ソウル松坡区(ソンパグ)‘三母娘’の悲劇を契機に、政府と地方自治体が福祉の死角地帯に置かれた‘危機家庭’発掘に乗り出すと言ったが、福祉のスキ間を埋めなければならない社会福祉公務員の数が脆弱階層の多い町内であればあるほど、大幅に足りないことが明らかになった。 ソウル登村(トゥンチョン)3洞と中渓2・3洞では、公務員1人が平均500人に近い基礎生活保障受給者を担当している反面、受給者が殆どいない江南(カンナム)3区を中心とする富裕層住居地では1人当り6人だけを担当している所もあることが明らかになった。 脆弱階層の発掘実態は主に市民・宗教団体が役割を果たしていた。
15日ソウル市の‘基礎生活保障受給者上・下位30洞 現況’を見れば、今年2月現在、江西区(カンソグ)登村(トゥンチョン)3洞は受給者数が5301人で最も多いが、社会福祉公務員は11人に過ぎない。 公務員1人当りが受給者481.9人を担当しているわけだ。 蘆原区(ノウォング)中渓2・3洞と江南区(カンナムグ)水西洞(スソドン)は受給者がそれぞれ3927人、2872人で、その後に続いたが社会福祉公務員は8人ずつだ。 それぞれ公務員1人当りの担当受給者数が490.9人と359人であるわけだ。
その反面、瑞草区(ソチョグ)盤浦本洞(パンポボンドン)と松坡区(ソンパグ)蚕室(チャムシル)2洞では、それぞれ1人の社会福祉公務員が6人の受給者を管理している。 全国平均の社会福祉公務員1人当り基礎生活保障受給者数は2012年基準で97人だ。 登村3洞住民センター関係者は「永久賃貸アパート5800世帯があり受給者が多い。 社会福祉公務員1人が受給者500人余りを管理しているが、とうてい手が足りず、かろうじて一日一日を持ちこたえている」と話した。 社会福祉公務員は障害者と老齢年金なども管理しなければならないため、過重な労働のために自殺が相次いでいる。
このような地域別不均衡は地方自治体の財政格差のせいだ。中央政府が時々一部を支援してはいるが、社会福祉公務員の賃金は地方自治体が賄っている。 基礎生活受給者が多い地方自治体であるほど税収が少ないので、公務員人件費予算もやはり豊かでない。 社会福祉公務員が多く必要な地方自治体であるほど、人件費負担能力はさらに低くならざるをえないわけだ。
社会福祉公務員の全体数は、福祉財政と福祉事業が増加する程度に追随することもできない。 監査院の集計によれば、福祉財政は2007年80兆2000億ウォンから2012年123兆5000億ウォンへ54%増加し、福祉対象者数は482万人から1249万9000人に3倍近く増えた。 しかし、社会福祉公務員数は同じ期間に2万2748人から2万6400人に11.7%増えるのにとどまり、公務員1人当りの福祉対象者数は211.8人から492.1人へと2.3倍増加した。 福祉対象者には基礎生活受給者とともに障害者・老人・片親家庭等も含まれる。
8年間社会福祉公務員として務めているパク・サンチョル(仮名・38)氏は 「三母娘事件のように自殺する方々は、受給者でない場合が多い。 そのような人々の役に立つにはより多くを抱かなければならないが、そうできなくて本当に残念だ」と話した。 パク氏が所属する住民センターは社会福祉公務員5人中の3人が受給者1500人余りを担当している。 蘆原区(ノウォング)のある洞の住民センター住民生活支援チーム長も「上から降りて来る業務を処理するだけで忙しい。 先月24日、文化ヌリカードの申請を受けた時は、職員が午前3時過ぎに退勤した。 社会福祉の公務員たちがなぜ自殺するのか理解出来る」と打ち明けた。
ソク・ジェウン翰林(ハンリム)大教授(社会福祉学)は「基礎生活保障の受給が基本安全網であるだけに、地域の経済力により格差ができないよう安全行政部が予算を積極的に配分しなければならない。 現在の社会福祉公務員だけでは福祉制度拡大にともなう福祉対象者管理だけでも忙しく、新規発掘は容易ではない。 社会福祉公務員数を増やさなければならないだけでなく、公務員たちに裁量権を与えることも重要だ」と話した。
ソ・ヨンジ記者 yj@hani.co.kr