北朝鮮人権法の制定案を、いわゆる「ファーストトラック」(迅速処理案件の指定)方式で推し進めようとしていた与党指導部の構想について、与党セヌリ党議員が委員長を務める国会所管常任委員会の外交統一委員会がブレ―キをかけた。
セヌリ党の国会外統委員長であるユ・ギジュン議員は20日、院内対策会議で「北朝鮮人権法を迅速処理案件として指定しても、外統委で6カ月、法制司法委で3カ月、さらに本会議で通常2カ月の合わせて330日かかる。北朝鮮人権法をファーストトラックに載せると、韓中自由貿易協定(FTA)など他の案件についても野党の協力を得られない状況をもたらし、外統委が麻痺するだろう」と反対の立場を明らかにした。ユ議員は「与野指導部が別途合意し処理した方がいいだろう」と述べた。これは15日にセヌリ党のイ・ワング院内代表が最高委員会議で行った「北朝鮮人権法をファーストトラックに載せよう」という提案に対し明らかに反対を示したもので、イ院内代表は不快な表情を隠せなかったと伝えられた。
これとは別に、外統委野党幹事のシム・ジェグォン新政治民主連合議員も院内対策会議で、北朝鮮人権法をファーストトラックで処理しようとする与党の動きに対し「数の優位を通じ”毒素条項”に満ちた北朝鮮人権法を単独処理しようとすることに過ぎない」と強く反発した。
外統委は昨年11月、セヌリ党と新政治民主連合がそれぞれ発議した二つの北朝鮮人権法制定案を上程した。しかし、セヌリ党案に含まれる北朝鮮人権財団設立方案について新政治民主連合が「対北ビラ撒き団体の支援に活用される恐れがある」と反対するなど意見の相違を調整できず、セヌリ党が迅速処理案件の指定を検討したものである。迅速処理案件として指定されると、常任委員会で180日間審査し、審査未完了の場合は法制司法委員会に自動的に付託され、法制司法委員会でも90日が経過すると、本会議に自動的に上程される。外交統委は23人の所属委員のうちセヌリ党所属が14人で、形の上ではファーストトラックの試みが可能な「5分の3」を超えたが、外統委員長が反対の立場を表明したことで、そのまま推し進めるのは容易ではない見通しだ。新政治民主連合はもちろんセヌリ党の中でも、「北朝鮮人権法制定は南北関係の改善の雰囲気に水を差す可能性がある」との慎重論も少なからず出ており、法案が長期間漂流する見通しだ。
韓国語原文入力:2015.01.20 20:40