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[旅客船沈没 大惨事]韓国 政府が与えた傷、国民が互いにいたわる

登録:2014-04-27 22:15 修正:2014-04-28 06:46
"心を集めよう" 自発的寄付 23億ウォン
珍島・安山にはボランティアメンバーの波
学生・主婦・会社員 みんなで参加
終わりが見えない弔問行列 27日午後、雨天にも関わら畿道(キョンギド)安山市(アンサンシ)古桟洞(コジャンドン)のオリンピック記念館に設けられたセウォル号犠牲者臨時合同焼香所を訪れた市民たちが、傘を差して近隣の古桟小学校運動場を埋めている。 この日まで5日間、合同焼香所には15万人余が訪れて犠牲者の御霊を慰労した。 安山/イ・ジョンヨン記者 lee312@hani.co.kr

 韓国政府は無能をさらけ出したが、市民は大きな悲しみの前でも成熟した意識を見せた。セウォル号沈没事故の初期対応から救助、捜索に至るまで政府がシタバタしている間、その空白を埋めたのは市民の自発的な参加だった。 全南(チョンナム)珍島(チンド)と京畿(キョンギ)安山(アンサン)では5000人を越える市民たちが24時間セウォル号犠牲者遺族と行方不明者家族の支援に乗り出している。 犠牲者を助けるための寄付募金にも心を交わそうとする参加があふれている。

 27日午前9時、京畿道(キョンギド)安山市(アンサンシ)の蝸牛スタジアム前。 貸切バス1台に安山ライオンズクラブ会員45人が乗り込んだ。珍島ペンモク港でボランティア中の安山市女性団体協議会所属ボランティアメンバーたちと任務を交代する人々だ。会員たちは午後3時頃にペンモク港に到着し、ボランティアに加わった。 失踪者家族のための給食と皿洗い、清掃などがメンバーたちの役割だ。 28日午後には安山市ロボコップ ボランティアメンバーがライオンズクラブ会員たちと交代する。

 ボランティアに参加したキム・某氏は「私が知人も失踪者の家族だ。言葉なんて必要だろうか。 彼らの話を聴いて、一緒に泣いて、暖かいおも湯でも食べさせて差し上げようと思う」と話した。

 珍島現地ボランティアが始まったのは、事故直後の17日午前3時頃からだ。 安山愛の運同本部キム・ヘジャ事務局長がボランティアメンバー24人と共に珍島の現場を訪れた後、去る18日には‘檀園高助け合い 安山市市民団体協議会’を設けた。‘真の安山の人々’等、現在58の市民団体が参加して、去る18日から毎日1団体ずつ交替で現地ボランティアを行っている。

 自身も数年前に事故で子供が負傷した辛い記憶を持っているキム・ヘジャ局長は 「珍島で両親たちが恐慌状態の中で‘救助してほしい’と絶叫しているが、政府は右往左往するばかりだった」と話した。 彼はチョン・ホンウォン国務総理がこの日、今回の事故の責任を負って辞任する意向を明らかにしたことに対しても「ご両親の血を吐く思いを本当に分かっているなら今総理が辞職すると言うのは妥当でない。 無責任だ」と話した。

 悲しみを克服した成熟した市民意識は安山でも光を放っている。 臨時焼香所がある安山オリンピック記念館と檀園高前、水原(スウォン)・安養(アンヤン)・城南(ソンナム)の火葬場、そして10個所余りの安山・始興(シフン)地域の葬儀場で安山市自律奉仕隊、安山小・中・高父母奉仕団、安山市個人タクシー組合などの団体がボランティアをしている。 父母とタクシー運転手のみならず仕事を終えた会社員たちも力を加えている。

 臨時焼香所の向い側では全国タクシー産業労組安山支部所属の法人タクシー運転手たちが胸に黒いリボンを付けて立ち、毎朝8時30分から翌日午前2時まで平均200余回、遺族と生徒たちを無料で乗せている。 10余人ずつが一日に2組に分かれて奉仕をしているが、運転手たちがタクシー会社に払わなければならない社納金7万3000ウォンは労組が代わりに負担する。 代わりに運転手たちは自分たちの一日分の収入を放棄した。

 シン・ドンハン全国タクシー産業労組安山支部長は「遺族を乗せて話をして、悲しみに耐えられず一緒に泣いたりもする。 だが、タクシー運転手である自分たちにできることはこれしかないと思う」と話した。

 ボランティアが難しい市民たちは別の方法で心を交わしている。 事故の翌日である17日、インターネット ポータルのダウムとネイバーでは、あるネチズンが「私たちができることは何もない。 セウォル号生存者の無事帰還と犠牲者のための応援コメントをして募金をしよう」という運動を始め、18日から‘希望ブリッジ全国災害救護協会’を執行機関に指定して募金運動を始めた。 事故から10日目のこの日現在‘ダウムの希望の太陽’には6万7075人、‘ネイバーのhappy bean’には11万8637人が参加して、7億4189万ウォンを集めるなど今までに全国で計18万人余が参加して23億ウォンを募金した。

 去る19日、自らのホームページに募金の事実を遅れて公示した全国災害救護協会にも寄付が殺到した。 有名芸能人とスポーツ スターはもちろん、匿名を望んだ多くの人々が十匙一飯で誠意を寄せた。 4月分の月給370万ウォンを送ってきた現職警察官もいる。 刑務所や国外からも連帯の手助けが続いた。

 全国災害救護協会ホン・ソンファ次長は「他の大型災難が発生した時の募金を始めれば‘なぜ私たちが金を出すのか。 政府がすべきだ’という反発もあった。 ところが今回は‘政府はあれほど無能だが、それでも私たちはセウォル号の遺族と失踪者を助けるべきだと話す人々が多い」と伝えた。

安山/ホン・ヨンドク、キム・イルウ記者 ydhong@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/area/634770.html 韓国語原文入力:2014/04/27 21:05
訳J.S(2390字)

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