韓国警察が全国の道路で運行中の全車両を自動識別・監視できる統合システムを構築していたことが確認された。 捜査権乱用と私生活侵害の可能性を防止する安全装置が充分でない状態であるため、”道路上リアルタイム査察”との論議も避けられないものと見られる。
26日、国会安全行政委員会所属のチン・ソンミ新政治民主連合議員が警察庁に提出させた「手配車両検索システム改善事業」という資料によると、警察は車両番号の自動収集が可能な全国車両防犯用カメラ5929台で撮影された車両情報を警察庁のサーバーにリアルタイム伝送するシステムを今年3月に構築した。 こうして電送された車両情報は、警察があらかじめ入力した車両番号と自動比較・判読し、手配・盗難車両などであることが確認されれば地域警察に直ちに「モバイル検問指令」が下されることになる。
警察は1992年にリアルタイム検索と現場検問所を連結したシステム(AVNI)を導入し、ソウルの9か所を含め全国の主要交差点76か所で稼動させている。 スチール写真を利用するこのシステムとは異なり、今回警察が構築した新システムが稼動すれば、動画ではるかに広範囲に車両の移動状況を把握できる。 車両情報は最低3か月以上保存され、車両番号さえ入力すれば、過去・現在の移動経路と搭乗者映像まで直ちに確認できる。 チン議員は「既存のシステムが作動する76か所で1か月間に収集される車両情報は2300万件に達する」とし、新システムが本格稼動すれば車両移動の監視が事実上無制限に発展すると見通した。
警察は殺人・強盗・性暴行・拉致・窃盗などの犯罪捜査に効果を上げられると見ている。 警察は新システムで個人情報の誤・乱用を防止するために、照会ログ記録を周期的に管理することにしたが、照会権限を誰に、どんな犯罪に限定して、どこまで付与するかに対する明確な基準すら用意されていない。 これと関連してシステム構築の主務部署である警察庁情報通信担当官室は「人権侵害の恐れがあり、試験運営を中断し具体的な運営方法を捜査部署と協議中」と明らかにした。
だが、カカオトーク査察論議に見られるように”一網打尽”の査察や捜査に悪用される可能性は依然存在する。 チン議員が公開した資料によると、警察は昨年末の鉄道労組ストライキ当時、業務妨害の疑いで手配された労組幹部の行跡を探すために既存の手配車両検索システムを通じて労組幹部の親戚たちの車の車両移動情報を数か月にわたり追跡した。
チン議員は「一般国民の車両運行情報を令状も得ずに収集することは、憲法が定める令状主義に外れるだけでなく、深刻な私生活の侵害にあたる。 警察は国民の車両を査察する手配車両検索システム導入を全面白紙化しなければならない」と主張した。