会談で炭疽菌事故について「謝罪する」と述べたと、国防部当局者が伝えた。カーター長官はまた、「事故について調査しており、結果は韓国側と迅速に共有する」とし、「責任者に対して責任ある措置を取るとともに、再発防止のために努める」意向を示した。米国国防長官の謝罪は5月28日、事故の状況が公開されてから2日後に行われた。

 米国側は、今回のことが、両国間の軋轢に広がる可能性をかなり警戒したものと見られる。当初、米国側は、今回の会談で炭疽菌事件を取り上げる計画はなかったが、議題調整の過程で韓国側が「国内の雰囲気が深刻だ」と伝えると、議題として採択して遺憾を表明することにしたと伝えられた。米国は、今回の事態が2002年、在韓米軍の訓練中に軍用車両に2人の女子中学生が圧死させられた事件の時のように、韓国内における反米感情の拡散につながる可能性を懸念していると分析される。

 しかし、カーター長官は、今回の事件の背景について全く説明せず、いきなり謝罪の言葉を並べただけであり、これから米国側がいかに誠実に関連情報を追加提供するかに注目が集まっている。まず、生きている炭疽菌が韓国に入ってきた全過程を明らかにする必要がある。米軍が1998年に韓国烏山基地に炭疽菌実験施設を作って運営してきた事実が明らかになっており、今回のような“ミス”が過去にも起きた可能性を排除できなくなったからだ。

 在韓米軍の生物兵器の現状について、韓米間の情報共有がしっかり行われているかどうか、点検する必要があるものと見られる。政府当局者は31日、「在韓米軍と韓国軍は訓練内容を互いに通知していない」とし、これまで在韓米軍が炭疽菌の実験状況などを韓国側に知らせなかったことを認めた。国民の安全を脅かす可能性がある生物兵器の搬入状況は、韓国側が必ず把握しなければならないという声が高まっている。

 カーター長官が約束した再発防止のためには、米軍の軍事貨物の税関検査を禁止した韓米駐屯軍地位協定(SOFA)を改正する必要があるとの指摘もされる。また、炭疽菌の場合、生きていない非活性化状態の菌でも危険物質搬入通報の対象に入れるべきだという意見も提起されている。

キム・ウェヒョン記者、シンガポール/パク・ビョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-05-31 19:50

https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/693612.html  訳H.J

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