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大型マート、勝訴判決で義務休業の執行停止申請を検討

登録:2014-12-17 22:55 修正:2014-12-18 05:30
ソウル麻浦区のEマート公徳店で義務休業を知らせる横断幕がかけられている。キム・ギョンホ記者//ハンギョレ新聞社

裁判所が正確な調査を提案すると
区庁とマートが異なる資料を提出
裁判所「効果の有無に論議がある」とし
機関の性格などを問題にし信憑性を判断
地方自治体別に約 10件の訴訟に影響するだろう
 

17日午前、ソウル江西区(カンソグ)で50代の夫婦が営むある中小スーパーマーケット。ツナ缶を納品する個人流通業者が訪ねてきて「チゲ用をもう二つ入れましょうか?」と尋ねると、主人は考えた末に頷いた。日配(一日配達)食品の社員が牛乳を運ぶ手助けも忙しかった。 しかし寒い日にスーパーを訪れる客は、1時間待っても粉唐辛子を送る宅配便の客1人とタバコ1箱を買っていく近くのアパートの警備員だけだった。

 このスーパーで乳製品と豆腐が唯一完売になる日がある。毎週第2、第4日曜日だ。 近くの大型マートが義務休業条例のため休む日だ。 この2度の日曜日には、平日一日の売上(冬季は140万ウォン=約15万円)の2倍程度になる。店主のキム氏は「昨年末にスーパーを買い取って前の店主から「景気は悪いけど日曜日の商売があるからそれなりにやっていける」という話を聞いて決めた。 実際に効果があることを政策を作る方々は分かっているのだろうか」と話した。

 これを確かめる場があった。 ソウル高裁の法廷だった。 昨年本格化した大型マートに対する義務休業処分を取り消してほしいとして、イーマート、ロッテマート、ホームプラスなどが区庁を相手に出した訴訟の過程だった。 昨年9月、ソウル行政裁判所は「義務休業で実現しようとする公益は重要であるだけでなく、達成する必要性も高い」として大型マート敗訴の判決を下した。 大型マート側は控訴した。

 ソウル高裁は“プラス、マイナス”を確かめることにした。 大型マートの売上減少は簡単に確認できるが、小商工人の売上増大はアンケート調査以外に確認する方法がなかった。 今年初め、両側が同意できる研究主体を選定し、実際に中小スーパーなどの売上がどれくらい上がるかを検証してみることにした。 だが、鑑定は取り消された。 国税庁資料など小商工人に関連した客観的資料を求める過程も困難であり費用問題も小さくなかった。 区庁側の代理人は「方法的困難と費用問題などで鑑定は進行できなかった」と話した。

 代わりに両側は各自の資料を出した。区庁は準政府機関である小商工人振興院(現、小商工人人市場振興公団)、ソウル市傘下のソウル研究院の報告書を出した。 小商工人振興院は、政策導入後に周期的にアンケート調査を行ってきた。 大型マート義務休業日には、中小小売業者と伝統市場の売上が10%ほど増え、政策の趣旨である“同伴成長”に効果があるという結果であった。

 大型マートは延世大学経済学部チョン・ジンウク、チェ・ユンジョン教授が昨年発表した論文を出した。 大型マートが所属する韓国チェーンストア協会の依頼で行われたとされる論文だ。 チェーンストア協会関係者は「協会が先に依頼したのではなく、教授側が問い合わせしてきたので協力しただけ」と話した。 大型マートの月別・日別データが使われた。結果は、大型マートの売上は年間2兆7678億ウォン減少し被害が大きい反面、在来市場などに転換される消費は大きくないということだった。

 裁判所は後者を選んだ。判決文で「小商工人振興院などの調査は、義務休業に友好的な団体が短期間調査した結果であり、延世大の分析は相対的に広範囲な調査を経て客観的資料と科学的方法に基づいた研究結果であり、前者より信憑性が高いと見られる」と明らかにした。

 だが、延世大の分析に対する反論も侮れない。 小商工人市場振興公団関係者は「大型マートの売上減少分は大型マートの全体データで測定しておきながら、中小スーパーの売上増加分は小商工人振興院による標本調査結果を売上減少値にかけて推定するなど、論理的限界がある。振興院の資料が否定されれば、延世大の結論も合わなくなるという矛盾も生じる」と話した。

 12日のソウル高裁の選択は、大型マートの勝訴であった。“マート敗訴”の既存の多くの1審を覆す初めての判決だった。 裁判所は核心争点である“効果の有無”を巡って「まだ論議があるとして、大型マートの被害を相殺するだけの効果があるかに疑いを持つ」と整理した。 この他に、大型マートの定義など種々の争点の大部分で大型マートの主張を受け入れた。 2審判決文の判断には、1審とは異なり“公益”という単語が登場しなかった。

 ソウル市庁と小商工人市場振興公団は対策準備に乗り出した。 ソウル市庁関係者は「(最高裁での審理に備えて)委託研究の発注など対応を講じる計画だが、研究報告書というものはどんな面を追求するかによって結果が変わりうるだけに、この方法では戦いにならざるをえず、共生のための妥協点を探すことは容易でない」と話した。 大型マート側は今回の判決を根拠に義務休業に対する“執行停止”申請を検討していると明らかにした。 現在、地方自治体別に10余件の同様な訴訟が進行中だ。

ソン・ギョンファ、キム・ヒョジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/669589.html 韓国語原文入力:2014/12/17 21:30
訳J.S(2282字)

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