‘出口戦略’を議論したが…「無条件に捕まえるしかない」
一部では「強行して不祥事が起きるかも…」憂慮
危機に陥った検察がユ・ビョンオン(73)前セモグループ会長の検挙に‘全面没入’している。ファン・ギョアン法務部長官の指示で軍(合同参謀本部)まで呼んで関連機関高位関係者対策会議を開き、仁川(インチョン)地検特別捜査チームは11日、警察と共に京畿道(キョンギド)安城市(アンソンシ)の禽獸院に再進入した。
検察がこのように主要被疑者の検挙に‘没入’する状況は非常に異例的だ。 被疑者が潜伏しても、主要事件の場合にのみ一部捜査官が直接検挙に乗り出し、その上で一艇の時間を経ても検挙できない場合には、起訴中止(手配)処分をするのが通例であるためだ。 それに続いて被疑者がいなくとも可能な捜査は継続し、今後の検挙作業は警察に任せるのが検察・警察の基本的な‘分業原則’だった。
実際、数日前までは法務部-最高検察庁首脳部は‘出口戦略’を議論する雰囲気であった。 最高検察庁はユ前会長の起訴中止を検討し、仁川地検とも意見を交わしていた。 起訴中止以後には警察が検挙を専門担当するほかはなく、検察・警察の間にも意見交換がなされたと伝えられた。
だが、朴槿恵大統領が去る10日「ユ・ビョンオン前会長を逮捕できないとは理解できない」と催促したことにより検討中だった出口戦略は全面廃棄された。 最高検察庁関係者は「検察がユ前会長を検挙しなければならないという事実は議論の余地がない当然の事」として「今や他のことに気を遣う余裕はない。 無条件に捕まえるしかない」と話した。 実際、この日の再進入について慎重論もあったが、キム・ジンテ検察総長をはじめとする検察首脳部は進入を厳命したと伝えられた。 朴大統領の烈火の如き号令で検察には選択の余地がそれだけ狭まったわけだ。
雰囲気がこのようになって検察内外では‘ユ前会長を数日以内に逮捕できなければ捜査責任者である仁川地検長が責任を負わなければならないだろう’という話まで出回っている。 検事長級のある幹部は「朴大統領の普段のスタイルを見れば、(今回の指示が)実行されないならば仁川地検長ではなく長官が席を退かなければならないのではないか」と話した。
とりわけ煮えくりかえった今回の捜査の原動力だった世論の支持も検察としては負担だ。 このような理由で退路のない強攻作戦の結末がどうなるのか、検察自らも不安を感じながら見守っている。 検察関係者は「検事が仕事をするには職を賭けなければならない場合もあるが、ユ前会長の検挙にそれだけの意味があるかは分からない」として「強硬一辺倒で検挙作戦を繰り広げ、万一不祥事でも起きれば、その被害は検察全体に及ぶことになるので心配だ」と話した。
ノ・ヒョンウン記者 goloke@hani.co.kr