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親戚に合わせる顔がなかったのか…旧正月帰省の悲劇

登録:2015-02-22 23:41 修正:2015-02-23 08:27
金で悩んでいた家長
旧正月迎え本家向かう途中に
妻と子4人を殺害し、自分も...
身につまされる「極端な選択」相次ぐ
崩れる家族の絆。//ハンギョレ新聞社

専門家 「旧正月は親戚との比較で
相対的剥奪感·重圧大きくなる」分析

 「人生...答が出てこない」

 妻と子を殺害し、自ら命を絶ったと見られるユ氏(35)が事件直前カカオトークに残した文だ。20日未明、慶南巨濟(コジェ)市屯徳(トゥンドク)面の路肩に止められたサンタフェ車両で、ユ氏と妻のチョン氏(39)、9歳の娘、6歳の双子の息子の5人が死亡したまま発見された。妻と子供たちは、凶器に刺された状態であり、ユ氏の手首などから自傷行為の痕跡が発見された。警察は、1次剖検の結果をもとに、ユ氏が妻と3人の子供を殺害した後、自ら命を絶ったものと見られると22日明らかにした。

 造船会社協力会社の従業員であるユ氏は妻名義で約1億5000万ウォン(約1610万円)の借金をした。昨年末、個人回生の申請をして毎月40万ウォン(約4万3000円)ずつ借金を返していた。巨濟に住んでいたユ氏の家族は、最近マンションを処分して近くのワンルームに引っ越したという。ムン・ホングク巨濟警察署捜査課長は「ユ氏にお金を貸してくれと頼まれて親戚が数回貸したようだが、彼らも借金が増えた理由を知らない」とした。警察は、借金のために悩んでいたユ氏が旧正月を迎え、釜山(プサン)の実家に行く途中で極端な選択をしたものと推定している。

 ユ氏がこのような選択をした理由は何だろうか。ソル·ドンフン全北大学教授(社会学)は「普段核家族で離れて暮らしていた人々が旧正月のような休日に集まることで、兄弟や親戚と比べられることになるが、特に自信が持てない人はかなりの重圧を感じる。これが極端な形で表れる場合もある」と述べた。経済的な状況で苦しんでいたユ氏が旧正月を迎え感じた「相対的剥奪感」が一種の「起爆剤」の役割を果たした可能性があるという説明だ。

 今回の事件は先月失業状態だった40代の父親が妻と二人の娘を殺害したソウル瑞草(ソチョ)洞一家殺害事件と似ている。先月の事件でもカン氏(48·拘束起訴)が家族に睡眠薬を飲ませたことが明らかになったが、ユ氏の車の中でも睡眠薬が発見された。家族を養わなければならない父親の責任感が、危機の時、妻や子供の命まで奪う最悪の選択につながったと思われる点も似ている。

 専門家たちは、旧正月のような休日に起こり得る「スマイルマスク症候群」も、このような重圧感の産物だと指摘する。イ・ジェヨンデシン大学院大学教授(相談心理治療学)は、「本人は苦しいのに親や親戚の前では笑わなければならない『スマイルマスク症候群』が起こる可能性がある。悲しいのに楽しいふりをしなければならないのはより大きな悲しみとして残る」とした。

 連休中に極端な選択をしたのはユ氏だけではない。 20日の夜11時頃、ソウル奉天(ポンチョン)洞縫製工場では、イ氏(50)が凶器で自害した後、倒れたまま発見された。イ氏は出動した警察官に「旧正月なのに生きるのがつらい。死にたかった」と話したという。 21日午前、慶北清道(チョンド)郡の貯水池では、4歳の男の子が死亡したまま発見され、この日の午後、慶北慶山(キョンサン)市の貯水池では、この子の母親オ氏(45)が死亡したまま発見された。警察はうつ病を患っていたオ氏が息子を殺害して自ら命を絶ったと見ている。

 ハ・ジヒョン建国大学精神医学科教授は「旧正月に人々は将来に希望がいるのかなどについて考えるようになるが、その過程でより大きな喪失感を感じることもある」と指摘した。

ソ・ヨンジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015.02.22 19:40

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/679171.html  訳H.J

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