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過酷な捕虜体験訓練で韓国兵士2人が死亡

登録:2014-09-03 18:36 修正:2014-09-04 05:49
ひざまずかせ後ろ手で束縛した状態で頭に袋をかぶせ
予防対策を疎かにした“安全不感症”が再び俎上に
特殊戦の訓練中、下士2人が死亡した忠清北道曽坪郡にある第13空輸特戦旅団配下の部隊。部隊の入口にバリケードを設置し出入りを統制している。 (曽坪=連合ニュース)

 今月2日夜、捕虜体験の訓練をしていた特戦司令部所属新兵の下士2人が死亡する事故が発生し、軍の“安全不感症”が再び俎上に上がった。

 3日、陸軍などの説明を総合すると、2日午後10時40分頃、忠清北道曽坪(チュンピョン)郡にある第13空輸特戦旅団配下の部隊で、捕虜として捕らえられた時を想定して、これに対応する訓練をしていた部隊員イ下士(23)とチョ下士(21)が死亡した。二人の部隊員の遺体は清州(チョンジュ)にある病院の霊安室に安置されていたが、遺族たちの同意を得て国軍の大田(テジョン)病院に運ばれた。負傷したチョン下士(23)は、清州の民間病院の応急室で治療を受けた後に一般病室に移された。病院側は死因を窒息死と推定している。

 この日、死亡または負傷した下士は全員が経歴2~3年の新兵で、部隊内の模擬訓練場で1日から4泊5日の日程で捕虜体験予備訓練を受けていた。15日から始まる本訓練を控えた事前の予行演習だったと軍当局は説明した。訓練は捕虜として捕らえられた状況を想定し、ひざまずいた状態で後ろ手で束縛され、頭に防水処理されたポリエステルの袋をかぶせ、1時間ほど耐える形で行われた。

 当時、この訓練は10人が受けており、残りの10人は待機中だったという。訓練場所は廊下の両側に部屋が9個ある建物で、8部屋に1人ずつ、残りの1部屋には2人が入り訓練を受けていた。統制要員は計4人で、2人が廊下で状況を点検し、残り2人は統制室にいた。現場統制要員は廊下を行き来しながら部屋の内部を調べる方法で行われ、訓練参加者の身体状態を正確に知ることは難しかったとみられる。陸軍関係者は「負傷した下士が大声を出したので行ってみると、意識が混濁している状態だったという。他の人もそうかもしれないと判断して点検してみると、2人が意識を失っているのを確認し“119”で病院へ移送した」と説明した。

 問題は外国の部隊でもたびたび死亡者が発生するほど、捕虜体験訓練の強度が極めて高く危険だという点にある。そのうえ、軍は今年初めて米軍からこの訓練を導入した。したがって安全事故に備えて現場統制を徹底しなければならなかったにもかかわらず、軍が予防対策をおろそかにしたのではないかという批判を避けられないものとみられる。

 死亡または負傷した3人の部隊員が、意識を失い倒れる直前に異常な兆候を見せていた可能性が高いが、それを感知できなかった軍の事前の訓練準備不足に対する批判が出ている。廊下の長さが30メートルほどあるにもかかわらず、2人の統制要員しか置いていなかったこと自体が安全不感症ではないかということだ。独房にいる訓練者らに対する状況点検は、小さなドアにある小さな窓を通じてのみできる上に、訓練者らが生命の危険を感じた時に部屋を飛び出すなどの自己防御できる手段があったかも疑問だ。

 また、高強度訓練である点を考慮すれば、徐々に強度を高めていかなければならないはずだが、そうした安全守則があったのか、また、安全守則はあってもきちんと守られていたかも疑問として指摘されている。これと関連して軍は「安全が確保されるまで、暫定的に訓練を中断する」と明らかにした。

 ホ・ヨンイル新政治民主連合副報道担当者は論評を通じて、「新しい訓練方法を導入したにもかかわらず、徹底した安全対策もなされていなかったというのは深刻な問題」であるとして、「安全対策不在のために新兵の特殊部隊員の若い命が犠牲になったとなれば、指揮系統の責任を厳重に問わざるをえない」と批判した。ホ副報道担当者はさらに、「国防部は事故発生の経緯について真相を徹底的に調査し、再発防止対策を用意しなければならない」と要求した。

イ・ヨンイン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/654027.html 韓国語原文入力:2014/09/03 15:48
訳J.S(1849字)

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