1人が死亡し、52人が行方不明になった「第501オリョン号」沈没事故の主な原因として悪条件の天気と無理な操業が浮き彫りになっている。これに造られてから36年にもなる古い漁船と船長の判断ミスが複合的に作用した可能性があるとの推定が出てくる。
まず原因として挙げられているのは悪天候である。当時、事故海域の波は4メートル以上、風は秒速20メートル以上、水温は0〜2度だったと、2日、外交部と船主の「思潮産業」は明らかにした。これと関連して水産業界のある関係者は、「この程度の波と風であれば操業自体が非常に危ない状況だった」と述べた。さらに、この付近の海の天気は変化が激しく、救助活動が行われた2日も午前8時は天気が良かったが、午前11時には波が6〜7メートルに高まり、風も秒速25メートルまで速くなり救助活動が中断されることもあった。
このような悪条件の中で第501オリョン号が無理に漁に出たのではないかという疑いが提起されている。水産業界の関係者は「船は復元力があるため、じっとしていれば、高い波でも倒れることはない。網を下ろして引き上げる操業をしたのが、復元力に影響を与えた可能性がある」と述べた。第501オリョンが無理な操業をしたと推定されるもう一つの事実は、午後2時頃、近くにいたジュンソン5号が第501オリョン号の遭難事実を近くの他の船に知らせた時、ジュンソン5号はもちろん、ロシア漁船も避航(港に向かって避難)していた点である。
水産業界では遠洋漁船の船長•船員の賃金制度が成果給制であるのが無理な操業の原因となったという推定も出ている。船は思潮産業所有だが、船員達はスケトウダラを漁獲した実績に応じて成果給を受け取ることになっていた。
船齢が36年の第501オリョン号の性能に問題があった可能性もある。通常なら、高波で臨時貯蔵庫に水が入っても排水口から抜けていくことになっている。貯蔵庫に入った水が抜けなかったのは、排水施設に問題があったことを示唆している。または排水施設が故障したのではなく、船の底にヒビや穴ができて水が入り込んだ可能性もある。第501オリョン号の船員が隣の船のポンプを借りて水を抜いたが、再び船が傾いたという思潮産業側の説明は、船自体の欠陥で浸水した可能性を示している。
最後に、船長が船の状態について間違った判断したこともあり得る。臨時貯蔵庫に水が入って船が傾き始めたのは午後1時以前のことである。すると船長は近くにあったソンギョン水産カロリナ77号からポンプとホースを借り、この水を抜こうとし、傾いた船が一時的に元に戻ることもあった。しかし、午後1時頃再び船が大きく傾き、船長は船員達に脱出を指示した。
もし船長が、臨時貯蔵庫に水が入って船が傾いた時、水を抜こうとせず、すぐ脱出命令を下したら、状況は変わったかもしれない。近くの船からポンプを借りる代わりに、その船に船員達を避難させたり、第501オリョン号に用意されていた防水服を乗組員に事前に着せ8つの救命いかだ(144人まで収容可能)で脱出させたりしていたら、被害が減ったはずだと嘆く声が業界内外から聞こえる。
世宗/ギム・ギュウォン記者、釜山/ギム・ヨウンドン記者、キム・ヒョジン記者
韓国語原文入力:2014/12/02 21:44