昨年10月、直属上官からセクハラと言語性暴力を受け、性関係を要求されたために自ら命を絶った‘オ・某大尉事件’の加害者であるノ・某陸軍少佐は、オ大尉だけでなく同じ部隊の別の女性軍人にも性暴力発言を日常的に行っていたことが確認された。
去る1~2月、オ大尉事件の公判当時、部隊員が述べた内容を見れば、ノ少佐が責任者を務めていた陸軍15師団副官参謀部に勤めるK下士、D下士、R中尉、M一等兵、軍宗部所属のK下士などが言語性暴力の追加被害者だった。 ノ少佐は業務処理過程で性暴力発言と暴言を繰り返していたことがわかった。
女性疾患があって手術を受け治療中だったK下士(女)はノ少佐から "性関係の乱れからそんな病気になる。 女は昔からからだの管理をきちんとしなければならない" などの言語性暴力を受けた。 この場には亡くなったオ大尉もいた。D下士(女)もオ大尉が一緒にいる席で「そんな風にからだを転がすこの娘は私のスタイルじゃない」というノ少佐の性暴力発言をされた。R中尉は事務室で「君は顔に色気がある。 誰かのようにからだをむやみに転がすな」という侮辱的な発言をされた。 ノ少佐はこのような性暴力発言を他の将兵がいる状況で遠慮なく口にした。
ノ少佐は他の部署である軍宗部のK下士に対しても「あの子の顔を見ろ。 顔に色気があるんじゃないか。 あんな子が色に目覚めれば180度変わる。 あんな子がどうなるか分かったものじゃない」、「お前は、女が短い半ズボンをはくのか。 お前はぶさいくだから大丈夫だ」等の性的暴言を浴びせた。 ノ少佐はこのような言語性暴行の他にも女性軍人を無視するような発言を常にした。 女性軍人に「下士の端くれ」とか 「犬」、「牛」のような表現を日常的に使った。
さらにノ少佐の言語性暴力は女性のみならず男性将兵にも加えられた。 彼はオ大尉などの女性将兵がいる席で、男性である○一等兵に「俸給を何をしに持って行ったのか。 自慰しに持ってきたのか。 お前は穴がないからできないだろう?」という発言をした。 この発言は○一等兵だけでなく、その場にいた女性軍人に対しても同じく言語性暴行に該当する。
公判で15師団のある女性軍幹部は「オ大尉が転入して来て以来、性的冗談を言い始め、それに対して女性軍人が反感を示さなかったのでその後に増え始めた」と述べた。
ノ少佐と共に仕事をした女性軍人の陳述を見れば、このような言語性暴行はオ大尉が亡くなる直前の2013年6~9月の間に集中的になされた。 特に軍宗部のK下士のケースを除くすべての席にオ大尉が一緒にいた。 換言すればノ少佐の性暴行発言はオ大尉を中心に行われたのであり、オ大尉は直・間接の性暴力発言に常時露出していたことになる。
師団長を補佐する副官参謀部組織がこのような状況に至るまで、誰も性軍規違反や性暴行でノ少佐を告発できなかった。 性暴行を巡る軍内部の自浄時機能が事実上麻痺していたのだ。 さらにオ大尉は女性軍人の人権のために部隊ごとに一人ずつ割り当てられている女性軍人苦衷相談官だった。 他の女性軍人に相談して部隊長に報告しなければならなかったオ大尉には、自身の問題を相談する人がいなかったわけだ。 オ大尉は10ヶ月勤める間、分期別に後任女性軍人の苦衷事項の報告を受け、その苦衷事項について部隊幹部らと会議をした。 この席でもオ大尉は自身の‘苦衷事項’をさらけ出すことはできなかった。 女性軍人の苦衷相談制度がどれほど形式的に運営されたかを伺わせる項目だ。
陸軍のある関係者は「15師団では昨年性軍規事故予防教育を列外者まで含めて合計4回実施し、全員が参加した」と明らかにした。 国防部次元でも昨年全軍幹部を対象に性軍規事故予防教育を実施したし、全員参加したことになっている。 しかしこのような教育はオ大尉には何の役にも立たなかった。
ハ・オヨン記者 haha@hani.co.kr