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韓国造船業などで下請けの労災を元請けに統合、「危険外注化」に歯止め

登録:2015-01-22 22:16 修正:2015-01-23 07:06
雇用部、高危険業種の安全管理を強化
労災隠しを強要出来ないよう補完策が必要
2014年4月21日、蔚山東区の現代重工業内NO.5ドックの8万4000トン級LPG運搬船建造現場で火災が発生し、黒煙が広がっている。 //ハンギョレ新聞社

 危険な業務を下請け業者に押し付けるいわゆる“危険の外注化”により、下請け業者の労働者死亡事故が相次ぐ中で、雇用労働部が造船業など高危険業種の下請け業者で発生した労災を元請け業者の労災発生統計に統合することにした。 元・下請け労災件数が一本化されれば下請け労働者の安全に対する元請けの関心が高まると期待されるが、後続措置なしでは元請けに対して責任を問うのに限界があり、さらなる補完策が必要だとする声が多い。

 ハンギョレが21日に入手した雇用部の「産業現場の安全保健革新のための総合計画」によれば、政府は「高危険業種に対しては元請けの労災統計に下請け業者の労災統計を統合して算出する方案を用意する」方針を定めた。 雇用部関係者は「元請けが下請け業者の安全に一層気を遣うようにする趣旨」として「ただし、すべての下請け業者の労災を元請けに合算することは困難なので、どんな業種を対象にするかは別に基準を作る計画」と話した。 “高危険業種”としては労災事故が多い造船・製鉄業などが議論されている。

 現在は建設業以外では労災統計が元・下請け別に集計されているため、下請け労働者が事故に遭っても元請けにはいかなる不利益もなかった。 昨年11人の下請け労働者が死亡した現代重工業が代表例だ。 そのため、労働界は下請け労働者の労災に元請けの責任性を強化するための方案の一つとして、下請け業者の労災件数を元請けの労災件数に反映させることを要求してきた。 チェ・ミョンソン民主労総労働安全局長は「元請けは危険業務は外注化して安全に対する責任は負っていない」として「元・下請けの労災統計を統合すれば、特に下請けを多く使う大企業の責任を問うことができる契機になるだろう」と評価した。 雇用部の「雇用形態公示情報」によれば、300人以上の大企業労働者の20%が下請け労働者だ。

 しかし、労災統計の統合が呼び起こす弊害も議論されている。 元請けが下請け業者に労災の隠蔽を強要しかねないという憂慮だ。 チョ・ギホン韓国労総産業保健室長は「下請け業者の労災隠しが一層深刻化しかねず、これに対する処罰を強化する必要がある」として「さらに進めて元・下請けの労災統計を公表するにとどまらず、労災率が高い元請けを雇用部が監督したり、労災保険料で不利益を与える制度が伴う必要がある」と指摘した。

キム・ミンギョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/674746.html 韓国語原文入力:2015/01/22 08:34
訳J.S(1171字)

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