有権者60万人の大規模選挙
公正性に傷がつけば打撃の憂慮
全国民主労働組合総連盟(民主労総)が史上初めて直接選挙で指導部を選出することにし、公式選挙日程に入った。 組合員約60万人が有権者として参加するだけに、公職選挙を除けば全国単位の選挙の中で最も規模が大きい。民主労総に対する組合員の関心を大幅に引き上げるという期待とともに、ややもすれば不正選挙などで組織が致命傷を受けかねないという憂慮も出ている。
5日に民主労総が公告した選挙日程を見ると、8期役員を選ぶための直接投票は12月3日から一週間かけて行われる。 直接選挙で選ぶ3年任期の対象役員は、委員長と首席副委員長、事務総長であり、このうち1人は必ず女性でなければならない。 民主労総は今月末までに選挙人名簿を確定し、11月3~7日に候補登録を受けつける。
民主労総の今回の役員選挙は、1995年11月のスタート以来19年後に初めて行われる直選制選挙だ。 これまでは16個の産別・連盟の代議員約1000人が投票権を行使して役員を選ぶ間接選挙制を維持してきた。 1998年当時、イ・ガビョン委員長が“組織内民主主義の拡張”などを掲げて直選制への転換を要求した後、議論だけは活発だったが、2007年4月の代議員大会で公式決定された。 民主労総内では一部政派が掌握しやすい構造の代議員が、一般組合員の意見をまともに反映できないという問題提起が常に起こっていた。 だが、その後も指導部の意志と準備不足のせいで延期され続け、今回ようやく実行に移すことにした。
民主労総は直選制選挙で役員の組織的代表性が大きく向上し、弱まった組合員の関心も集めて組織が生まれ変わる契機になると期待している。 シン・スンチョル委員長は“組合員に差し上げる手紙”で「私たちは労働運動の新たな正統性と指導力を創り出すだろう。 何よりも必要なことは、組合員一人ひとりの参加であり全国の現場から自発的な投票の熱気が集まることだ」と話した。
ハ・ジョンガン ハンウル労働問題研究所所長は『ハンギョレ』との通話で「多くの試行錯誤があるだろうが、直選制は組合員の意見と異なる結果を出す現在の代議員大会の政派構図を打破する役割をすると期待する」として「この機会に民主労総が唯一無二の組織労働運動の代表としてさらに大きな信頼を得る突破口になるべく努力しなければならない」と話した。
だが、直接民主主義を拡大しようとするものであっても、公正性選挙論争で組織が傷を負うことになりかねないという憂慮も出ている。 組合員である有権者だけで約62万人に達するうえ、投票所も全国の支部・本部・支会・分会など約2万か所、予算も6億ウォン(約6千億円)に及ぶ。 さらに郵便投票と自動応答システム(ARS)投票方式まで導入していて、投票・開票管理に多くの困難が予想される。
民主労総のある常勤者は「もし敗れた側が投票無効訴訟を出したら頭の痛い問題になるので、内部からも投票管理に対する憂慮が出ている」として「セウォル号、非正規労働者など下半期の重要社会イシューが多いのに、民主労総の組織力量が直選制などの選挙問題に過度に集まっているため心配」と話した。
キム・ジョングン民主労総直選制準備チーム長は「不正選挙論争を遮断するために、技術的問題に対する備えはもちろん、法律諮問まで行った。 中央選挙管理委員会に諮問したところ、物理的に投票が容易でない組合員まで参加が可能になるように、比較的準備がよく出来ているという返事を受けた」と明らかにした。