光化門（クァンファムン）～ソウル市庁広場間1.5キロ
カーパレードしながら市民に手を振る
車を停めてセウォル号遺族を慰労すると
見ていた参席者から拍手の渦
殉教者124人 福者宣言に歓声
16日午前10時、ソウル光化門広場で行われた列福ミサは、カトリック教会の最高首長が80万人の韓国信者らと共に殉教者のために奉献する宗教儀式だったが、フランシスコ教皇がカーパレードの途中で車を停めて下りてセウォル号遺族の手を握った瞬間だけは、すべての韓国人に格別な印象を残した。 放送3社が中継した列福ミサの合計視聴率は17.8％だった。
ソウル西小門（ソソムン）の殉教聖地訪問を終えたフランシスコ教皇が乗った小型車の黒い‘ソウル’は、この日午前9時5分頃にカーパレードを始める地点であるソウル市庁広場に姿を現した。 白いオープンカーに乗り換えた教皇はいつものように手を振って歓呼する参席者を見回し、明るい笑みで挨拶をした。 韓国訪問以後、教皇がカーパレードで赤ん坊と子供たちに見せた格別の愛を知っているミサ参加者たちは、一緒に来た子供に教皇が通過する時に手を振らせていた。
この日のカーパレードでも教皇は10回近く車を停めて、警護員たちが抱きあげた赤ん坊と子供たちの頭に唇をつけて頭に手をのせて降福した。 数人の赤ん坊が教皇を恐がって涙を流すと、スクリーンを一緒に見ていた信者の間から笑い声が溢れた。
車から降りたフランシスコ教皇が、セウォル号遺族の‘ユミンのお父さん’キム・ヨンオ氏(47)に会う場面がスクリーンで中継されると、参席者の間から拍手が溢れた。 訪韓準備委員会は光化門広場から市庁広場に至る1.5キロ区間の両側の各所に24個の400インチ大型スクリーンを設置し、カーパレードとミサを中継した。
朝鮮王朝後期に迫害を受けて斬刑や斬首などで命を終えた第1世代殉教者に対して、フランシスコ教皇が「私は尹持忠(ユン・ジチュン)パウロと123位の同僚殉教者を今後‘福者’と呼び、法で定めた場所と方式により毎年5月29日にその方々のミサを挙行できるよう許諾する」と宣言すると、教皇が座った祭壇の後に124人の殉教者が描かれた大型祭壇画が広げられ、信者は大きな声で信仰の先輩たちがバチカンに認められたことに対して拍手し歓声をあげた。 フランシスコ教皇はこの日のスピーチで、韓国が外国宣教師の助けを借りずに一般信者が自発的に受け入れた信仰の歴史に対して深い関心を示した。
列福ミサが行われた光化門広場について、フェデリコ・ロンバルディ教皇庁広報局長はこの日、公式ブリーフィングで「個人的に場所について大きな感銘を受けた。 光化門には韓国の伝説的な英雄がいる。 日本と戦争をして勝利した李舜臣将軍もおられ、とても有名なハングルを創り出した世宗大王（セジョンデワン）もおられる。 光化門はまた、124人が殉教したところでもある。 殉教する時は平凡な人々だったが、列福ミサを通じて韓国の新しい英雄が誕生したようだ」と明らかにした。
この日の列福ミサは、フランシスコ教皇が訪韓して執典した他のミサ同様に簡素に行われた。 訪韓準備委スポークスマンのホ・ヨンヨブ神父は「典礼自体が非常にすっきりしている。 ミサ典礼にイベントを含めず、メッセージに集中しろとの教皇の指示と要請があった」と話した。 実際、1984年に教皇ヨハネ・パウロ2世が訪韓して執典したミサでは、冠をかぶり韓服を着た男性が記念品を奉献しもした。 また、列福ミサのように教皇が該当国家を訪問して行う大型ミサの場合、その地域の特産品を奉献するなど華麗で壮大に行われる場合がある。 だが、脱権威主義を重視して信者たちと最大限に近くで目を合わせたいという教皇の意により列福ミサの祭壇が高さ1.8メートルと非常に低く設置されるなど、フランシスコ教皇のミサは素朴だった。
参席者は列福ミサはもちろん、気さくに信者たちとスキンシップをする教皇に感動した様子だった。 1984年のミサにも参加したというヤン・クンウ氏(60)は「フランシスコ教皇は庶民的だ。 ヨハネ・パウロ2世は王のような方だった。 このようなカーパレードもなかったと思う。 ミサが終わるとまっすぐ行かれたようだ」と話した。 1984年に啓聖小学校の教師としてミサに参加したというキム・ジョンジン氏(67)は「その時は暗殺の脅威があったので防弾車に乗って来られた。 そのために信者は近よれなかった。 フランシスコ教皇は常に低いところを向かわれ、それを行動で見せてくれるので一層感激した」と話した。 チン・ミョンソン、チェ・ウリ、イ・ジェウク記者 torani＠hani.co.kr
訳J.S(2190字)
