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[記者手帳] 朴槿恵に李明博を懲らしめることなどできるのか

登録:2015-03-21 09:40 修正:2015-03-21 11:00
13日夕、仁川市延寿区のポスコ建設で家宅捜索を終えた検察捜査官が押収品を持ち出している。キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 「天罰覿面だ。(チョン・ジュンヤン会長在任5年間は)彼らの天下だった」

 ポスコ元幹部は検察のポスコ建設秘密資金捜査が急速に広がるのを見守り、ため息をつく。マスコミでは連日、ポスコ不正に関する新たな疑獄報道が続いた。ソンジン・ジオテック(現ポスコプランテック)高値買収疑惑が代表例だ。ポスコがソンジン・ジオテックを高値で買収し、前大株主に数百億ウォンのキャピタルゲインをもたらした疑惑は、2010年にハンギョレ時事誌のハンギョレ21が独自に報道した内容だった。

 これまでポスコ周辺では、チョン・ジュンヤン会長時代にMB(李明博)政権実力者との癒着や不正な取り引きに関する疑惑が無数に提起されてきた。ポスコ関係者は「今提起されている懸案は氷山の一角に過ぎない」と語る。チョン会長在任5年間で規模の大きな企業買収だけで10件を超え、金額は7兆ウォン(約7700億円)に達する。ポスコはこれらのうち相当数を実際の価値より高く買収しており、政府実力者が支援金を用意したとする疑惑がついて回る。

 朴槿恵(パク・クネ)大統領は17日の閣僚会議で「社会各部門で積み重ねられてきた慢性的な不正腐敗に対し断固たる措置が必要だ」と不正清算の意志を強調した。財界からは大統領が支持率下落と執権後半の早期レイムダックを防ぐため、企業に司法の刀を振り回しているとの不満の声が伝わる。MB政権時に数多くの疑惑が提起されていながら沈黙を守り、政権が変わった途端、猟犬に変身する検察の姿も見苦しい。

 捜査意図がどうあれ、不正腐敗を正当化するわけにはいかない。問題はポスコ不正を根絶するには根本原因を治療しなければならないという点にある。不正の中心にはチョン・ジュンヤン前会長とチョン・ドンファ前ポスコ建設副会長がいる。だが、不正の核心となるのは結局、「迎浦(ヨンポ)ライン」(李明博政権の中心をなす人脈)を含むMB政権時代の権力中枢にいた人たちだ。

 彼らがポスコを思い通りにできたカギは人事介入だった。2009年初めにチョン・ジュンヤン会長を選任する過程でMB最側近のパク・ヨンジュン元知識経済部次官らが介入したのは、すでに公然の事実だ。このためポスコ周辺からは「朴槿恵に李明博を懲らしめることができるのか」という疑問まで提起される。

 昨年のポスコ会長選任の時も権力介入の噂が広まっていた。現政権としては過去とは違い癒着不正がないと差別性を強調するかもしれない。また、クォン・オジュン会長は鉄鋼技術専門家出身で、清廉なイメージが強く、不正とは距離があるという評価もある。だが、状況が変われば過去の不正はいつでも再燃する。就任から1年経つクォン会長はいまだに人事権をまともに行使できないという話が伝わる。その代わり、大統領府の門番権力とその背後勢力が人事を思い通りにしているるという噂が広まっている。

 ポスコは政権が変わる度に最高経営者が中途で追い出され、権力の意向に沿った人物が代わりに選任されてきた。その後、政権が変わると過去の不正疑惑が提起される悪循環の繰り返した。ポスコ不正根絶の根本処方は権力の不当な人事介入の断絶から始めなければならない。ポスコ株を一株も持っていない政府が介入すること自体が不法だ。

クァク・ジョンス経済部先任記者//ハンギョレ新聞社

 筆者は2012年の大統領選挙直前にチョン会長に会った席で、「権力の不当介入を防ぎたければ、会長の座にこだわらず、最高経営者養成プログラムを公式なものとし、有能で検証された人物が選任されるよう制度化した上で、権力の影響を防ぐ独立した社外重役を選ぶべきだ」と薦めたことがある。チョン会長は話を聞き入れず、2013年初めに再任の道を選んだ。だが、その結果が中途退陣へと続き、不正捜査の対象となる最悪の状況を呼んだ。

 クォン・オジュン会長も同じだ。3年任期にこだわらず権力の人事介入を防ぐ勝負の賭けに出なければならない。それが会社と本人を生かすことにもなる。

クァク・ジョンス経済部先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015.03.20 19:49

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/683276.html 訳Y.B

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