北朝鮮の脅威で国民の生命が明らかな危険にさらされる場合、当局が対北朝鮮ビラ撒きを制止するのが適法だとする裁判所の判決が出た。
議政府(ウィジョンブ)地裁民事9単独キム・ジュワン判事は6日、警察などに対北ビラ風船飛ばし活動を妨害され精神的被害を受けたとして、脱北者団体の北韓同胞直接支援運動イ・ミンボク代表(58)が国を相手に起こした損害賠償訴訟で、原告敗訴判決を下した。この団体は5日夕方にも京畿道漣川(ヨンチョン)郡の民間人統制線(民統線)近くでビラ60万枚を大型風船に吊るして飛ばした。
キム判事は判決文で「対北ビラ撒きによって私たち(韓国)国民の生命と身体が緊迫した脅威にさらされており、これは基本権を制限することができる『明らかで現存する脅威』と見ることができる」と述べた。キム判事は「緊迫した脅威」の根拠として、北朝鮮が報復を宣言し続けており、昨年10月10日、北朝鮮軍の高射銃弾が京畿道漣川近くの民統線に落ちたことなどを挙げた。
また、キム判事は「当局の制止も度が過ぎたわけではなかった。原告が主張する警察と兵士による制限行為は直接的な物理力の行事ではなかった」と付け加えた。
ソン・ジョンファン議政府地裁公報判事は、「国民の表現の自由など基本権を制限することはできないが、他の国民の生命が脅かされるなど緊迫した状況があった場合は、過度でない範囲内で、いくつかの制限が可能である旨」だと説明した。
今回の判決は、たとえ「制限が過度でない限り」という条件付きではあるが、「対北ビラ撒きは表現の自由に当たるため、制止できない」という政府の公式立場とは異なるものであり、今後の対北朝鮮ビラ撒きに対する政府対応が注目される。
イ氏は、「2003年以降、これまで絶えず国家情報院、軍、警察などに身辺保護の名目で監視され、ビラ飛ばし活動を妨害されてきた」とし、昨年6月に国を相手に5000万ウォンの損害賠償訴訟を起こした。
韓国語原文入力:2015/01/06 21:05