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州政府が訴訟に乗り出すとタバコ会社から内部告発者が現れた(下)

登録:2014-09-11 16:46 修正:2014-09-12 08:17
喫煙被害訴訟 深層点検(1)カリフォルニア・バンクーバーに行く
サンフランシスコのタバコ屋の前で女性(中央)が路上でタバコを吸っている。カリフォルニアでは路上喫煙に制限がないが、州政府が喫煙被害訴訟を起こしてから喫煙率が大幅に下がり、路上喫煙者を見るのは稀だ。//ハンギョレ新聞社

 州政府がこのような流れを変えた。 1994年ミシシッピ州を皮切りに1996年にはカリフォルニアなど9つの州政府が喫煙被害訴訟に乗り出した。1997年にはその数が50州まで増えた。州政府が大挙訴訟に乗り出すや事情ががらりと変わった。個人喫煙被害者は長期に亘る訴訟の弁護士費用を賄いきれなかった。 何より喫煙の被害を立証する統計資料を確保することに困難を来した。

しかし、州政府は低所得層の治療に政府予算を投じているだけに、医療保険資料を基に喫煙被害にともなう具体的な診療費などを提示できた。 公信力と実行力が高い州政府が前面に出ると、タバコ会社から内部告発者が現れた。そのおかげで訴訟提起から2年でフィリップモリスなど世界的なタバコ会社が莫大な賠償金を負担し和解に乗り出した。

 デニス・エカート元カリフォルニア州法務部タバコ規制局長は「タバコ会社の内部告発者たちが現れたことが決定的だった。彼らのおかげでタバコ会社の違法性が広く知られ、タバコ会社に不利な世論が造成されたためタバコ会社の方から交渉を要請してきた」と話した。 実際、1994年にミシシッピ州が喫煙被害訴訟を提起すると、ビクター・デノーブル元フィリップモリス研究員が州議会で「タバコはニコチン中毒を起こし、喫煙者の自由意志で断ち切ることはできない」と暴露した。 その一か月後には喫煙被害訴訟を提起されたタバコ会社の弁護を引き受けていたローファームが、タバコの危害性に関するタバコ会社の秘密文書をステントン・クレンツ カリフォルニア州立大学教授に渡した。世界的な禁煙運動家に挙げられるクレンツ教授は『ハンギョレ』とのインタビューで、「結局1998年11月にタバコ会社が25年間に2460億ドルを賠償することで合意して訴訟を終わらせた。州政府が訴訟を最後まで続けたとしてもタバコ会社は敗訴しただろう」と説明した。

 州政府が収めた成果に基づいて個人喫煙被害者もタバコ会社との訴訟で勝利する事例が相次いだ。2001年にフロリダ州と2005年にカリフォルニア州で、喫煙被害者がタバコ会社からそれぞれ109万ドルと1050万ドルの賠償を受ける判決が下された。

 訴訟の過程で明らかになったタバコの有害性とタバコ会社の違法性は、喫煙率を大幅に下げることに寄与した。 公共の場所や建物内で喫煙を制限するなど、各種の禁煙政策施行にも役立った。 リーフ局長は「タバコ広告や喫煙場所制限政策もそれまではタバコ会社のロビーのために施行が難しかったが、喫煙被害訴訟後にはタバコ会社が尻尾を巻いて可能になった」と話した。

 カナダも州政府が喫煙被害訴訟の先頭に立っている国だ。 カナダ政府は米国の州政府が訴訟に乗り出した時、(直接被害者ではない)州政府が訴訟に出るのは違憲だとしてタバコ会社が訴訟を起こした先例を反面教師として、州政府がタバコ会社を相手に訴訟を起こせるよう別途の法律を作った。1997年にブリティッシュコロンビア州が「タバコ損害賠償法」を出したが、タバコ会社が違憲訴訟を提起し2000年に違憲判決を受けた。 だが、同じ年「タバコ損害および治療費賠償法」を作り、結局2005年9月にその効力が発揮された。 オンタリオ州とエルボタ州も喫煙被害訴訟に参加した。バンクーバーで『ハンギョレ』と会ったエリック・リグレズリー タバコ訴訟専門弁護士は「カナダもアメリカのように個人喫煙被害者たちが敗訴して州政府が乗り出す法律的根拠が用意されてから勝訴するようになった。 タバコ会社は裁判所や喫煙者団体などに執拗なロビー工作をしたが、世論には逆らえなかった」と話した。

サンフランシスコ・バンクーバー/文・写真 キム・ヤンジュン医療専門記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/654555.html 韓国語原文入力:2014/09/09 22:52
訳J.S(1859字)

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