朝米関係の悪化は南北関係にも影響
対話成功のため越えねばならない壁
2000年と2007年の首脳会談の時と酷似
朝米の敵対関係はそれほど悪くない
政府の意志があるなら米国説得は可能
年が明け急を告げ出した南北関係において米バラク・オバマ政権の対北朝鮮制裁行政命令を機に米国という“変数”が急浮上している。こうした時こそ南北関係は言うまでもなく朝米関係でも主導力を発揮しようとする政府の大胆な推進力と戦略が切実に求められる。
ソニー・ピクチャーズのハッキング事件に関連した2日(現地時間)の米国の対北朝鮮報復措置発表は、米国の動きに対する綿密な検討の必要性を改めて喚起させる。南北関係を急進展させるには5・24措置の解除と金剛山(クムガンサン)観光再開などが不可欠だ。しかし米政府はいわゆる“バルクキャッシュ”(多額の金)が北朝鮮に流れるとして措置に否定的な立場をとってきた。バルクキャッシュが北朝鮮の核とミサイルなど大量破壊兵器の開発資金になるという論理からだ。こうした重要なイシューに関連する限り米政府との調整なしには南北関係の画期的な進展は望めない状況にある。
韓国政府も米国の意図に注目して事態を確かめている状況だ。イム・ビョンチョル統一部スポークスマンは5日、米国の行政命令発表に関連し「状況を予断し南北関係にどんな影響を及ぼすか我が政府が申し上げるのは適切でない」と明らかにした。
米国という変数に関連し専門家のあいだでは、過去二度の南北首脳会談の経験から二つのことを強調している。一つは「朝米関係の進展なき南北関係の進展はないという骨身に染みた教訓」(イム・ドンウォン元統一部長官)だ。南北首脳会談を成功させる基盤を築く次元においても朝米関係の改善は避けられない課題だ。もう一つは、朝米関係の改善を促進する動力も、結局は朝鮮半島情勢の突破口を作ろうとする韓国政府の確固たる意志と主導的努力から生まれるという認識にある。
2000年の第1回南北首脳会談は1998年の米国の金倉里(クムチャンリ)地下核施設疑惑の提起や北朝鮮のテポドン1号ミサイル発射など、朝米間に横たわる安保上の敵対関係を克服してようやく突破口となる門の敷居を踏むことができた。当時韓国政府はイム・ドンウォン国家情報院長が米国を往来してウィリアム・ペリー北朝鮮核調整官を説得し、北朝鮮の大量破壊兵器(WMD)開発中断と朝米関係正常化を3段階で包括する「ペリープロセス」の作成を導き出した。これを基に朝米関係を対話の軌道に乗せ南北首脳会談が可能になったとイム・ドンウォン元統一部長官は何回も強調してきた。
2007年の第2回南北首脳会談も「バンコデルタアジア(BDA)」事件に伴う制裁に代表される朝米関係の難局を、韓国政府が主導的に解決させて開くことができた。2005年の北朝鮮核問題のための6か国協議での9・19共同声明直後に沸き起こった米ジョージ・ブッシュ政権の対北朝鮮金融制裁で朝米関係は破局を迎え、北朝鮮は2006年10月9日に第1回核実験で超強硬な対応をした。この時韓国政府は直ちに米国と北朝鮮を積極的に説得して6か国協議を再開させ、北朝鮮の核廃棄と朝鮮半島の平和体制構築を同時に推進する大胆な構想を提示することにより突破口を開いた。2006年11月の韓米首脳会談で当時の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領はブッシュ大統領を説得し「北朝鮮と終戦協定を締結する」という約束を得た。当時、大統領府国家安保会議(NSC)事務局で勤めたキム・チャンス コリア研究員研究室長は「我が政府はイラク戦の失敗で窮地に追い込まれていたブッシュ政権に北朝鮮核問題の解決の業績をもたらせるという展望を示すことにより、米国の積極的な協力を導き出すことができた」と語る。政権後半の業績管理に入ったバラク・オバマ政権を相手にせざるをえない朴槿恵(パク・クネ)政権にも示唆する点のある大きな課題だ。
今回の“ハッキング報復”は過去の朝米関係の難局と比べればそれほど深刻でないという観測もある。このため韓国政府が強い南北対話の意志を示せば米国もついてくるほかはないという見解もある。ムン・チョンイン延世大学教授は「今の南北関係、朝米関係、6か国協議などの原動力はソウルにあるという点を政府が明確に認識しなければならない」として「こうした認識に基づき朝鮮半島情勢における変化のビジョンを持つ人を中心にすえ一糸不乱に押し進めるべきであり、米国の顔色ばかり見ていてはいけない」と助言した。
韓国語原文入力:2015.01.05 22:12