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[旅客船沈没 大惨事] ‘船長ら 自分たちが生きるために退船命令下さず脱出 共謀’判断

登録:2014-05-15 22:34 修正:2014-05-16 07:09
セウォル号沈没事故検察警察合同捜査本部は15日、セウォル号事故当時に搭乗客を見捨てて先に脱出した船長イ・ジュンソク氏(左上)等、船員15人全員を拘束起訴した。 写真は検察に送検されている船員ら。 木浦(モクポ)/ニュース1

‘281人殺人’容疑適用 根拠は
孟骨(メンゴル)水道海域 深く流速が速い
‘待避しなければほとんど死亡’と知っていて
‘沈没’を正確に認識していながら
乗客を救助せずに死に追い立てた責任

‘281人殺人’

傾くセウォル号に乗客を放置して脱出したイ・ジュンソク(69)船長など乗務員4人に適用された容疑は今回の惨事の重さ同様に重い。 検警合同捜査本部は少なくともこれら4人は、乗客281人を死に追いやった責任を負わなければならないと判断した。

 捜査本部は先ず彼等が平気で救助された過程に注目した。 少なくとも‘心の余裕がなく’乗客を世話できなかったわけではないということだ。 イ船長は事故直後に操舵室に戻りエンジン停止と‘船内待機’放送を指示した。 非常ボタンを押さず、操舵室で放送ができず無線機を通じて旅客部乗務員に船内待機放送を指示した。 自ら状況判断と対処をした情況だ。 同じく殺人容疑が適用されたカン・ウォンシク(43)1等航海士は、事故後に自分の船室に立ち寄り携帯電話を持ってきた後に清海鎮(チョンヘジン)海運職員と通話を続け、状況を報告していた。 彼は事故現場近くにいた船が救助しにくるとすぐに「(傾いている)左舷側に待機してほしい」と要請しもした。 乗客を脱出させることだけを除けば、彼等は当時船の状況を正確に認識して動いたわけだ。

 それでも彼等は何の救助活動もせずに待機して、一番最初に脱出した。 船員らはセウォル号の復原力がきわめて弱いという事実をよく知っていた。 その上、事故海域は流速が速くて知られた孟骨(メンゴル)水道であった。 水深は36mに達した。 多くの乗客が死ぬほかないという点を知っていながら、‘それでも構わない’と考えて脱出したと見ざるをえないということが検察の判断だ。 一部は負傷した調理員2名を見ても黙って通り過ぎていた。

 捜査本部は犠牲者一人一人の死とこれらの行為の間に因果関係を特定することには失敗したと見られる。 281人の犠牲者それぞれの位置と、それにともなう救助の可能性、亡くなった時期などを特定できない‘大惨事’の特性のためだ。 捜査本部関係者は「セウォル号が引き揚げされるまでは、乗客各自の位置情報さえ知りがたい」として「しかも退船命令を放送さえしないという不作為責任に対する起訴なので、行為と結果の間に因果関係を特定するのは不可能な状況」と話した。

 捜査本部は代わりに、初期に放送を通じて退船命令さえまともに下していれば、乗客を全員助けられたという判断を通じて、殺人の故意性を推論した。 救命イカダを全て展開すれば、その定員が乗客全体より多く、近隣漁船と海洋警察の警備艇なども救助のために来ていたためだ。 捜査本部関係者は「待機命令に従わず積極的に動いた特定客室があったが、その客室で生存者が多数出た」と話した。

 最後まで退船命令を下さなかったのは、単純に自分が助かろうとする程度を跳び越えて、自分たちの救助の可能性を高めようとする意図があったためと捜査本部は判断した。 捜査本部は起訴状で「被告人らは海洋警察123艇1隻だけがセウォル号近隣に到着するのを発見した。 乗客に対する退船命令が出ていない状態で船員が先に脱出すれば、優先的に救助を受けられる状況だった」と明らかにした。 捜査本部関係者は「救助艇が次々と到着しているのに、乗客が団体で退船する場合、乗務員は次順位になるという事実を認識して行動したと見られる。 このような情況ならば、281人の犠牲者に対する殺人容疑を適用できるということで意見が集約された」と話した。

 捜査本部はイ船長らから不作為による殺人の‘自白’を得ることはできなかった。 だが、船員らが「暗黙的共感の下に乗客に対する救護措置を取らずに自分たちだけが退船することを容認し、相互共謀した」と判断した。 捜査本部はまだ見つかっていない乗客は犯罪被害者に含めなかった。 遺体の捜索が終えられ犠牲者が全て確認されればイ船長らは300人を超える乗客を殺害した容疑を受けることになる。

ノ・ヒョンウン記者 goloke@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/637240.html 韓国語原文入力:2014/05/15 21:51
訳J.S(1955字)

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