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庶民の懐を直撃する韓国政府のタバコ増税

登録:2014-09-12 00:58 修正:2014-09-12 05:57
一気に二倍近い値上げで
喫煙率が高い低所得層を狙い撃ち
税収不足を補う狙いも
ソウル龍山区のあるコンビニで顧客がタバコを買っている。 リュ・ウジョン記者//ハンギョレ新聞社

 韓国政府がタバコに課される各種税金(タバコ税)を二倍近く増やし、現在の2500ウォン(1ウォンは0.1円)タバコ代を4500ウォンに値上げすると発表した。タバコ代が上がれば喫煙率が下がるため、疾病予防などタバコ税引き上げの効果は大きいとするのが政府の主張だ。一方、「参与連帯」をはじめとした市民社会団体並びに野党は、政府が税収不足の穴埋めするため税収確保が容易な間接税を上げようとしていると批判した。と同時に、タバコの主要消費層である庶民の家計により大きな負担を抱えさせる“逆進性”も指摘した。

 政府は11日に経済関係長官会議を開き、現在2500ウォン(国産タバコ「エッセライト」基準)のタバコ代を来年1月1日から4500ウォンに値上げする内容などを盛り込んだ「禁煙総合対策」を確定して発表した。今回の禁煙対策にはタバコ値上げ案以外にも、タバコに警告写真をつけ、コンビニなどでタバコ広告を禁止する方案も入っている。

 政府のタバコ値上げ案は、内容面でタバコ税引き上げ案に他ならない。タバコ消費税、地方教育税、健康増進負担金などからなるタバコ税は、現在2500ウォンのタバコを基準に1550ウォン(62%)ほどになる。政府の値上げ案には、このうえに開発消費税(594ウォン)という税金項目を新設し、現在354ウォンの健康増進負担金を841ウォンに上げるなど、合計で1786ウォンのタバコ税を追加でかけるという内容が盛り込まれた。政府が上げるタバコ代の88.4%が税金ということになる。こうなると4500ウォンのタバコ1箱を買うのに払う税金は3318ウォンに及ぶ。また、政府はタバコ代の物価連動制を導入し、2015年以降物価が上がればタバコ代も共に上げられるようにした。

 政府が打ち出したタバコ税引き上げの背景には、韓国の喫煙率が経済協力開発機構(OECD)加盟国中で最も高く、2004年以降、タバコ代が上がらなかったという点などがある。タバコ税引き上げ案を発表したムン・ヒョンピョ保険福祉部長官は、「タバコによる国民健康の深刻な被害を減らすには、現在世界最高水準の喫煙率(成人男性基準44%)を2020年までに29%以下に下げなくてはならない」と語った。

 一方で、政府のタバコ税引き上げ案が低所得層の経済的負担を増やす“庶民増税”にすぎないという反論も根強い。国民健康統計などをみると、下位25%以下の低所得層の喫煙率は男性が53.9%、女性が11.2%で、上位25%以上の高所得層の喫煙率(男性44.1%、女性4.1%)より高い。所得は少なくタバコを多く吸うため所得に比べてタバコ代支出比重も高い。下位10%以下の低所得層は世帯当たり所得の1.48%をタバコ購入に使い、上位10%以上の高所得層は0.45%だ。

 参与連帯は論評で、「タバコは相対的に所得水準が低くなるほど多く消費する品で、タバコ税引き上げの負担は、比較的租税抵抗が少なく安定的な税収確保が可能な間接税引き上げを通して税収を拡充しようする疑いをぬぐいきれない」と指摘した。

チェ・ソンジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2014.09.11 21:12

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/654854.html 訳Y.B(1.302字)

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