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「資産20億円の李明博前大統領が健康保険料2千円」のカラクリ

登録:2015-01-31 02:09 修正:2015-02-01 10:21
政府、1%の高所得層の反発を恐れて「健康保険料改編」を白紙化
”無所信行政”のせいで600万の低所得層の保険料引き下げもなかったことに
国民健康保険公団。ハンギョレ資料写真 //ハンギョレ新聞社

 「健康保険料(健保料)賦課体系を改善し、賃金以外の余分な収入がある勤労所得者と被扶養者の健保料負担が増えれば、そういう人たちの不満が大きくなるかもしれない」。ムン・ヒョンピョ保健福祉部(福祉部)長官が28日に明らかにした健保料賦課体系改編”白紙化”宣言の理由だ。

 当初、政府が用意した再編案は45万人前後の高所得層の健保料を引き上げ、600万人の低所得層の保険料を引き下げる内容だった。被扶養者制度を活用して「ただ乗り」してきた富裕層、給料以外の利子・賃貸収入が多い、一部の高所得層から健保料をきっちり納めてもらおうという趣旨だ。

 30日、国民健康保険公団(健保公団)が明らかにした健保料ただ乗り者(健康保険被扶養者)は、昨年6月末現在2054万人で、全体の加入者の40%ほどだ。 10年で新たに450万人が増えた。健保料賦課体系の改善企画団(企画団)は、彼らの中で総合課税所得が2000万ウォン(約215万円、100ウォン=11円)を超える被扶養者を地域加入者に転換する案を検討した。こうなると、これまで保険料を納付しなかった19万3000人ほどに保険料(3034億ウォン、約326億円)を納めてもらえるようになる。オ・ゴノ「私が作る福祉国家」運営委員長は「企画団が作った改編案通りに推進した場合、保険料が増える人は2000万ウォンを超える総合所得のある勤労所得者26万人と、同じく2000万ウォンを超える総合所得のある被扶養者19万人を合わせて45万人前後で、全体の職場加入者と被扶養者3500万人の1.3%」とし「彼らを恐れて健康保険料の改編を放棄することはできない。問題があれば、改編案の方向を国民に提示して議論を深めていけばいい」と指摘した。

 にもかかわらずムン長官は、高所得層の反発が憂慮されると賦課体系の改編を白紙化した。ムン長官が指摘した「賃金以外の余分な収入がある勤労所得者と被扶養者」はいかに健保料の抜け穴を利用してきたのか?

(1)創業して職場加入者に”身分ロンダリング”
李明博前大統領、所有する建物内部の清掃業者の代表務め
2007年の財産175億なのに健保料が2万ウォン
(2)10億ウォンの預金の金持ちが「ただ乗り」
年間金融所得年3900万ウォンだが、
4000万ウォン未満のため「被扶養者」に
(3)数十億の資産家の"偽装就業"
息子のガソリンスタンドに就職、給料60万ウォン
30万ウォン以上だった健康保険料が1万ウォン台に

李明博前大統領。青瓦台写真記者団 //ハンギョレ新聞社

 最も一般的な手法が被扶養者制度を活用したただ乗りだ。チェ氏(60代)は、昨年5月まで健保料として1カ月あたり38万2620ウォンを納めていた。住んでいるアパートは、課税標準額が5億5000万ウォン(時価7億ウォン相当)だ。銀行預金など約10億ウォン近い金融資産もある。銀行に預けておいた預金から毎月300万ウォンの利子が出ており、月100万ウォンの年金もきちんと貰っている。それでもチェ氏は昨年6月以降健保料を一銭も出さなかった。どうしたらこのようなことが可能なのだろうか。

 現行被扶養者認定要件は、「金融所得4000万ウォン以下、年金所得4000万ウォン以下(1年あたり)、固定資産税の課税標準額9億ウォン以下」だ。チェさんは同年5月に自分の2013年の金融所得が3961万ウォンで、前年(4191万ウォン)よりやや減少したという事実を把握した。これを根拠に「2013年の金融所得が4000万ウォンに満たないから、職場に通う息子の被扶養者として登録してほしい」と要求した。健保公団は彼を被扶養者として認めざるを得なかった。

 これよりも悪質な事例もある。京畿道に住むイ氏(75)は、2005年6月に息子が運営するガソリンスタンドに就職した。当時貰った給料は60万ウォン、これを基準に付けられた健保料は約1万7000ウォンだ。女性である上、喜寿を過ぎたイ氏がガソリンスタンドに就職した事実を奇妙に思った健保公団が実態を把握してみたが、イ氏は約20億ウォン(課税標準額基準)の不動産と1年で3800万ウォンに達する賃貸収入などがあった。地域加入者だったら、毎月約38万ウォンの健保料を納めなければならないのに、イ氏は職場加入者には賃金所得だけで健保料が賦課されることを知り、ガソリンスタンドに「偽装就業」したのである。

 多くのファイナンシャル·プランナーが富裕層を相手に勧める”合法的”健保料削減手法もある。一種の「偽装創業」だ。代表的な事例が李明博(イ・ミョンバク)前大統領だ。 2000年代初頭、ソウル江南(カンナム)にヨンポビルなど建物3棟を保有していた前大統領は、自分の建物の中に「テミョン企業」という賃貸管理会社を設立し代表を務めた。地域加入者であった場合、数百億ウォン台の不動産と賃貸収入により月に200万ウォン台の健康保険料を納めなければならなかった李前大統領は、会社の代表を務め、職場加入者に転じたことで、健保料は一気に2万ウォン前後に減った。

私が作る福祉国家、老年ユニオンなど市民社会団体の関係者らが30日午前、ソウル青雲孝子洞住民センター前で政府の健康保険料賦課体系改編中断を糾弾し、再推進を要求している。聯合ニュース

 シン・ヒョンウン韓国保健社会研究院研究委員は30日、「偽装就業は脱税だが、最初から会社を設立し健保料を減らすのは合法的な節税に該当する」とし、「職場加入者には賃金所得のみで保険料を決めるから、このような事例が生じる」と述べた。

イ・ジェミョン、チェ・ソンジン、キム・ヤンジュン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: : 2015.01.30 21:2

https://www.hani.co.kr/arti/society/rights/676175.html 訳H.J

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