本文に移動

“セウォル号世代”アンケート「国が自分を守ってくれる」は7.7%だけ

登録:2014-08-24 11:40 修正:2014-08-29 14:21
[首都圏の高校2年生1051人の意識調査]

「大統領・政界を信頼」は10%未満
マスコミの信頼度は12%
「社会を変えるには、自分から実践」が目を引く

既存の制度・価値観に対する不信が増すとともに
友人・親・教師などの大切さが大きくなり
「勉強を頑張って良い大学に行かねば」は減少

セウォル号事故25日目の5月10日午後、安山市の高校生たちが「セウォル号犠牲者追悼と真実を明らかにする国民キャンドル行動」に先立り、安山文化広場に挽章を掲げて行進している。安山/イ・ジョンヨン記者 lee312@hani.co.kr//ハンギョレ新聞社

セウォル号事故は高2の生徒たちに韓国社会全般に対する深い失望と懐疑を抱かせた事件だった。20日、「ハンギョレ社会政策研究所」と「真の教育研究所」がソウル・京畿(キョンギ)・仁川(インチョン)の高校2年生1051人を対象に行なったアンケート結果を見ると、生徒たちはマスコミ、政界、大統領など、既存制度と既成世代に対して強い不信を見せた。事故当時はもちろん、その後の収拾過程であらわになった政府の無能さとセウォル号特別法制定の難航を目の当たりにする中で、このような信頼下落はいっそう進む模様だ。しかし、同時に社会変化に対する関心や「自分から進んで実践する」という回答も事故前より高まっており、生徒たちの変化に対する意志をうかがわせている。

■「国家は私たちを守ってくれない」

今回の調査は、各項目をセウォル号事故の以前と以後に分けて、生徒たちの考え方をそれぞれ問う方式で行なわれた。生徒たちは国家・既成世代に対して否定的な意見が大勢を占めている。「大韓民国国民としての自負心を感じる」という回答者は、事故前の61.9%から事故後には24.9%に減り、「自分が危機にさらされた時、国が守ってくれるという信頼」も46.8%から7.7%に急落した。資本の貪欲と政府省庁の保身主義、至るところに蔓延している“官フィア”とそれらが絡んだ不正腐敗がセウォル号事故を機にあからさまに現れ、「不正腐敗が徹底的に監視され一掃されつつあるという確信」があるという回答は6%にとどまり、「社会指導層がリーダーとしての役割を忠実に果たしているという確信」も一桁(6.8%)だった。

 さらには、事故当時にセウォル号の乗務員たちが見せた無責任な行動は、周辺に対する漠然とした信頼までも突き崩す要因として作用している。アンケート調査の結果「自分が危機にさらされた時、周囲の人々が助けてくれるという確信」は事故前の66.4%から36.1%に急減した。

韓国社会の主要機関に対する信頼度墜落も目立つ。大統領と政府、国会に対する信頼度は事故前にもそれぞれ23.7%、18.9%と低水準だったが、事故後には6.8%、5.4%へと大幅に低下した。マスコミに対する信頼は事故前の43.1%から事故以後には12.4%に急落した。速報競争による誤報量産と扇情的報道、さらに最近のユ・ビョンオン一家関連報道に対する不満などが反映したものと解釈できる。

最も信頼できる情報獲得手段を尋ねる質問には、回答者の半分(51.4%)が「どれも信頼できなかった」と答え、20%はツイッターやフェイスブックなど、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を挙げた。放送(12.8%)とインターネット(10.4%)がそれに次ぎ、新聞は2.2%に過ぎなかった。

 こうした社会全般に対する不信は、セウォル号真相究明に対する否定的な展望につながっている。生徒10人のうち9人(91.2%)は「徹底的かつ聖域なき真相究明」は「悲観的」と答え、「地位の上下を問わず責任者処罰」と「再発防止のための制度確立」もそれぞれ86.2%、86.5%が「悲観的」と答えた。セウォル号被害者と遺族に対する補償も「悲観的」という回答がほとんど(80.1%)だった。

「友達の無念の死の真実を明らかにしてほしい」と徒歩行進を続けている檀園高校の生徒たち(黄色い傘)の後を、市民たちが一緒に歩いている。

■変化の要求、実践意志は強まる

同じ年頃の友達が犠牲になるのを目撃しながらどうすることもできなかった“セウォル号世代”は、友人、両親、教師など身近な存在の大切さを噛みしめていた。「友達の大切さ」を感じるという答えは事故前の90.7%から事故後の95.3%へと上昇しており、「両親の大切さ」も95.4%から96.6%に増えた。教師に対する信頼(77.4%)は事故の前後で大きな違いはなく維持されている。セウォル号の救助現場で命をかけて友達を救った檀園高校の生徒たちと教師の話が伝わり、友人と先生たちとの「義理」がさらに強調された格好だ。大切に思う気持ちは疎通につながった。回答者のほとんど(85.7%)は、「セウォル号事故以後、友人、両親、先生など周りの人と良く話を交わした」と答えた。

 セウォル号事故以後、生徒たちは、韓国社会と教育制度の変化が必要だという考えを固めていた。「韓国社会のシステムが完全に変わらなければならない」という思いは76.6%で事故前(74.8%)よりやや増え、「韓国の教育はこのままではいけないという考え」(77%)も同じく若干上昇した。

一方、「勉強を熱心にして良い大学に進学するのが生徒の本分」という回答は58.8%から51.7%に下落した。「社会を変えるために、まず自分から小さな実践でもしなければならないという考え」は74.5%で事故前(68.6%)より目に見えて増え、「危機の時ほど、自分が先ず助かろうとするより他の人と協力すべきだ」という回答も76.4%から77.1%に増加した。

既存の制度や大人たちに対する不信が、周りの人との協力の必要性と「自ら変える」という自覚につながったものと解釈される。このような変化の要求と実践意志は、セウォル号事故への接し方にも投影されている。事件の真相究明を要求するキャンドルデモや署名運動について、回答者のほとんど(85.5%)が「市民たちの自然な行動として共感する」と答えた。セウォル号事故を教科書など教育内容に含ませて記憶するようにする提案については56%が賛成し、「(事故のあった)4月16日を記念日に指定して授業または行事」及び「セウォル号事故の追悼館、博物館の建設」などについても、それぞれ52.9%、58.4%が賛成した。

チェ・ヘジョン<ハンギョレ社会政策研究所>首席研究員 idun@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/652076.html 韓国語原文入力:2014/08/20 22:20
訳A.K(2901字)

関連記事