本文に移動

住民投票で原発誘致反対の三陟市民「福島後、他人事ではないと気づいた」

登録:2014-10-10 22:20 修正:2014-10-11 07:00
原発反対の意思を明確にさせた三陟市の雰囲気
三陟原子力発電所白紙化汎市民連帯の会員たちが10日午後、江原道三陟市の事務室で政府の原発建設計画撤回を促す声明書を発表した後、一斉に拍手している。 三陟/リュ・ウジョン記者//ハンギョレ新聞社

「原発が危険だということは幼い子供でも知っています。 特に2011年の日本の福島原発事故後に住民たちの考えはガラッと変わりました。 以前は漠然と“危険かもしれない”程度だったとすれば、今は“それは他人事ではないんだ”と変わったようです」

 江原道三陟(サンチョク)で全国初の“原子力発電所誘致賛否住民投票”が行われた翌日の10日午前、新しい住宅団地が造成された校洞のあるアパートで会ったチョン・ポヨン氏(33)が投票に参加した人の84.9%(2万4531人)が反対した背景をこう説明した。

 チョン氏の夫イ・サンソプ氏(36)は「原発誘致反対世論の方が多いということは、三陟住民なら誰もが予想していたので驚くことではない。 90%以上が反対だろうという予測もあった」と現地の雰囲気を伝えた。

 この日午前、江原道三陟の町の風景は、「住民投票で原発賛否葛藤に終止符を打とう」、「政府は覚醒せよ。 原子力発電所白紙化を要求する」と書かれた横断幕を除けば普段と変わりなかった。

 2010年12月、三陟市が韓国水力原子力に原発誘致申請書を出した後、4年間表面には表れなかった三陟の民心が6月の地方選挙に続き今回の住民投票を通じて明らかになった。

経済活性化を信じる賛成論者たちも
圧倒的反対の結果に概して納得
チェ・ムンスン知事「葛藤を終わらせる終止符」
江原道の17の地方自治体も「歓迎」
市民団体「政府は市民の意に従え」

 市民が直接住民投票委員会を設けて実施した前日の住民投票で、有権者4万2488人のうち2万8873人が投票して67.9%の投票率を記録した。 このうち原発を誘致することに賛成票を投じた市民は14.4%(4164人)に過ぎなかった。すでに三陟市民は“賛核”と”反核”の正面対決構図で行われた6・4地方選挙でキム・ヤンホ三陟市長を当選させ、原子力発電所誘致反対の意向を明らかにした経緯がある。

 住民投票が終わって日常生活に戻った一部の住民は、相変らず原発を誘致してこそ地域経済が活性化すると信じているようだったが、住民投票の結果には概して納得し、原発誘致賛否を巡る住民葛藤は終わりにしなければならないと話した。

 原発賛成世論が最も高く現れた地域である遠徳邑(ウォンドクウプ)に住むチョン・ヨンデ氏(53)は「私たちの町内は火力発電所が建設された後に環境が破壊されて、原発に対する拒否感が相対的に少ない。 暮らしが厳しい人々は、原発でも入ってくれば肉体労働でもして生きていけるのではという思いも持っている。 とにかく、住民投票を通じて住民の総意が確認された以上、住民どうしの葛藤はなくさなければいけない」と話した。

 原発誘致に反対する大学生パク・ヨンドク氏(25・南陽洞)も「住民投票を通じて住民の総意が確認されただけに、これまでの葛藤を終わりにして、住民の意見を一つに集めることが正しいと考える」と話した。

 チェ・ムンスン江原道知事は「4年間続いた住民葛藤は、2010年の誘致申請過程で住民投票を施行しなかったために起きたことだ。 今回の投票は葛藤と混乱を終わらせる終止符になるだろう」と話した。

 三陟住民の多数が住民投票を通じて原発反対を選択したという便りに、三陟だけでなく江原道内の残りの17個の市・郡も歓迎した。 三陟原子力発電所賛否投票に積極的な支持意思を明らかにした東海(トンヘ)市議会のキム・ヘスク議長は「三陟原子力発電所は三陟だけでなく東海、江原道民すべての問題だ。 三陟住民たちの決断を歓迎し、政府の賢明な選択を促す」と話した。

 市民社会団体はいっせいに政府に向けて原発建設計画の撤回を促した。 三陟原子力発電所白紙化汎市民連帯はこの日、記者会見を行って「政府は三陟市民の意に従わなければならない。 そうでなければ私たちは命をかけた闘争を展開せざるをえない」と話した。 江原道内の市民社会団体が集まって構成した江原市民社会団体連帯会議も声明を出して「政府が投票結果を否定して原子力発電所の建設を強行するならば、地方自治に対する全面的な否定と見ざるをえない。 今回の結果は脱核と代案エネルギーを模索する重要な契機になるだろう」と話した。 緑色党も声明を出して「脱核とエネルギー政策転換のためにすべての利害当事者が参加する公論の場を用意することを提案する」と明らかにした。

 全国公務員労働組合江原地域本部は「今回を機会に原発拡大一辺倒の国家エネルギー政策自体を根本的に変えなければならない」と要求した。

 三陟が選挙区であるセヌリ党イ・イジェ国会議員も「原発誘致を撤回しなければならないという市民の総意が確認された以上、今やボールは政府へ投げられた。 政府は住民投票の結果を尊重してすぐに受け入れよ」と要求した。

三陟/パク・スヒョク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/area/659262.html 韓国語原文入力:2014/10/10 21:22
訳J.S(2258字)

関連記事