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米国が前線部隊の残留など在韓米軍移転計画の見直しを要請

登録:2014-09-19 11:12 修正:2014-09-19 16:23
韓米統合国防協議体で再要請
戦作権再延期を口実に譲歩を求める
韓国政府は「基地移転約束履行に支障」
連合戦力維持ための最適案では悩み

 戦時作戦統制権(戦作権)返還の再延期問題が、ついに在韓米軍基地移転計画の縮小または後退につながる憂慮をもたらしている。米国は今回の韓米統合国防協議体(KIDD)で連合司令部のソウル残留に続き、米第2師団火力旅団の東豆川(トンドゥチョン)残留を強力に求めていたことが分かった。米国が韓国側の戦作権返還再延期の要請を口実に、米基地移転に関し不本意だった既存合意に対する譲歩を求めてきた形だ。

 外交消息筋は18日、「最近になり米国が軍事作戦の側面で京畿道東豆川にある米第2師団配下210火力旅団が漢江(ハンガン)以北に残留する必要があるという意志を何回も表明した」として、「17~18日にソウルで開かれた第6回韓米統合国防協議体会議でも同様の意志を再び表明したと理解している」と話した。米国は韓米連合軍司令部のソウル残留も要請していたことが分かった。 この消息筋は「210火力旅団と連合司令部の残留に関する米国の意志は非常に強い」と語った。

 米国のこうした要請はこれが初めてではない。カーティス・スケポロティ韓米連合司令官は昨年11月、「漢江以北の我々が“1区域”と称する区域に作戦側面からある程度(米軍が)残留するのが必要だ」と言及し210火力旅団の東豆川残留を希望した。 また、2014年7月には連合司令部のソウル残留に関連し、「現在の考慮はしているが、いかなる決定も下されていない」と韓国と協議中であると示唆した。米国がこれらの事案を今回の韓米統合国防協議体で取り上げたことは、韓米例年安保協議会の(SCM・10月23日ワシントン開催予定)を控えて戦作権返還の再延期交渉と連係して韓国を圧迫するための意図と解説される。

 しかし、米国の要請は2016年までソウル市内の龍山(ヨンサン)と漢江以北にある在韓米軍を平沢(ピョンテク)に移転することで合意した韓米間の約束をひっくり返すことに他ならない。韓米連合軍司令部を含む龍山基地の移転計画は2004年1月の「未来韓米同盟政策構想」(FOTA)会議で、210火力旅団など米第2師団移転は2002年の両国間の「連合土地管理計画(LPP)協定」でそれぞれ合意している。これに伴い、韓米は2007年11月に龍山基地と米第2師団基地などを新たに受け入れる349万坪規模の平沢基地の起工式をした。 当時の政府は現地住民たちの平沢基地建設反対にあたり、途方もない政治・社会的費用を払わなければならなかった。

 当初の盧武鉉政権時期、韓米間の在韓米軍移転交渉は戦作権返還と関わりなく進められた。在韓米軍移転の協定は戦作権返還問題が公式に提起された2005年10月の韓米例年安保協議会以前に終わっている。

 特に連合司令部移転問題は、2003年の韓米交渉当時に厳しい交渉の末に合意した事案だ。 韓米は当初、「連合司令部の龍山残留」の原則に合意したが、敷地規模をめぐり意見が分かれた。韓米は当初17万坪で意見の接近を試みたが、米国が終盤に態度を変え28万坪を要求し、韓国が「20万坪以上は難しい」と抵抗した結果、連合司令部も平沢に移転することで最終的に合意した。 今になって米国が戦作権返還の再延期交渉を口実に合意を翻すのは行き過ぎだとする批判が出ている。

 米軍は210火力旅団が平沢に移転された場合、北朝鮮軍の攻撃に対する効果的な先制対応に支障があると主張していることが分かった。 特に威嚇的な北朝鮮の長射程砲に対して210旅団が保有する多延長ロケット(MLRS)と戦術地対地ミサイル(ATACMS)等の火力が抑止力を発揮すると期待しているという。韓米連合軍司令部も韓国の国防部や合同参謀本部(合同参謀)等と円滑な業務協力などのためソウル残留が必要だという立場だ。

 これに対して国防部リュ・チェスン政策室長はこの日、韓米統合国防協議体会議を終えて記者らと会い、「米国が今回の会議で連合司令部などの残留を要請したか確認できない」としたうえで、「在韓米軍基地の移転は国民との約束通り履行するという政府の立場に変わりはなく、こうした基本的な立場の枠組みで連合戦力維持のための最適な方案を探し出すのに苦心している」と話した。

 これまで国防部は連合司令部を平沢基地に建設中の在韓米軍司令部の建物に入居させる方案をアメリカと協議してきた。平沢基地は2016年完工を目標に現在71%の工程率を見せており、在韓米軍司令部は本館4階と別館2階、作戦センターを含む延面積5万9547平米の規模で建設中だ。しかし、米国が「ソウル残留」にこだわる場合、韓国が「平沢移転」を貫徹できるか疑問だ。 戦作権返還再延期を要求した韓国が弱い立場にならざるをえないためだ。 軍当局者は「連合戦力維持のための米軍の残留要求と在韓米軍移転計画を同時に満たす“二匹のウサギ”を追う。容易でない課題なので10月の韓米例年安保協議会後も議論が続くだろう」と話した。

 米210旅団の東豆川残留要求には財政的な問題もからんでいるという指摘がある。米国が天文学的な財政赤字を理由に国防費縮小などを考慮し、6兆ウォン(約6千億円)を越える米第2師団の平沢移転費用を負担に感じているというのだ。米第2師団の基地移転費用は“原因提供者費用負担”の原則に従い龍山基地移転とは異なり米国が負担する。

 現実に米国上院軍事委員会は今年6月に予算不足を理由に数百億ウォンに達する在韓米軍家族住宅建設事業にブレーキをかけ、「財源用意のために韓米防衛費分担特別協定を利用したり龍山基地再配置計画を再検討すべき」と注文したことがある。キム・ジョンデ「ディペンス21プラス」編集長は、「在韓米軍は国防予算削減圧力により費用削減の必要があり、米軍基地を前方に配置することによって韓半島の重要性を浮上させる方法で存在感を出す必要もあるようだ」と話した。

パク・ビョンス先任記者  (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2014/09/18 22:48

https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/655852.html 訳Y.B(2791字)

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