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[ニュース分析] 北朝鮮、パン事務総長の「ミサイル批判」を国連の内政干渉と反発か

登録:2015-05-21 00:16 修正:2015-05-21 07:34
開城公団訪問の許可を突然撤回
パン・ギムン国連事務総長が19日、ソウル・汝矣島で開かれた国連グローバルコンパクト(UN Global Compact)韓国指導者首脳会議で演説している=キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社

 パン・ギムン国連事務総長は来年末任期を終える前に、南北関係の改善に向けて意味のある役割を期待されてきた。北朝鮮が20日、パン総長の開城(ケソン)工業団地訪問許可を一日で電撃撤回することにより、南北関係は当分の間、梗塞局面を脱出するが難しくなる見込みだ。

■北、核・人権問題に反発?

 北朝鮮がパン総長の訪朝を突然取り消したのは、彼が前日、北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を批判し、北朝鮮の改革・開放を促す発言をしたことに対する反発というのが大方の分析だ。パン事務総長は、北朝鮮の核・ミサイル開発を国連安全保障理事会の関連決議案に対する違反とし、「国際社会との交流を緊密にして、(外部への扉を)開放し、経済発展に邁進することが望ましい」と述べた。北朝鮮国防委員会政策局は20日午後に発表した報道官声明で、国連安保理について「自分の使命と憲章に明記された任務を忘却し、米国の独断と専横に沿って動く機構、公正性と公平性を捨て、主権尊重の原則、内政不干渉の原則を自ら放棄した機構」だと非難した。ヤン・ムジン北韓大学院大学教授は「パン総長の訪朝取消決定が公開されてから数時間後に出てきたこの声明に、訪朝を取り消した理由が現れている」と述べた。

 北朝鮮内部の勢力間の対立が背景に作用した可能性も提起されている。ソウル大学のチャン・ヨンソク統一平和研究院主任研究員は「北朝鮮としては人権決議案と対北制裁などをする国連が嬉しい存在ではない。北朝鮮内部における勢力間の政策対立や軋轢が大きく、強硬派が蠢動し、金正恩(キム・ジョンウン)労働党第1書記が、彼らに味方したものと見られる」と述べた。チョン・ソンジャン世宗研究所統一戦略研究室長は「このような突然の許可撤回は金正恩第1書記の指示なしなかなかできない。自分の考えを国際社会に示す機会を逃したのは、金正恩第1書記の外交力量不足を表している」と述べた。

 パン事務総長「対北発言」翌日
 北朝鮮国防委、国連批判声明を発表
 内部強温勢力間の軋轢説も
 南北冷却期からの転換に対する期待も霧散

■南北関係“冷却”

 南北関係の雰囲気を転換できると期待されていたパン総長の訪朝が突然取り消されたことで、その反動として南北関係はさらに凍り付きそうだ。北朝鮮は、民間に対しても扉を閉めてかけている。 6・15共同宣言15周年南北共同行事南側準備委員会は、今月14日に続いて18日に再び北側準備委員会に接触を提案したが、20日現在、北朝鮮からはまだ回答がない。 5月中の実現が期待されていたイ・ヒホ金大中(キム・デジュン)平和センター理事長の訪朝も遅れている。キム・ソンジェ金大中平和センター理事は「まだ、北朝鮮から連絡がない。南北関係が厳しいから時期を見計らっているのではないかと思う」と話した。

 開城工団も北労働者の賃上げ問題をめぐる南北間の対立がなかなか解決できずにいる。特に、韓国政府が4月分の賃金から開城工団管理委員会に委託して納付するように企業に求めだのに対し、北朝鮮化側が「主権侵害」だと反発するなど、亀裂が広がっている。今月22日、開城工業団地の企業連合会長が開城工業団地の再訪朝して、南北当局間の対話を再度要請する予定だが、パン総長の訪問を拒否した北朝鮮が、より強硬な態度に出るのではないかという懸念の声が高まっている。

■パン総長、平壌を訪問できるか

 パン事務総長は、国連事務総長就任以来、「適切な時期に訪朝を検討する」という立場を重ねて明らかにしてきた。 2009年と2012年にも「平壌(ピョンヤン)を直接訪問し、北朝鮮の指導者との南北対話と交流、協力を促すために、すべての問題について議論する用意がある」と語るなど、世界で唯一の分断国家出身の国連事務総長として、朝鮮半島の緊張緩和に向けての貢献を自分の業績(レガシー)にするという意志を、機会があるたびに表明してきた。 2011年、金正日(キム・ジョンイル)総書記死亡当時、国連事務総長名義で弔電を送るなど、北朝鮮との関係も継続的に管理してきた。

 パン事務総長は、事務総長室と北朝鮮国連代表部とのニューヨーク・チャンネルを通じて、着実に北朝鮮訪問の可能性を打診してきたと伝えられた。特に仁川(インチョン)松島(ソンド)で開かれた世界教育フォーラム(WEF)に参加することをきっかけに、数カ月前から開城工業団地訪問を推進してきた。持続的な接触を通じて19日午前、開城工団訪問に対する北朝鮮の許可を得たが、一日で無駄になってしまった。それにもかかわらず、パン事務総長側は、依然として平壌訪問を検討していると様子だ。韓国政府関係者は20日、「パン事務総長は、北朝鮮訪問を推進しながら、機会があれば、平壌にも行こうとした」と述べた。

キム・ジフン、キム・ウェヒョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-05-20 20:11

https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/692166.html  訳H.J

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