本文に移動

[記者手帳]終わらない韓国の政経癒着

登録:2015-04-18 09:29 修正:2015-04-21 12:32
“税風”→“車まるごと賄賂”→ソンワンジョン・リスト、その次は…
ソン・ワンジョン前京南企業会長の政界金品提供疑惑を捜査中の検察特別捜査チーム職員が15日夕、ソウル・踏十里洞の京南企業本社で家宅捜査した物品を車両に移している イ・ジョンヨン先任記者//ハンギョレ新聞社

 ソンワンジョン・ゲートの衝撃から企業の不法政治資金を利用した政経癒着が再び国民の関心事になっている。

 企業政治資金の歴史を2000年代以降に圧縮すれば、透明性を大幅に強化した2004年3月の政治資金法改正が分岐点に選ばれる。法改正前は2種類の手口で黒い金が行き来した。そのうちの一つは一種の公式通路だった。全国経済人連帯会議の元役員は「政界から選挙の時に全経連に要求額を出せば、グループ別に事前に決められた割合で募金して与野党に渡した」と話した。もう一つは、個別企業と政界との直取引。金が必要な政界と、特典を求めたり“保険”を持ちたい企業の利害が一致した場合だ。

 1997年の大統領選挙の時に起きた「税風」事件が代表例だ。当時ハンナラ党の候補だったイ・フェチャン氏の弟が国税庁を動員し、20余りの大企業から166億ウォンもの大統領選挙戦資金をかき集めた事実が明らかになった。2002年の大統領選でもハンナラ党が大企業から823億ウォンの不法政治資金を受けた、いわゆる“車まるごと賄賂”事件が起きた。当時、某財閥が現金150億ウォンを数十個のリンゴ箱に入れて載せた後、高速道路サービスエリアでトラックを引き渡したのが「車まるごと」という言葉の由来になった。

 2004年以後は全経連を通した公式募金は姿を消した。政界と個別企業の直取引は残ったが、その規模は過去に比べ大幅に減ったという。5大財閥グループの元社長は「2008年の総選挙の時に特定の候補者を支援したが、規模は1人当り数百万ウォン程度が誠意を表す水準になった」と打ち明けた。

 ソン・ワンジョン前京南企業会長は企業家と政治家の二つの顔を持つヤヌス的存在だ。一般企業の政経癒着のレベルを超え政経のいずれをも追求した特異な人物だ。小学校を中退した彼が小さな地方建設社を皮切りに35年で請負順位20位圏に入る大型建設会社の会長に成り上がる過程は、政経癒着の歴史そのものだった。ソン前会長は資源外交不正以外にも、過去20年余りで政治資金の提供、不正腐敗、選挙法違反などの不正な疑惑が提起されただけで5件に及ぶ。このうち2004年の自民連への16億ウォン不法提供、2007年の行淡島開発事業不正など3件は処罰まで受けた。

 だが、ソン前会長は二度も特別赦免され、2012年には国会議員に当選した。その後、金融監督機関を監察する国会政務委員会で活動し、京南企業の特典のために自らの政治的影響力を最大限に利用した。猫に魚屋を任せたも同然である。

朴槿恵大統領が大統領選挙で当選した翌日の2012年12月20日、党事務所で開かれた中央選挙対策委員会解団式で挨拶している。後列に故ソン・ワンジョン前京南企業会長が座っている カン・チャングァン記者//ハンギョレ新聞社

 税風→車まるごと賄賂→ソンワンジョン・リストにつながる不法政治資金の輪を断ち切るには何が必要なのか?朴槿恵(パク・クネ)政権は腐敗との戦争を宣言した。だが、自殺したソン前会長は李完九(イ・ワング)首相を「事情対象1号」と言い放った。ソンワンジョン・リストに載る8人は、前・現職大統領府秘書室長を含めほとんどが親朴槿恵系の人たちだ。ホン・ムンジョン議員が受けたという2億ウォンは2012年大統領選挙戦資金の一部に使われた可能性もある。「上流の水が汚ければ下流の水も汚い」と言われるように、不正腐敗を根絶するには大統領周辺から掃除をするのが順序だ。

 法治主義の再確立も重要だ。ソン前会長が過去に厳罰に処され、特別赦免がなかったなら、今の事態はなかっただろう。今でも与野党の政治家の中には黒い金を受けても堂々と指導者行事を行う者たちがいる。経済界関係者は「黒い金を与えた企業も悪いが、黒い金をもらっても軽い処罰と赦免復権の特典を受けて再び政治をする悪循環を断ち切らなければならない」と話す。ソン前会長のように企業家と政治家の二つの顔を持つ国会議員の清算も宿題だ。

クァク・ジョンス経済部先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-04-18 00:32

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/687388.html 訳Y.B

関連記事