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[セウォル号乗組員裁判] 現場に最初に着いた海洋警察艇は船内進入の訓練をしていなかった

登録:2014-08-12 20:28 修正:2014-08-13 07:34
全羅南道(チョルラナムド)木浦(モクポ)海洋警察署123艇(100t級)

  セウォル号沈没当時、現場に最初に到着した全羅南道(チョルラナムド)木浦(モクポ)海洋警察署の123艇(100t級)は、救助装備をまともに備えておらず、普段から沈没船舶に対する船内進入訓練もしていなかったことが明らかになった。

 12日、光州(クァンジュ)地方裁判所刑事11部審理で開かれたイ・ジュンソク船長(68)らセウォル号乗務員15人に対する公判で、証人として出廷した木浦海洋警察123艇所属のキム警衛(52)は船内進入しなかった理由について「現場到着直後、状況が急迫しており心の余裕がなく、船内に進入しなければならないと考えられなかった。 また、装備もなく訓練自体もできていなかった」と明らかにした。 キム警衛は123艇の副責任者だった。

 当時123艇には救命ボート、救命浮き輪、救命イカダ、心肺蘇生器など基本的な装備だけが備えられていたという。 キム警衛は「船内に残っている人を救助する時に使える装備はなかった」と説明した。 検察が‘123艇の海上事故マニュアルの具体的な内容を熟知していたか’を尋ねると、キム警衛は「(あらましは知っていたが)熟知できずにいた」と明らかにした。

 海洋警察が普段から沈没船舶に対する進入訓練をしていなかったという事実も確認された。 キム警衛は「小型艦艇の場合、海でおぼれた人員を救助する訓練以外には、沈没船舶に対する船内進入訓練は実施してしない」と話した。 同じ艦艇所属のパク警士(43)も船内進入訓練の有無を尋ねる質問に「これまで船内進入のための訓練はなく、装備もまた備えていない」と話した。

 123艇所属の海洋警察官は、船員が乗客を退船位置に誘導しなかったために事故が大きくなったと指摘した。 キム警衛は「セウォル号で乗客にライフジャケットを着せて救命イカダがある位置に待避させているものと考えて出動した」として「セウォル号で自主的にこれらの初動措置がなされ、非常甲板などにライフジャケットを着て乗客が出ていたとすれば、これほどの人命被害はなかっただろう」と話した。

 検察から「イ・ジュンソク船長ら乗務員が『海洋警察が到着したので救助責任は海洋警察にある』と主張している」という話を聞くと、キム警衛は「基本的な初動措置があったなら(乗客を)多く助けられた。 基本的な措置もとられていない状況で責任を転嫁するのはおかしい」と海洋警察に浴びせられた初期対応の誤りに対する非難をかわした。これと共に「セウォル号の沈没状況で、海洋警察や周辺船舶が到着する前に船員たちはどんな措置をしているべきか」という検察の質問に対して、「沈没が予想されれば、乗客が安全装備を身につけて退船位置に移動できるよう誘導しなければならない」と答えた。

 123艇がセウォル号の乗客のための退船案内放送をしなかったという事実も再確認された。 キム警衛は「最初に到着した後(すべての乗客を対象に退船案内放送を)することができなかったことは事実」と語ったうえで、「しかし、人命救助の過程でガラス窓を割り、操舵室部分から正確な退船命令とは言えないが‘はやく出てきなさい’という放送は数回したと記憶する」と明らかにした。 この過程で、キム警衛は操舵室にある対空マイク(空中に向けて放送するスピーカー)を使ったという。 このような陳述は123艇のキム艇長(53)が4月28日に行った記者会見で、現場に到着した4月16日午前9時30分から35分まで数回にわたり退船誘導放送をしたと明らかにしたことと矛盾する。 この日、証人として出廷した123艇海洋警察官の話を総合すれば、キム艇長が「午前9時47分に123艇の乗務補助員がロープをつないで船内進入するよう指示した」という内容も虚偽であることが明らかになった。

光州/チョン・デハ記者 daeha@hani.co.kr、パク・ヒョンジョン<ハンギョレ21>記者

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/650852.html 韓国語原文入力:2014/08/12 17:54
訳J.S(1751字)

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