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「肩を抱いてセウォル号惨事の真相究明を約束…朴大統領のその言葉を信じていたのに」

登録:2015-01-03 23:25 修正:2015-01-04 14:07
朴大統領との面談、その後・・・
“スビンのお母さん”パク・スンミさん
朴槿恵大統領がパク・スンミ氏の手を握り肩を抱いて話をしている。//ハンギョレ新聞社

遺族無視・変な特別法・・・
またも胸を打って泣いた

 朴槿恵(パク・クネ)大統領は5月16日、セウォル号の遺族たちと大統領府で会い「いつでも遺族たちにまた会う」と約束した(写真)。しかし、朴大統領はその日以来、現在まで遺族たちと会っていない。『ハンギョレ』はセウォル号惨事の後、初めて、そしてそれが最後だったが、大統領府で朴槿恵大統領に会い、訳も分からずに死んでいった子どもたちの無念を晴らしてほしいと訴えた遺族パク・スンミ氏にインタビューした。彼女が息子イ・スビン君に書いた手紙は『ハンギョレ』11月27日付のセウォル号惨事企画連載「忘れません」(何でも最高だった我が家の永遠なる大黒柱…今夜一緒に旅行しよう)に掲載されている。

息子に、あの世へ行ってしまわずに
お前を忘れようとする大統領や政治家たちから
最後まで目を離さないようにと話しかけています

 「よりによってなぜ、私の肩をかかえてあんな風に誠しやかに演技されたのですか? あなたの言葉をうのみにした自分が恥ずかしくてなりません。あの時、いったい何故?」

 あふれそうになる涙をぬぐっていたパク・スンミ氏(40・顔写真)は「そんなことはもう二度とないだろうけれど、もし私が朴槿惠(パク・クネ)大統領にもう一度会えたら、必ずこう訊いてみたい」と話した。彼女は、セウォル号沈没で犠牲になった京畿道安山檀園(アンサン・タンウォン)高校の生徒250人のうちの1人、2年7組の故イ・スビン君(17)の母親だ。パク・スンミ氏は5月16日のセウォル号遺族の大統領府訪問以後、国民の脳裏に深く残っている遺族の一人でもある。

 セウォル号沈没事故から1か月後の5月16日、遺族たちを大統領府に呼んで面談した朴大統領は当時、力なく大統領府を出ていく遺族たちをドアの外まで見送りに出て、「とても温かい大統領」というイメージを植え付けた。朴大統領は同日、見送りの途中、悲しみに沈むある女性の肩を抱いて慰め、大統領府はこのシーンを撮った写真をマスコミに撒いた。この女性がほかでもないスビン君の母親パク氏だ。

 彼女は当時、「いつでも遺族たちとまた会うつもりだ。何よりも真相究明に遺族の皆さんの心残りがないようにする」という朴大統領の言葉を堅く信じた。しかし、200日余りが経った今、朴氏はその日の大統領に対する信頼がどれほど無駄なことだったか、つくづく後悔している。

パク・スンミさん//ハンギョレ新聞社

 12月23日午前、セウォル号惨事犠牲者のための政府合同焼香所が設けられた京畿道安山市の花郎(ファラン)遊園地で会ったパクさんは、大統領に対する失望と怒り、挫折感だけが残っているようだった。

 パクさんは、朴大統領に会った当時の状況を逐一はっきりと説明した。「面談を終えて先に立って歩いていた大統領が、急に振り返り私の手を握りしめました。そして肩に手を置いて慰めました。本当にありがたくて、私が『子どもたちの死が無駄にならないようお願いします』と言うと、(大統領は)『心配しないでください』と言いました」。パクさんは「大統領はあのとき、遺族が訴えることを一つ一つメモしながら聞いて、『真相究明がなされなければならないと思う。(遺族たちと)もう一度会います』と言われた」と記憶をたどって話した。

 しかし、その時だけだった。朴さんは「あのように温かくて優しい姿を見せた大統領が、それ以降、犠牲になった子どもたちのことを口にするのを見たことがないし、私たちと会ってくれたこともない。すべてが演技だったことを後になって知って、胸を叩いてまた泣いてしまいました」と言いながら、細かく身を震わせた。

 クラス委員だった息子に代わって2年7組の遺族のクラス代表になったパクさんは「大統領に『私のことを覚えていますか? 子どもたちの無念さを晴らしてあげるという約束が、こんな、遺族たちに背を向けて、事故の真相究明を阻む変な特別法を作らせることだったんですか? 答えてください』と言いたい」と話し涙をこぼした。

 パクさんはこの22日、息子のスビン君が眠っている京畿道平沢(ピョンテク)のソホ公園に行ってきた。彼女は「息子の骨壷を撫でながら『あの世へ行ってしまわないで、お前たちを忘れようとしている大統領と政治家たちから最後まで目を離さずにいなさい』と祈った」と、怒りを隠せなかった。

「時間が流れることだけを望んでいる政治家たちの態度に対する怒りと挫折感から、今では対人恐怖症まで出始めた」と言うパクさんは、最近クラス代表を辞めた。彼女は「子どもたちの無念さを少しも晴らしてやれないために、スビンの父さんは最近でも明け方になると窓を開けて、悲鳴のような声を上げて息子の名前を呼んでいます」と言ってすすり泣いた。

安山/文・写真 キム・ギソン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/671286.html 韓国語原文入力:2014/12/30 08:34
訳A.K(2269字)

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