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韓国福祉部が健保料改善案を白紙撤回、大統領府の圧力か

登録:2015-01-28 23:01 修正:2015-01-29 06:35
ムン・ヒョンピョ保健福祉部長官が28日午前、国会保健福祉委員会に出てきて仁川子供の家保育教師の児童虐待事件と関連した議員の質問に答え、困惑した表情をしている。 イ・ジョンウ先任記者 //ハンギョレ新聞社

所得が少ない加入者の保険料を減らし
賃金外の所得が多い組合健保加入者と
所得のある被扶養者には増やす案

企画団参加者「大統領府が叱責」
ムン・ヒョンピョ長官は“白紙化”の強硬手段

 政府が事実上の全面白紙化を宣言した健康保険料(健保料)賦課体系改編の主要方向を要約すれば、所得が少ない加入者の保険料は減らし、所得が多い人の保険料は増やすものだ。 “松坡(ソンパ)三母娘”事件のように、保険料負担に苦しんだ労働者・庶民は多少楽になるが、賃金とは別に一定基準を超える所得のある会社員と、所得が多いのに職場加入者の被扶養者となり保険料を払わずに済んでいた高所得者の保険料は大幅に上がることになる。 政府が長い時間をかけて準備してきた健保料賦課体系改編案を突然放棄したのは、保険料が上がる一部の高所得者層の反発を意識したためだと指摘されるのはこうした背景があるためだ。

 政府は当初、29日に「健康保険料賦課体系改善企画団」(企画団)の最終会議を開き、こうした内容の改編案を7つのモデルに分けて出す計画だった。それぞれのモデルは別途の保険料を賦課する職場加入者の“賃金外総合所得”基準をいくらにするのか、被扶養者に対する保険料賦課基準所得をどの線にするのかなどにより分かれる。

 7つの改編案の中で、企画団が最有力案として検討したモデルは最低保険料制度を導入し、所得の低い地域健保加入者の保険料負担を大幅に減らすところから出発する。 代表的対象は松坡三母娘だ。命を絶つ前月に5万140ウォン(約5500円、100ウォンは約11円)の保険料を納めた三人の母娘は、この制度が導入されれば月額1万6480ウォンだけ納めれば済むことになる。これは現行の保険料賦課体系に含まれた“評価所得”という要素を削除することを前提としている。 評価所得とは、実際には収入がないのに性別や年齢、自動車所有の有無などに基づいて推定した所得だ。

 低所得層の保険料をこのような形で減らせば、健保財政は当然不足する。 そのために必要なのが高所得者の追加負担だ。 先ず賃金以外の総合所得が2000万ウォン以上ある職場加入者の保険料が上がる。ただし“総合所得控除”条項があり、賃金以外の総合所得が2000万ウォン以上でも控除基準金額以下に対しては保険料を払わせない。

 所得が多いにもかかわらず職場に通う息子や娘の被扶養者として登録し、健保に無賃乗車してきた人も所得に応じて保険料を支払うことになる。 昨年まで健康保険適用対象者のうち、被扶養者は全体の40.9%(2047万人)に当たる。 このうち総合所得がある人は230万人余り、ここから年間2000万ウォン以上の所得がある人を選べば、その数は19万人になる。 これらの人々は今後地域健保加入者に転換されて保険料を納めるようにするというのが改編案の核心内容だ。

 このように企画団の改編案は“低所得層負担軽減”と“高所得層追加負担”という推進方向が明確で、今年初めのたばこ値上げと年末調整問題などで“増税論議”を自ら招いた政権としては、改編案の公開により“高所得層健保料爆弾”等の記事があふれるかと強く憂慮してきた。

 特に福祉部周辺では、普段から健保料賦課体系の改編に意欲を見せてきたムン・ヒョンピョ長官が27日、担当記者たちを相手に報道延期を要請したのに続き、28日には“全面白紙化”を宣言するなど理解できない動きをした背景には、大統領府の指示と圧力があったからという観測が多い。 企画団に参加していたある関係者は「大統領府では今月初めに福祉部が健康保険賦課体系改編案に関するマスコミ説明会をした時から『なぜ言われもしない仕事を勝手にするのか」と強く叱責したと聞く」とし「このような状況で“高所得層健保料爆弾”等の記事があふれるかと思い、ムン長官が事実上の白紙化という強硬手段をとることになったのだろう」と話した。

 一方、福祉部関係者は「今年中に改善案を出さないと言ったのは、保険料をより多く納めることになる多くの加入者に対する説得が終わっていないため」と話した。

チェ・ソンジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/rights/675800.html 韓国語原文入力:2015/01/28 22:21
訳J.S(1957字)

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