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ユ元会長の死亡で業務上過失致死罪が消滅

登録:2014-07-22 21:49 修正:2014-07-23 09:12
1千億ウォン(約100億円)規模の損害賠償金が回収困難に
検察は長男を捕まえ財産追徴を続ける
22日、警察がユ・ビョンオン前セモグループ会長と推定される変死体と遺留品を全羅南道(チョルラナムド)順天(スンチョン)のある葬儀場からソウル陽川区(ヤンチョング)新月洞(シンウォルドン)の国立科学捜査研究院ソウル分院に運ぶため、救急車に載せている。 順天(スンチョン)/連合ニュース

 政府がセウォル号事故の‘元凶’と名指ししたユ・ビョンオン元セモグループ会長が死亡していた事実が確認されたことにより、今後の捜査と政府の賠償金請求がどうなるか関心が集まっている。

 死亡したユ氏には公訴権消滅の処分が下される。検察は、ユ氏一家が会社の資金を持ち出したことにより清海鎮(チョンヘジン)海運が不十分な安全対策のままセウォル号を運航させ、結果的に事故をもたらしたと見て捜査を進めてきた。検察はユ氏が月1500万ウォンの顧問料を受け取る清海鎮海運の事実上の会長であると判断し、ユ氏がキム・ハンシク(72・拘束起訴)清海鎮海運代表から改造後のセウォル号の復元性に問題があるという報告を受けていたという供述も確保した。

こうした事実を根拠に裁判所が業務上過失致死罪を認めれば、事故の直接的責任を問えると見て、ユ氏一家の財産を押収し、犠牲者に対する補償金などの費用として使うための手続きをとってきた。

 検察が明らかにしたユ氏一家の横領・背任疑惑の規模は約2400億ウォンだ。ユ氏が1291億ウォン、長女のソムナ(48)氏が492億ウォン、長男テギュン(44)氏が56億ウォン、次男ヒョクキ(42)氏が559億ウォンだ。ユ氏と彼の子らは商標権・特許権を登録し、これを系列会社の法人名と製品名などに使わせた後、商標使用料などの名目で数十億ウォンずつ得ていた疑いを受けている。

 ユ氏に対する処罰は不可能になったが、検察は訴訟を通じて損害賠償金を受け取るよう最善を尽くすと明らかにした。これに先立ち検察は、預金・不動産・株式などユ氏一家の財産1054億ウォン相当に対し、引き出せないように追徴保全措置をとってある。犯罪による収益の回収を目的とする追徴保全は、犯罪者が死亡すれば取り消される。1054億ウォンのうち、646億ウォン(61%)はユ氏本人の実名または借名財産であるため追徴できなくなった。

 ユ氏の財産については追徴が困難でも、損害賠償の請求自体は可能だ。現在、検察はユ氏の財産のうち289億ウォンを仮差押さえしている。財産を夫人や子女が相続すれば、被相続人に対しても請求が可能だ。だが、政府がユ氏の財産に対して巨額の損害賠償権を行使すれば、財産より債務が多くなりかねず、家族が「限定相続」申請を通じて相続を受けない可能性が高い。相続を受けた財産の範囲内でユ氏の債務を返済する限定相続をしても、相続分のすべてを投げ出さなくてはならないためだ。

 刑事裁判を通じてユ氏の責任が明らかになれば損害賠償金の回収が容易になるだろうが、清海鎮海運の経営責任を突き詰めて業務上過失致死罪を問う機会が消えたので、それも容易ではない状況になった。

 苦境に陥った検察としては、ユ氏の子女の身柄確保がより重要になった。テギュン氏はセウォル号事故直後に出国禁止処分にされた後、逃避生活を続けている。検警は懸賞金1億ウォンをかけて彼を追跡中だ。 逮捕令状が発給されたソムナ氏は5月27日にフランスの警察に逮捕され、犯罪人引き渡し裁判を受けている。米国永住権者であるヒョクキ氏も現地で潜伏しているため、検察はインターポールを通じて手配し、犯罪人の引き渡しを要請している状態だ。

警察が国立科学捜査研究院によるDNA分析の結果、ユ・ビョンオン前セモグループ会長の遺体であることが確認された。変死体が発見された全羅南道(チョルラナムド)順天市(スンチョンシ)の梅畑で22日午前、警察がポリスラインを張り出入りを統制している。 順天/連合ニュース

イ・ギョンミ記者 kmlee@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/648109.html 韓国語原文入力:2014/07/22 21:11
訳J.S(1534字)

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