与野党は2日、いわゆる「キム・ヨンラン法」(不正請託と金品授受禁止法)の適用を受ける公職者の「家族」の範囲を配偶者に限定するなど、主要な争点についての意見調整を行い、3日、国会本会議で処理するための土壇場の交渉を続けた。政府が国会に提出したこの法律が2013年8月に1年7カ月ぶりに国会を通過すれば、1年6カ月の啓導期間を経た後、来年9月から全面施行される。この法律は、公職者とその家族の道徳性を高め、慣行的に行われてきた各種の請託・接待文化を無くそうとする趣旨から始まったが、適用対象家族の範囲を大幅に減らすなど、当初の趣旨より後退したという指摘が出ている。検察と警察など国家機関の権限の肥大化と乱用の懸念も提起されている。
セヌリ党のユ・スンミン、新政治民主連合のオ・ユングン院内代表は2日午後、国会で会いキム・ヨンラン法の争点条項についての意見調整を試みた。与野党はキム・ヨンラン法の適用対象公務員「家族」の範囲を「配偶者」に限定することで意見の一致を見た。国会政務委員会を通過した既存のキム・ヨンラン法案には、家族の範囲を配偶者、直系血族、兄弟姉妹、生計を同じくする直系血族の配偶者、配偶者の直系血族、配偶者の兄弟姉妹など、民法上の家族と規定していたが、これを配偶者だけで大幅に縮小したのである。公職者自ら家族の不正請託と金品授受の事実を申告するようにした規定も、自動的に配偶者にのみ適用される。
争点なっていた法の適用対象「公職者」の範囲と関連し、与野党は国・地方自治体の公務員や公共機関職員、国公立学校教職員はもちろん、報道機関の役職員と私学教職員も含めた政務委員会案を維持することにした。与野党はしかし、職務関連性の条項をめぐり、この日夜遅くまで対立を続けた。セヌリ党は、金品を授受した場合、職務関連性がある場合は金額に関係なく刑事処罰することを主張したのに対し、新政治連合は「100万ウォン(約10万9000円)を超えれば刑事罰、100万ウォン以下は、過怠料処分」を主張して対立した。
キム・ヨンラン法が施行されれば公務員と公共機関の役職員、報道機関従事者、公立・私立学校職員とその配偶者を相手にした各種の請託や接待文化が大きく変わると思われる。飲酒・ゴルフ接待などはもちろんのこと、大統領令で許容される金額(3万ウォン、約3270円)を超える食事の提供もほとんどが違法となる。公務員に対するお歳暮などもなくなる見込みだ。
パク・グンヨン参与連帯協同事務局長は「子供や親、兄弟姉妹を介して迂回的に金品を受け取った事例が以前からあったにもかかわらず、家族の範囲を配偶者に絞ったことで、当初の趣旨を生かせるか疑問だ」と述べた。
国民権益委員会や検察と警察などの捜査機関に「刀」を握らせたことで権力機関の権限の濫用と横暴が予想されるという懸念も出ている。自律性と独立性が命であるメディアまで規律対象に入れて、政権の「メディア飼いならし」に悪用される可能性があるという指摘もある。
韓国語原文入力: 2015.03.02 21:38