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[ニュース分析]韓国首相候補にまた落馬の兆し

登録:2015-02-08 22:15 修正:2015-02-11 00:05
イ・サンドン教授「イ・ワング、先進国ならば首相はおろか議員職も投げ出さなければ」
イ・ワング首相候補者が自身を巡る各種の疑惑について記者たちに釈明している。キム・テヒョン記者 //ハンギョレ新聞社

不動産投機、兵役忌避、論文盗作、皇帝特講、特典採用等
各種疑惑の“リレー”に加え“言論統制”した事実まで露見

 先月23日、与野党から前例なき歓迎を受け首相候補に指名されたイ・ワング候補が、無難な聴聞手順を踏むだろうという予想を覆し、2週間ほどの間に明らかになった各種疑惑のため首相資格を危ぶまれる正反対の状況に立たされた。 不動産投機、兵役特典、論文盗作疑惑などこれまで高位公職候補者の落馬につながった各種の非適格理由をそっくり備えていることが露見したためだ。 指名初期には40~50年前の資料までてきぱきと示して“自販機説明”というニックネームまで得た彼だったが、記者たちの前で自身に不利な報道内容を統制した事実と、記者人事にまで介入できるという影響力をそれとなく誇った録音記録まで公開され崖っぷちに立つことになった。 朴槿恵(パク・クネ)政権で昨年聴聞会に立つこともできず落馬したアン・テヒ、ムン・チャングク両首相候補者がそれぞれ高額受託料、親日史観論議など比較的単一事案に疑惑や論議が集中したのとは異なり、イ候補に提起されている疑惑は種類の多さで、朴槿恵政権を含めた歴代政権で落馬した6人の首相候補らの疑惑を総合的に全て集めたように多様だ。 これに伴い野党は「首相資格がない」として攻勢に転じ、与党も世論を見ながら戦々恐々としている。

 これまでイ候補と家族などに提起された疑惑は、(1)次男所有の京畿道盆唐(プンダン)大庄(テジャン)洞の土地投機疑惑、(2)タワーパレス分譲権購入をはじめとする江南(カンナム)圏集中投機疑惑、(3)本人(補充役)と次男(免除)の兵役忌避疑惑、(4)京畿大学教授採用担当だった義理兄弟を通した京畿大学助教授特典採用疑惑、(5)博士学位論文盗作疑惑、(6)又松大学“皇帝特講”論議、(7)国家保衛非常対策委員会活動前歴と三清(サムチョン)教育隊関与疑惑などだ。 加えて8日には、外国系弁護士として高額収入を得ていた次男がイ候補者の地域世帯員として登録し健康保険料無賃乗車の指摘と、15代総選挙時の選挙公報に水原大学講師経歴を虚偽記載したという疑惑が追加された。

イ・ワング候補者、毎日新たな物議をかもし
高額年俸を得ている次男の健保料も納めず

新政治民主連合「非適格」自主辞退を要求
与党内部「率直に言って落馬が相応」困惑

 これとは別に、6日に録音記録の公開で露見した彼のマスコミ観は、首相候補者として致命的欠陥に浮上した。イ候補者は次男所有の盆唐大庄洞の土地投機疑惑がマスコミに初めて報道された先月27日、記者たちとの昼食会の席でこのように言った。「(総合編成チャンネルの幹部に電話して)『オイ、まずあのパネルをやめさせろ、この野郎、はやくしろ、時間がない』と言うと、『今メモを入れた』と言ったよ。見たら外れていた」。 こんな話もした。「俺は(放送会社の)上の人と全部関係がある。『オイ、イ局長、あいつはダメだ』 でもそいつは切られてもどうしてだかわからないだろう」 。ソウル通義洞(トンウィドン)の首相候補者事務室前にいた若い記者たちに、自身がマスコミの報道と人事まで思うままにできると誇示したわけだ。 人事聴聞会の席に上がった歴代首相、長官候補者たちの中で、このような人はいなかった。聞きようによっては若い記者たちを脅迫したも同然だ。 朴槿恵大統領が彼を首相候補に指名した当時、野党はもちろん大多数のマスコミも“疎通首相”になると期待したが、彼は過去に朴正煕(パク・チョンヒ)、全斗煥(チョン・ドゥファン)軍部独裁時期水準の統制中心的マスコミ観から脱せずにいることを露呈したわけだ。

 2000年の人事聴聞会制度導入以来、首相候補者から落馬した6人の事例を見れば、金大中(キム・デジュン)政権時のチャン・サン元梨花女子大学総長は偽装転入、不動産投機、息子の二重国籍疑惑で、チャン・デファン毎日経済新聞会長も偽装転入と不動産投機疑惑で国会の同意を得られなかった。 李明博(イ・ミョンバク)政権時のキム・テホ議員はパク・ヨンチャ元泰光(テグァン)実業会長との会合事実を偽りぼろが出て聴聞会途中で辞退した。 朴槿恵政権の初めての首相候補者であったキム・ヨンジュン元憲法裁判所長は不動産投機と子供の兵役免除疑惑で人事聴聞会前に辞退した。

 新政治民主連合の首相候補者人事聴聞委員は8日に記者会見をい、「イ候補者はもはや首相としての資格がない」として「これまでに行った言論統制の真相を逐一明らかにして自ら去就を決めなさい」と明らかにした。セヌリ党は「聴聞会で検証しなければならない」と防御したが、内心は戦々恐々だ。 セヌリ党のある議員は「この程度なら他の人だったら聴聞会は通過できない」と話した。 与党の別の要人は「歴代のどの候補よりも非適格だ。率直にいって落馬が相応だ」と話した。 だが、朴槿恵大統領の支持率が20%台に墜落した状態で、キム・ヨンジュン、アン・テヒ、ムン・チャングク候補者に続きイ・ワング首相候補者までが落馬する場合、朴槿恵政権は事実上いきなりレイムダックに陥るだろうという憂慮のため苦悩している。セヌリ党内では過去の証明資料を集めておいた“秘密カバン”を云々したイ候補者の行動が、かえって自身の汚点を隠すための“目くらましのためのショー”だったのではないかという嘆きも出ている。

 セヌリ党の非常対策委員を務めたことのあるイ・サンドン中央(チュンアン)大学名誉教授は、イ候補者のマスコミ圧迫発言に対し「先進国ならば首相候補者はすでに終わりで、国会議員職も投げ出すべきこと」と話した。 かつてハンナラ党で倫理委員長を務めたイン・ミョンジン牧師は「聴聞会を乗り越えて朴槿恵政権に役立てるのか、どうすれば政権を助ける道か、イ候補者自身が決めなければならない」と話した。 イ候補者が人事聴聞会を越えようが越えまいが、政界内外の共通した診断は“満身創痍”の彼には“責任首相”も“疎通首相”も期待できなくなったということだ。

イ・スンジュン、キム・ウェヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/677418.html 韓国語原文入力:2015/02/08 20:31
訳J.S(2690字)

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