イム・ジョンギュン氏(38)は30日朝、眠りから覚めると頭痛薬を探し始めた。 ソウル中区(チュング)のプレスセンター前の電光掲示板にのぼり、49日間にわたる高空座り込みをしてホコリと騒音、電磁波、光公害などに苦しめられたために四六時中頭痛に苦しんでいた。 消化不良と目まいはイム氏ばかりでなく、彼と一緒に電光掲示板に上ったカン・ソンドク氏(35)も同様だった。 京畿道高陽(コヤン)地域でC&Mの協力業者に所属してケーブル設置技士として仕事をして労組活動をしたという理由で7月に解雇されたカン氏は、風邪薬と筋肉痛薬、血圧薬を服用しながら生きている。解雇者カン氏と彼の同志であるイム氏は、解雇労働者109人の原職復帰を要求して先月11日に電光掲示板に上った。 49日間、ウェットティッシュで体を拭いて持ちこたえてきたカン氏は、この日『ハンギョレ』との通話で「地上に降りたら先ず最初に風呂に行きたい」と話した。
ついにイム氏とカン氏が50日ぶりに地上を踏める日が来た。2人が属した希望連帯労組はこの日「解雇労働者109人の雇用問題など主要争点について、元請けのC&M、協力業者代表との合意が成立した」として「31日の賛否投票で合意案が可決されれば高空座り込みを終える」と明らかにした。 労使はC&Mのケーブル伝送網を維持・管理する新会社を設立し、解雇者109人のうち離職者を除いた残り83人を全員雇用することにした。 また協力業者が変わる時、新業者が組合員を優先的に雇用する一方、廃業しても元請けであるC&Mが組合員の雇用安定のために努力するという内容も合意文に含まれた。
労組とC&M、協力業者は先月26日“3者協議体”を構成し、1か月以上かけて解決策を議論したが、労使間の意見の差が大きく妥結まで困難を経験してきた。
今回の合意は文字通りの“原職復帰”ではないが、労使の協議を通じて解雇労働者の雇用問題を解決したという点で大きな意味があるというのが労働界の評価だ。 2008年に現代自動車社内下請け労働者68人が解雇された時、元請けである現代自動車が解雇者を別の下請け業者に雇用させるようにした事例はあるが、今日ではめったに見られないことだ。「非正規職のない世の中」のパク・チョムギュ活動家は「労組が勝利した闘争であり、間接雇用問題では結局元請けが乗り出すほかはないという事実を再確認させた」と話した。