放送通信委員会、1日に理事推薦案を議論
最年長であるため理事長になる可能性大
“親日・独裁美化“の「教科書フォーラム」顧問
「金九は大韓民国体制に反対した」と発言
KBS内外で「偏向、非適合」の声
朴槿恵政権がKBS掌握を画策との指摘も
ニューライト指向のイ・インホ ソウル大学名誉教授(78・写真)が公営放送『KBS』(韓国放送)の新理事候補に内定した。イ名誉教授は理事長になる可能性が高く、朴槿恵(パク・クネ)政権政府がKBSを掌握しようとしているとの指摘が出ている。
放送通信委員会は9月1日に全体会議を開き、イ名誉教授の理事推薦案を議論する予定であることが31日確認された。チェ・ソンジュン放送通信委員会委員長が28日午後、緊急懇談会を開いてイ教授を推薦する意向を明らかにしたという。イ・キリョン前理事長が26日に突然辞表を提出して僅か二日後だ。
放送通信委員会は与党推薦委員が多数を占めているため推薦案が可決される可能性が高い。KBSの理事は放送通信委員会による推薦を経て大統領が任命する。KBS理事長は互選で選ぶが、イ教授は最年長であるうえ1988~92年にKBSの理事を務めた経験があり、新理事長になる可能性が高い。
KBS内外からは即座に「独立性・公共性が核心である公営放送の理事として適していない」という批判が出てきた。元老歴史学者であるイ教授は、2006年に“親日・独裁美化”で物議をかもした歴史教科書の『韓国近現代史』を出版した「教科書フォーラム」と、これを主軸として2011年に設立された韓国現代史学会の顧問だ。
2007年には光復節の代わりに建国節を制定し記念しようという「建国60周年記念事業準備委員会」の共同準備委員長を務め、当時あるマスコミとのインタビューで独立運動家の金九(キム・グ)を「大韓民国の体制に反対した人」と語ったこともあった。
また、イ教授は昨年3月、大統領府昼食行事で民族問題研究所が作ったドキュメンタリー『百年戦争』について、「李承晩・朴正煕元大統領の時代を大きく歪曲している。このような歴史歪曲も国家安保次元で注意深くチェックしなければならない」と語り、朴槿恵大統領がそれを逐一メモしていたという。
イ教授は今年6月に総合編成チャンネル『TV朝鮮』(『朝鮮日報』のケーブルテレビ)に出演した際、ムン・チャングク国務総理候補者の(親日発言で問題になった)教会発言に関連し、「(ムン氏の)教会講演を見て感動した。国と民族を愛する人」、「(ムン氏が) “父のような人”で、落馬したらこの国を離れる時と感じるだろう」と話した。
イ教授の祖父であるイ・ミョンセは儒学者で、日帝強制占領期間に徴兵制実施などを称賛し、大統領所属の「親日反民族行為真相究明委員会」が2009年に発表した親日名簿に含まれている。
イ教授の内定を巡り、朴槿恵政権のKBS掌握が露骨になり始めたという分析も出ている。
全国言論労働組合韓国放送本部(新労組)は30日声明を出し、「任期を1年余り残した前理事長の突然の辞退、検証なき放送通信委員会の足早な選任、大統領府の好みに合う人物内定など、一連の流れを見れば公営放送を掌握するための政権の企画という疑いを拭えない」と主張した。民主言論市民連合のキム・オンギョン事務局長も、「合理的保守とは呼び難いほどに偏向した認識を持つ人物を、公営放送の主要な席に置くのは、政権による放送掌握の意志を露わにしたもの」と話した。
これに先立つ6月、大統領府はニューライト系列の教授であり、大統領選挙キャンプ出身であるパク・ヒョジョン ソウル大学名誉教授を放送通信審議委員会委員長に任命した。放送通信審議委員会は現在、KBSの“ムン・チャングク報道”に対して重懲戒の手続きを進めている。言論改革市民連帯のチョン・キュチャン代表(韓国芸術総合学校 映像院教授)は、「放送通信審議委員会のパク・ヒョジョン委員長に続き、公営放送にニューライト要人を配置するのは、政権次元で放送コンテンツを検閲するという意志と見える」と語った。