韓米は韓国軍の戦時作戦統制権(戦作権)転換時期を明示せずに再延期することにした。 時期とは関係なく韓国軍の能力及び周辺安保環境などの‘条件’が満たされてから戦作権を韓国に渡すことにしたものであり、戦作権転換を事実上無期延期する可能性を開いた。
韓米はまた、韓米連合軍司令部を龍山(ヨンサン)基地に、在韓米2師団配下の210火力旅団を東豆川(トンドゥチョン)に残留させることで合意した。 当初、2016年までに平沢(ピョンテク)基地に移転することにしていた合意を覆したわけだ。 軍事‘主権’と関連して推進されてきたこうした重要懸案を、まともな公論化手続きも意見集約過程も踏まずに一方的に再延期して計画を変更したため、今後相当な論議が予想される。
ハン・ミング韓国国防長官とチャック・ヘーゲル米国国防長官は23日(現地時間)、米国ワシントンで韓米安保協議会議(SCM)を開き、こうした内容が込められた共同コミュニケを採択した。 韓米の国防長官は共同コミュニケで、戦作権転換を「適切な時期に」とだけして具体的な時期を明記しなかった。 ただし「韓国と同盟国の決定的な軍事能力が取りそろい、朝鮮半島と領域内安保環境が安定的な戦作権転換に符合する時に戦作権を韓国に切り替える」として‘転換条件’を明らかにした。
コミュニケはまた「韓米の統帥権者が韓米安保協議会議の勧告に基づいて」戦作権転換を決めると付け加えた。 韓米はこのために共同で‘連合履行管理システム’を構成し、毎年韓国軍の軍事能力を評価した後、戦作権転換の可否を韓米安保協議会議で協議する手続きを踏むことにした。
韓国国防部当局者はこれと関連して「戦作権転換時期を明記すれば、後日また延期しなければならない事情が生じうる」と話した。 この当局者は、一方で「2020年代中盤に北朝鮮の核・ミサイル威嚇に対応するための‘キル チェーン’と‘韓国型ミサイル防御’(KAMD)が構築されれば、韓国軍が戦作権を還収する核心軍事能力を備えることになる」として「事実上、2020年代中盤になれば戦作権転換が実現すると展望する」と話した。
しかし、2020年代中盤になっても北朝鮮の核・ミサイル能力がさらに強化されたり、朝鮮半島および領域内安保が不安定だという理由で、いくらでも戦作権転換はなされない可能性がある。 そのために、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時期の2005年に韓米合意で推進された戦作権転換が一度延期された末に、事実上の無期延期手順を踏むのではないかという憂慮が出てくる。
韓米はまた、戦作権転換がなされる時まで韓米連合軍司令部をソウル龍山基地に残留させることにした。 国防部はこれまで「龍山基地移転計画は国民との約束であるので必ず守る」と何度も公言してきた。 しかし今回、戦作権転換再演期を口実に連合司令部を龍山に残すことで既存合意を覆したため論議が予想される。 韓米は連合土地管理計画(LPP)により、2016年までに平沢に移転することにしていた在韓米2師団配下の210火力旅団も東豆川に残すことにした。基地移転を強力に主張してきた東豆川地域社会の反発が予想される。
韓米両国が事実上、戦時作戦権転換時期を無期延期することに合意して、朴槿恵(パク・クネ)大統領が大統領選挙時に外交安保分野の核心公約として掲げた‘戦作権還収’公約を自ら破棄したという批判も避け難くなった。朴大統領は2012年の大統領選挙当時、公約集と記者会見等を通して「2015年戦時作戦権転換を支障なく準備する」と何回も明らかにした。 大統領府はこの日も韓米両国の戦作権転換延期合意に対して何らの立場も明らかにせず、「国防部が説明する」という態度を維持した。