「高齢者の貧困を解消して安らかな老後の生活を支援します」
7月に基礎年金制度を導入する際に政府が掲げた約束だ。 先月末までに433万人の高齢者が基礎年金を受給した。月額最大20万ウォン(1ウォンは約0.1円、夫婦2人世帯は最大で32万ウォン)の基礎年金を全額受給した老人は全体の91.5%(396万人)だ。 制度施行6か月目、基礎年金は老人の暮らしにどのような変化を持たらしたのだろうか。
京畿道富川(プチョン)から毎日ソウル鍾路(チョンノ)まで出勤するユン氏(72)は基礎年金16万ウォンを受給し、月に一度は温泉にも行くと話した。「温陽(オニャン)に行って温泉に入り、おやつも買って食べる」というユン氏は「私は国家有功者年金17万ウォンも受給しているので基礎年金だけの人よりは良いんだけど。基礎年金しかない人は大変だろう」と話した。
15日、ソウル鍾路一帯でユン氏などの高齢者に会って基礎年金の話を聞いてみた。それ以外に他の所得がある老人にとっては、基礎年金はよいお小遣いなのかもしれないが、そうでない多くの高齢者にとって基礎年金は「ギリギリの生計費」だった。安らかな老後の暮らしを支援するという基礎年金制度の行く先はまだ遠く見えた。
受給者500人調査…44%が医療費に使う
所得がある時は“お小遣”にもなるが
無所得ならば住居費負担で病院にも行けない
基礎生活費受給者39万人は基礎年金で不利益
「老人貧困解消という導入趣旨は活かされず」
ソウル永登浦(ヨンドンポ)で一人暮らしをしているハン氏(67)は、基礎年金16万ウォンの半分を薬代に使うと話した。 「関節が良くなく高血圧のため、薬を飲むのに毎月薬代だけで8~9万ウォンかかる。 薬を買って食べるのもギリギリで、ご飯は外では食べない」と話した。 ハン氏も月16万ウォンの他には収入がない。
「マッコリを何度か飲めば無くなる金だろ」。ソウル禿山洞(トクサンドン)に住むソン氏(74)は、基礎年金の話が出ると苦々しそうな顔をした。 マッコリとタバコだけが楽しみなソン氏にとって、毎月13万ウォンずつ出てくる基礎年金は「とても重要で大切な」お金だ。ソン氏は「一日一箱ずつタバコを吸うが、来年からタバコが上がるので、ほんのわずかな基礎年金をもらっても、タバコ代が足りなくて吸殻を拾って吸うかも知れなくなった」と話した。
保健福祉部は11月に基礎年金受給者500人を対象にアンケート調査を行い、年金をどこに先に使うのかと尋ねたところ、医療費(44.2%)、食費(30.2%)、住居費(15.8%)の順と調査されたと17日明らかにした。
医療費支出など思いもよらない老人もいる。 ソウル恩平区(ウンピョング)仏光洞(プルクァンドン)の小部屋を借りて暮しているチョ氏(80)は、基礎年金20万ウォンを受給しているが、「食事代」にも事欠くと話した。チョ氏は「高血圧と糖尿の症状があるが、病院にも行かず薬も飲んでいない。 病院に行くお金なんてどこにあるんだ」と話した。 小部屋に籠もっているのも退屈で、チョ氏は地下鉄に乗って鍾路にしばしば出るが、昼食だけで最低5000~6000ウォンはかかる。 「食事代も高いので時々は教会に行って食べたりもする」というチョ氏は、全く収入がなく基礎生活受給者に指定されれば良いが10年前から連絡が途切れた息子がいるために受給者指定も受けられなかった。
基礎年金制度が施行されて6か月目になるが、相変らず解決法が見つからない“基礎年金死角地帯”も問題だ。 基礎年金は所得下位70%の老人に支給されるが、家庭の暮らしむきが苦しい基礎生活需給の高齢者たちはその恩恵を享受できない。 もちろん基礎生活受給者にも基礎年金が支給されはする。 ただし、その金が世帯所得に含まれ、基礎生活保障制にともなう生計給付を受ける際にその分を控除され残った金額だけを受け取る。 「(基礎生計費需給老人に)与えて抜きさる基礎年金」という言葉がここから出てくる。 約134万人の基礎生活受給者のうち、基礎年金の対象者である約39万人がこういう“不利益”を受けている。
オ・ゴンホ「私が作る福祉国家」共同運営委員長は「基礎年金制度を導入した趣旨が“高齢者貧困の解消”なのに、最も貧しい基礎生活需給老人39万人を排除することは制度の正当性を傷つける深刻な問題」として「政府も基礎生活需給老人を基礎年金支給対象から排除する問題の深刻性を認めただけに、来年にはこのような制度的死角地帯を解消する改善策を出さなければならない」と指摘した。