本文に移動

傷ついた韓国社会を目ざめさせた教皇

登録:2014-08-17 21:57 修正:2014-08-18 08:55
宗教・世代を超越した‘フランシスコ熱風’
忠北(チュンブク)陰城(ウムソン)コットンネ(花の村)を訪ねたフランシスコ教皇が16日午後、「希望の家」でベッドに寝たきりで過ごしているオ・ミヒョンさん(23)の額に接吻をしている。 この日、教皇は病気で疎外された人約2000人が暮らしているコットンネで、子供たち一人一人と目を合わせ、頭を撫で、障害と捨てられた二重の苦痛を抱えている人たちと共に時間を過ごした。 陰城/写真共同取材団

 フランシスコ教皇が投げかけたメッセージが韓国社会を穏やかに包んでいる。宗教を持たない人までが言葉と行動を最大限に一致させようとする教皇の姿を通じて自身を省察する機会にしようと思ったと話す。 私たちの社会が見のがしていた価値を見つけたという人々もいる。 ‘社会的治癒’を語る人も多い。 ‘フランシスコ病’はしばらく続くものと見られる。

 「教皇が私たちの問題を直接解決することはできませんよね。それでも耳を傾けて聴き入れることができる人なのでしょう。 教皇は実際に最も低いところまで行って話を聴きます。 気持ちがなければ絶対にそうは出来ないと思います」

宗教はないというキム・タナさん(27)は17日、「あんな教皇がいる宗教ならば信じてもいいと思った」と話した。 それと共に「教皇に熱狂する最も大きな理由は、私たちにはあんな指導者がいないためだと思う」と話した。 ハン・ナムヒ氏(57)も「弱くて貧しい人々に向けられた教皇のリーダーシップを他の指導者も見習って欲しい」と話した。

‘物質より人間’聖職者の真の姿
「セウォル号遺族‘ユミンのお父さん’
手を握る姿にびっくり」
「物質中心の韓国社会に人間の重要性を呼び覚ます」

 ソウル九老区(クログ)に住むチャン・ジェファン氏(49)は「私たちの社会に吹いた‘ヒーリング熱風’は個人的次元の問題だった。 ところが教皇の言動で、個別的治癒を越えて‘社会的ヒーリング’が可能だということを感じた」と話した。 チャン氏は「一人で熱心に生きなければならないということから抜け出して、多くの人が共に痛みを治癒していく社会的ヒーリングを見せてくれた。 セウォル号事件のように葛藤が癒えない状況で教皇の行動が一種の反省の契機になったようだ」と話した。 今年1月に洗礼を受けたというパク・ミンジン氏(26)も、教皇がセウォル号家族に会って慰める場面を見て「自分が慰められている感じがした」と話した。

 チョン・ホジュン氏(45)は「円仏教」信者だが、16日ソウル光化門(クァンファムン)広場の列福ミサを見るために全北(チョンブク)益山(イクサン)から上京してきた。 チョン氏は「宗教までが物質と成長だけを重視する韓国社会の雰囲気に嵌っているが、教皇は自分の声を上げられない貧しく弱い人々の立場を代弁して痛みを治癒できる話をしている」と話した。

 「どんなに大変で、くやしくて、苦しくても、誰一人として信じて寄り添える人がいないじゃないですか。 それで教皇に熱狂するのではないでしょうか」

カトリック信者であるイ・ギルウォン氏(54)は、教皇の胸に付けられた‘黄色いリボン’を見て、セウォル号犠牲者を慰める真心を感じたと話した。

 妻と二人の子供とともに列福式場を訪れたイ・ウォンヨン(氏42)は「物質中心の韓国社会で地位の上下を問わず、すべての人間は大切だという教皇のお言葉は大切なテーマではないかと思う」と話した。

腰を低くした‘暖かいリーダーシップ’
“高級車・豪華な宿舎を避け
低いところに向けられた気さくさに感動”
“コットンネ(花の村)で立ったまま50分
真心なしではできないこと”

 仏教徒のチェ・ヤンファ氏(45)も「生命を大切にして物質万能の社会に抵抗しなければならないというメッセージは、仏教信徒の間でも話題」と話した。 チェ氏は「教皇訪問前はニュースを見たくないと思うほど、恐ろしくて悲しい内容がいっぱいだった。 私たちの社会が、お金以外には構成員を互いにまとめられる価値がなくなった感じがするほどだった。 教皇が投げかけたメッセージは、私たちが見失っていた価値、お金以上の価値を考え直させる契機になった」と話した。 キム・ヨンボ氏(62)は「何よりも教皇が青年たちにこのような希望のメッセージをたくさん残したことが、最も貴重なことだと考える」と話した。

 謙虚で暖かいリーダーシップも感動を与えている。 京畿道(キョンギド)山本(サンボン)高校1年のイ・ジェユン君(16)は「高い地位の教皇だが、人々に寄り添う気さくな姿が印象的だったし感動を受けた」と話した。 パク・チウン氏(28)は「陰城コットンネに行った時、椅子に座りもせずに50分くらい立ったまま話し合う姿を見た。 真心がなければできないと思う」と話した。

 フランシスコ教皇から韓国社会が得ることが、集団的治癒の経験だけに留まってはならないと話す人々もいる。 ソン・ソンイク氏(41)は「教皇は聖堂に通いなさいとか、イエスを信じなさいと言う代わりに‘低い者に仕えなさい’という話をしている。 韓国社会がこのお言葉に応える番」と話した。 キム・ギョンミ氏(32)は「教皇から慰労を受けなければならない私たちの状況が残念だ。 教皇が(実際に)私たちにできることはあまりないでしょう。 私たちの中で根本的変化を作る契機を見つけなければならない」と話した。

ソン・ホギュン、チェ・ウリ、イ・ジェウク記者、全国総合 uknow@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/651555.html 韓国語原文入力:2014/08/17 20:57
訳J.S(2432字)

関連記事