韓国政府が7月から基礎生活保障(日本の生活保護に相当)受給者の選定と支援の基準として使われる「2015年中位所得」を無理に下げようとしているという主張が提起された。 基準となる中位所得が低くなるほど基礎受給者の数が減り、受給者に対する政府の支援金額も削られる。 「福祉財政効率化」を強調している政府が、これを口実に国民の最低生活保障水準を後退させようとしているというのだ。
23日、政府と複数の中央生活保障委員会関係者の話を総合すると、2015年中位所得決定のため17日の中央生活保障委員会会議で最終合意に至れなかった理由は、企画財政部など政府の“ごり押しの主張”のためであることが明らかになった。 中位所得とは、すべての世帯を所得順に並べた時に、ちょうどまん中にある世帯の所得を意味する。昨年12月、国民基礎生活保障法(基礎法)改正当時、政府とセヌリ党は基礎受給者選定・支援の基準線として既存の最低生計費の代わりに中位所得を導入しなければならないと主張し、これを貫徹させた。 最低生計費と同じように基準中位所得も政府と民間が共に参加する中央生活保障委員会の審議・議決を経て算定される。
ハンギョレの取材結果、現在中央生活保障委員会で議論されている「2015年中位所得」モデルは三種類ある。 大多数の民間委員が最も合理的だとして推すモデルは、2014年の中位所得(4人世帯基準、推定値407万2829ウォン(約45万円))に直近の3年間(2011~2014年)の世帯所得平均増加率4.3%を適用する方式(第2案)だ。この方式による2015年基準中位所得は月額424万7961ウォンだ。 基準最低生計費を算定する時にも“最近3年間”の物価上昇率を反映したというのがこの委員会関係者の説明だ。
一方、企画財政部は3年ではなく相対的に低い最近2年間(2012~2014年)の世帯所得増加率を適用(第1案)しようと主張しているとのことだ。さらに企画財政部は最近2年間の世帯所得増加率で相対的に高い農漁業世帯の所得増加率は除かなければならないと要求し、大多数の民間委員の反発を買っている。 企画財政部の主張とおりに農漁業世帯を含む2014年中位所得に農漁業世帯を除いた最近2年間の所得増加率(3.19%)を適用して2015年中位所得を算定すれば420万2752ウォンになる。民間委員方式より月額4万5209ウォン少なくなる。 受給者の規模と支援金額はそれだけ減ることになる。
イ・チャンジン参与連帯社会福祉委員長は「企画財政部が福祉財政効率化を口実に基準中位所得を無理に低くしようとしているという指摘が事実ならば、これは低所得層の最低生活保障という国家の責務を忘却した処置」と指摘した。 これに対して企画財政部関係者は「2015年度基準中位所得の決定に関する議論はまだ進行中であり、最終結果が出る前に私たち部署の立場を明らかにすることは控えたい」と語った。