李完九(イ・ワング)首相が20日、朴槿恵(パク・クネ)大統領に辞意を表明した。与野党から辞任要求が強まり他の選択肢がないと判断したものとみられる。
セヌリ党指導部はこの日、「ソンワンジョン・リスト」に載った李完九首相の去就に対し、南米歴訪中の朴槿恵大統領が帰国する前に自主辞退を誘導する方向へと傾き、これを大統領府と李首相に直間接的に伝えた。今回の悪材料で与党が共倒れになる恐れがあると判断したためだ。間近に迫った4・29補欠選も問題だが、今回の問題が長期化する場合、与党が再起不能な状態に追い詰められ、来年の総選挙だけでなく次の大統領選挙にまで影響を及ぼす憂慮されていた。
これまでセヌリ党指導部は李首相の去就に関し、朴大統領の歴訪期間中(16~27日)の検察の捜査状況と世論の推移を見守り、朴大統領が帰国する27日以後に判断を先送りする方針だった。金武星(キム・ムソン)・セヌリ党代表は19日、李首相の去就問題に関連し「1週間だけ待って欲しい」と述べていた。
しかし20日になり党の雰囲気が変わった。セヌリ党幹部はこの日、ハンギョレとの通話で「今日の非公開最高委員会議で党指導部は補欠選事前投票日の24~25日以前に李首相本人が(自主辞退を)決めるのが望ましいという方向で認識を共にした」と述べた。与党の初・再選議員の集い「朝の声」所属議員もこの日、李首相の自主辞退決断を求めた。
与党における気流の変化は、野党が李首相に対する解任建議案の推進を決めたことで時間をとられることになり、今後の国政運営主導権を奪われかねない危機意識が高まったためと思われる。与党幹部は「朴大統領が歴訪から帰国した後に李首相の去就を決めると話し、首相辞任が既成事実化されているなかで野党が解任建議案を提出すれば、まるで野党に圧迫されて李首相が辞退するようになる」と語る。
さらに李首相に関する新たな疑惑が玉ねぎの皮をむくように連日飛び出し、朴大統領の帰国まで待っていたら時機を逸するとの判断も“早期辞退論”に拍車をかけたものとみられる。この日もソン・ワンジョン前会長と「個人的な関係ではなかった」と主張してきた李首相が昨年1年間にソン前会長と210回以上も通話していた事実が明らかになり、李首相の偽証問題が一層膨らんだ。
9日後に迫る4・29補欠選もセヌリ党内の雰囲気に影響を及ぼしたようだ。与党では今月初めの段階で、光州とソウルを除く残り3カ所(ソウル冠岳乙、仁川西・江華乙、京畿城南中院)での勝利を予想していたが、最近の党の調査で同地域の支持率格差が狭まり危機感が漂っているためだ。さらに中長期的には、来年の総選挙と2017年の大統領選挙まで今回の問題の影響圏内に入るほかなく、与党にとり早期鎮火は切実な問題だ。
新政治民主連合が23日開かれる本会議に合わせ解任建議案を提出する方針を明らかにしたことも、李首相の自主辞退決断を促した要因となった。23日の本会議に解任建議案が報告されれば、72時間内に本会議を開き処理しなければならない。だが、25日・26日が休日なので解任案を処理できる日は24日しかない。与党が24日の本会議開催に合意しなければ解任案は自動廃棄されるほかはない。本会議に報告された解任案が処理タイムリミットをすぎて自動廃棄されれば、その責任はそっくりセヌリ党が負うことになるというのが野党の判断だった。
同連合幹部は「首相解任案の本会議処理の有無は私たちの関心事ではない。野党が解任案を出す行為自体が国民を相手にした高度な政治行為であり、首相と政府与党には実質的圧迫になる」と述べた。
韓国語原文入力:2015-04-21 02:54