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[記者手帳]カカオを抜いたロシア産「テレグラム」…人気の理由はセキュリティー?

登録:2014-09-24 21:21 修正:2014-09-25 07:53
“メッセンジャー亡命先”に浮上したテレグラムを使ってみると
APPストアでカカオトークを押しのけ無料アプリ部門1位に上がったテレグラム//ハンギョレ新聞社

“カカオトーク モニタリング”疑惑に
安全重視のユーザーの間で人気爆発
APPストアではカカオトークを押しのけ1位
まもなくハングル化作業が完了
使用する上で大きな不便はないものの
まだユーザーが少ないことが欠点といえば欠点

 ロシア産モバイル・メッセンジャー「テレグラム」の人気が沸騰しています。 24日現在、APPストア(iOS)でテレグラムは無料アプリ部門の1位になり、カカオトーク(2位)を追い抜きました。 19日にはダウンロード数がソーシャルネットワーキング部門で111位でしたが、20日には13位、21日には8位に急上昇し、僅か5日間で首位の座を占めたわけです。 テレグラムはロシア当局の監視を避けるために、セキュリティーを最優先に考えて開発されたモバイル・メッセンジャーです。

「いったいどうして韓国でテレグラムを使うのですか?」

人気急騰現象にテレグラムのアプリを国別の実情に合うように変換作業をしているプロジェクト担当者が首をかしげていたそうです。PLAYストア(Android)には「避難して来ました、私生活の保障もされない国だなんて」 「メッセンジャー亡命者です。 韓国語のサポートお願いします」のようなハングルのレビューが19日から相次いで上がっている実情なのでそうかもしれません。

 理由はともかく、人気のおかげでテレグラム側でもハングル化を急いでいるといいます。 現在のメニューを韓国語に翻訳する作業は100%完成しており、これを実際にプログラムに載せる過程が進行中(36%)と言うので、まもなくハングル化されたテレグラムに会うことができそうです。

 ロシアで作られたメッセンジャープログラムが韓国でこれほどの人気を呼んでいる理由を説明することは、なんだか気まずい思いがします。 ネチズン(ネットユーザー)たちが大挙して“メッセンジャー亡命”しているのは、よく知られているように「カカオトーク・モニタリング」疑惑のせいです。 最近検察は「サイバー名誉毀損専門担当捜査チーム」を発足させることにして、18日にはポータルサイト関係者などとの対策会議を経て「サイバー上虚偽事実流布対応方案」を用意しました。 ネイバー、ダウム、カカオなど利用者が多いサービスについては、リアルタイム・モニタリングシステムを確立し、虚偽事実を流布したり伝達したケースも厳罰に処するということです。 「大統領冒とく発言が度を越した」という朴槿恵(パク・クネ)大統領の閣僚会議発言の二日後になされた電撃発表でした。

 ネチズンは激しく怒りました。 メッセンジャーアプリの特性上、広範囲な私生活侵害が憂慮されるためです。 対話を第三者が監視できないというテレグラムに関心が集まったのはそのためです。 しかし、外国製メッセンジャーで、ハングル化されておらず、カカオトークに比べて慣れていないため簡単には移動しにくいという人々も多くいます。

 記者が自分で直接使ってみると、テレグラムは非の打ちどころがない代替品と感じました。 ダウンロードするためにはPLAYストアで‘telegram’という英単語で検索しなければなりません(「テレグラム」をハングルで入力しても検索できません)。 設置後に使用する電話番号を入力後、SMSで届く認証番号さえ入力すればすぐに使えます。 写真、動画、ファイル添付なども速度が速く、チャット・ウィンドウの右側のマイクボタンを押せばリアルタイム録音も可能で特に不便はありませんでした。 グループを設定すればグループチャットも可能です。

 カカオトークと異なる点も多数あります。 カカオトークはIDさえ知っていれば対話相手を追加して、対話を交わすことができますが、テレグラムでは電話番号が登録された相手とのみ対話ができます。 未読という表示しか出ないカカオトークとは違い、WhatsAppのように相手がいつメッセージを読んだのか、対話の脇に確認時間を表示します。「遅く確認した」という言い訳が通じないのです。

 セキュリティー上のためなのか、対話全体をテキスト ファイルとして保存する機能は提供されません。個別の対話であればテキストコピー形式でクリップボードに保存したり伝達することは可能です。 個別ダイアログ・ウィンドウごとに“秘密対話”オプションを設定することもできます。 この場合、対話は一定時間が経過すればスマートフォンのみならずサーバーからも自動的に削除されます。 サーバーが海外にあるため韓国検察の押収捜索も不可能です。

 こういう強力なセキュリティー機能のために、最初は韓国内の証券街で密かに使われ始めました。 証券街のメッセンジャーに行き交う不法取引は当局の検閲対象ですが、6月に金融監督院が実績情報事前流出の波紋と関連して1年分以上のメッセンジャー対話内容を提出することを要求したことから、早くから証券街に“韓国内メッセンジャー疎開令”が下されたわけです。 検察の発表以後、一般大衆にまで広がり人気を呼んでいるので、テレグラムの開発者が韓国の政治状況に対して知るのも時間の問題でしょうね。

 テレグラムの短所は、ユーザー数がまだ少ないということです。 設置した人々が続々と増えてはいますが、使う人が多いほど“規模の経済”が生まれるメッセンジャーアプリの特性上、後発走者の限界に直面するでしょう。 結局、政府が“外国製メッセンジャー使用奨励政策”(?)をどれほど積極的に繰り広げるかにかかっているようです。

チョン・ユギョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/it/656641.html 韓国語原文入力:2014/09/24 18:27
訳J.S(2502字)

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