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李明博前大統領回顧録で外交秘史公開...北朝鮮・中国との関係悪化懸念

登録:2015-01-29 23:43 修正:2015-01-30 07:19
李明博前大統領の回顧録『大統領の時間』の一部内容が28日公開された。この本は2月2日出版される。 RHコリア提供//ハンギョレ新聞社

 李明博(イ・ミョンバク)前大統領が退任してから2年も経たない状況で、南北首脳会談や中国首脳との会談秘話などを自らの自伝にそのまま露出させ問題になっている。 「ソーセージと外交は作る過程を公開しない」という国際社会の外交的慣例を破っただけでなく、南北および対外関係においても長い間相当な負担になるとの批判が出てる。

 イ前大統領は29日、あらかじめ配布した自叙伝『大統領の時間』で外交相手を刺激したり、貶める内容を少なからず収録した。たとえば、2009年11月の南北首脳会談に向けて行われた韓国統一部と北朝鮮統一戦線部(統戦部)との水面下の接触を紹介し、北朝鮮がトウモロコシ10万トン、米40万トン、肥料30万トン、アスファルト用ピッチ1億ドルを要求したと主張した。これに先立ち、2009年シンガポールで行われたイム・テヒ当時労働長官とキム・ヤンゴン統一戦線部長との会合で、キム部長が「合意文なしで北朝鮮へ帰ったら死ぬ」と話したと伝えた。

 問題は、前後の文脈なしで北朝鮮の当時の言動をそのまま紹介することで、「北朝鮮は無理な要求ばかりする」、「北朝鮮当局者が命乞いをした」というような悪いイメージだけを一方的に浮き彫りにしている点だ。また、キム・ヤンゴン統戦部長の言葉が事実だとしても、キム部長は今も北朝鮮で同じ役職で活動しているという点からも、非常に不適切な公開だと言わざるを得ない。ヤン・ムジン北朝鮮大学院大学教授は「南北関係は進行中の事案」だとし、「イ前大統領や朴槿恵(パク・クネ)政権が(2007年の南北首脳会談の)対話録を公開した上に、またこのようなことまでするなんて、何を考えているのか分からない」と批判した。キム・ヨンチョル仁済大学教授は「このような部分が、今後、北朝鮮だけでなく、朴槿恵政権にも負担を与え首脳会談を進めようとしても、水面下での交渉が困難になるだろう」と予想した。

 イ前大統領は、温家宝前中国首相との首脳会議の発言もそのまま自伝に載せた。特にイ前大統領が「北朝鮮は若い人(金正恩(キム・ジョンウン)労働党第1書記)が権力を握った。今後50〜60年は政権が続くだろうから心配だ」と言うと、温家宝首相が「歴史の道理からしてそうなるでしょうか?」と、まるで「北朝鮮崩壊論」に同調するような発言をしたと紹介したのも外交的問題に発展する余地がある。日本が昨年河野談話検証報告書を通じて20年前に交渉過程を公開した際、韓国政府が強く反発したことからすると、イ前大統領の行動の深刻性が窺える。

 イ前大統領の自伝内容が秘密保護に関する法律的手続きを適切に踏んだのかも確かめなければならない。金大中(キム・デジュン)元大統領の自伝執筆作業に参加したキム・ソンジェ金大中アカデミー院長(前文化部長官)は「どの国でも大統領は国政遂行当時に取得した国防・外交情報と関連し、法律により一定期間秘密を守る義務がある」とし「金大中前大統領自身が自伝作業をしながら、自ら分敏感な部分は取り除いただけでなく、実務者たちも秘密文書保存期限に抵触するのかどうかを国家情報院に問い合わせた」と伝えた。

イ・ヨンイン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015.01.29 21:58

https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/676022.html  訳H.J

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