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絶対禁煙で追いつめられる喫煙者たち

たばこ値上げで変わる企業文化
喫煙者がソウル中区の大韓商工会議所横でタバコを吸っている。 前に見える建物が最近喫煙空間をなくした新韓銀行の建物だ。 カン・チャングァン記者 //ハンギョレ新聞社

ポスコは建物の内外すべてを禁煙区域
錦湖アシアナは禁煙誓約書の提出義務づけ

 政府が喫煙率を低くするためだとするたばこ税引上げ案を国会に出し、国内企業の社員の喫煙管理がどう変わるのか関心が高まっている。李明博(イ・ミョンバク)政権時には一部の企業が“低炭素緑色成長政策”に応じるとの趣旨で尿検査までして喫煙者を管理しようとした。その後、規制が再び少し和らいだ面もあるが、相変らずかなりの数の大企業は社内喫煙を厳格に規制している。

 ポスコは2000年代初めから浦項(ポハン)と光陽(クァンヤン)の製鉄所を中心に着実に禁煙政策を繰り広げた。上司がたばこを吸う社員を管理する禁煙責任管理制を施行し、作業場にたばことライターを持ち込めないようにした。禁煙に成功した職員には禁煙証明書を与えた。

 2009年2月に任命されたチョン・ジュンヤン前会長は、ソウル大峙(テチ)洞のポスコセンターを“グリーンビルディング”と宣言して「喫煙率ゼロ」の推進に乗り出した。社内はもちろん社外でもタバコを吸わないようにしたのだ。年末に実施される健康診断の尿検査や血液検査で喫煙の有無を分類することまでした。チョン前会長は当時「喫煙する人は私と一緒に働くことができない。不満があれば訴訟を起こしない」と強力に禁煙政策を押しつけた。

 クォン・オジュン会長に最高経営者が変わった近頃はどうだろうか? クォン会長は非喫煙者だ。ポスコ関係者は28日、「今は禁煙が勧告事項に変わった。尿検査や血液検査もしていない」と話した。グリーンビルディング政策は相変らず有効で、ポスコセンター全階はもちろん建物周辺も禁煙区域だ。

 錦湖(クムホ)アシアナグループは総帥一家の“病歴”のためにたばこにアレルギー反応がある。パク・チョング錦湖グループ元会長と兄であるパク・ソンヨン錦湖アシアナグループ元名誉会長の二人が肺癌で死亡した。故パク・ソンヨン元会長は普段から「喫煙は個人問題だが喫煙者を昇進させない権利は私にある」と語り、喫煙に極度の嫌悪感を現わしていたという。

 錦湖アシアナグループ社員は入社時に禁煙誓約書を提出しなければならず、喫煙者は人事考課で不利益を受ける。グループ関係者は「幹部役員と同じエレベーターに乗った社員がたばこの臭いを漂わせて挨拶したら不利益を受けたこともある。グループの中では『たばこを吸っても絶対見えるところでは吸うな』という金言がある。喫煙者にとりガムと歯磨きは必須だ」と話した。

 主な大企業では建物全体を禁煙区域に指定している。このため建物周辺では煙を焚いて巣からタヌキを追い出す「ノグリ(タヌキ)穴」を連想させる代表的な“喫煙区域”がある。ソウル中区長橋洞のハンファ・ビルディングの前にある空地は、常に周辺の会社員が吐き出すタバコの煙で覆われる。 ソウル中区双林洞のCJ第一製糖近くのカフェはCJの喫煙社員でいっぱいだ。

 CJのある社員は「監視の目を避けてたばこ一本を吸うにはちょうどいい場所」と話した。常駐人員だけ7000人のソウル汝矣島(ヨイド)のLGツインタワーの場合、地下1階の隈にある小さい室外空間にだけ喫煙区域があり、昼休みともなると足の踏み場もない。

 一方で、建物の中で堂々とタバコを吸える所もある。ソウル大峙洞のKT&G本社だ。KT&Gはこの建物の16~20階を使っているが、各階ごとにソファと灰皿が用意された35平米(約10坪)前後の喫煙室がある。KT&Gは喫煙の有無を個人の好みに任せている。

 匿名を要求したある大企業関係者は、「禁煙のエチケットが全般的に定着したうえ喫煙者もかなり減っているので、各企業が直ちに強制的な禁煙政策を拡大することはないと思う。喫煙者の権利を侵害する余地もあるだけに、インセンティブなどで禁煙を誘導する方式が望ましい」と話した。

キム・ジョンピル、チョン・セラ、イ・ジョンエ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2014.09.29 20:07 

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/657411.html 訳Y.B(1607 字)

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